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異世界料理道  作者: EDA
第六十一章 楽しき騒乱
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試食会・宿屋編⑤~味比べ~

2021.5/18 更新分 2/2 ・5/25 誤字を修正

・本日は2話同時更新です。読み飛ばしのないようにご注意ください。

・今回の更新はここまでです。更新再開まで少々お待ちください。

 それから四半刻ほどが経過して、ついに投票の刻限であった。

 ダカルマス殿下は別室に消え、俺たちは聴取係であるジャガルの小姓の前に列を作る。聴取係は10名ばかりも準備されていたため、ひとつの列に並ぶ人間はそう多くもなかった。


「では、いずれの料理に星を投じるかと、その理由をお聞かせください」


 俺の順番が回ってくると、帳面を手にした小姓の少年が笑顔でそのように問うてきた。


「自分は、《キミュスの尻尾亭》に星を投じます。理由は……もっとも完成度の高い料理のひとつであり、なおかつ、自分の好みに合っていたからです」


 俺がそのように答えると、小姓の少年は帳面にその内容を書き留めつつ、さらに質問してきた。


「完成度の高さとは、どのように判じられたのでしょうか?」


「料理を食べてみて、自分に改善案が思いつくかどうかというのが、判断の基準になりますね。実際にそれで改善されるかどうかはともかくとして、自分にはまだ改善の余地があるのだろうと感じられたなら、それは完成度に疑問があるのかな、ということで……正直に言って、無理に自分を納得させたような格好です」


「なるほど。では、《キミュスの尻尾亭》と同じぐらい完成度が高いと感じられたのは、いずれの宿の料理でしょうか?」


「《南の大樹亭》と《玄翁亭》です。……あ、本当は《アロウのつぼみ亭》と《ランドルの長耳亭》も含まれるのですが、もともと自分は菓子作りが不得手であるため、文句のつけようもなかったというのが実際のところです」


「では、どうして《キミュスの尻尾亭》の料理がもっともお口に合ったのだとお思いでしょうか?」


 ひとりひとりにこうまで質問を重ねているのなら、それは時間がかかるはずである。

 しかしきっとダカルマス殿下にとってはこれがもっとも大事な時間なのであろうから、俺も誠心誠意、頭をひねってみせることにした。


「そうですね……まず第一に、《キミュスの尻尾亭》の料理はもともと自分が伝授した献立でした。だから、舌に馴染むのも当然なのだろうと思います。第二に、《南の大樹亭》と《玄翁亭》は本来ポイタンやフワノなどと一緒に食することを前提にした料理であったので、単体では味が強すぎるように思いました。《玄翁亭》などは特に辛い料理でしたので、その影響が顕著であったかもしれません」


「なるほど。他に理由はありますでしょうか?」


「ありません。それぐらい小さな点までつつき回さないと結論が出ないぐらい、俺にはどの料理も美味しく感じられました。8つの宿屋の、すべてに星を入れたいぐらいです」


 それでようやく、俺は聴取を終えることになった。

 しばらくすると、あちこちの列からお役目を果たした森辺のかまど番たちが集結する。


「ようやく終わりましたね! なんだかあれこれ考えすぎて、頭が痛くなってきてしまいました!」


 そんな風にのたまいながら、レイ=マトゥアはめいっぱいの笑顔であった。

 きっと誰もが、さんざん思い悩むことになったのだろう。味比べなどというのはまったく森辺の民の気風には合わない余興であるはずであったが、料理を準備してくれた人々のことを思えば、あだやおろそかに票を投じることはできなかった。


 周囲では、宿場町や城下町の人々も親しい相手と顔を寄せ合って、熱っぽく語らっている様子である。

 結果発表までにはまだ時間があるはずであったので、俺たちはご挨拶の済んでいない貴き方々のもとを目指すことにした。


「リフレイア、お疲れ様です。今日は広間を巡らなかったのですか?」


「いいえ。ロブロス殿と語らった後、一周だけ巡ったわよ。ユーミたちにも挨拶をしておきたかったしね」


 シフォン=チェルをすぐそばに控えさせたリフレイアは、すました表情で肩をすくめた。


「アスタたちにも挨拶をしたかったけれど、3日後にまた会えるなら急ぐこともないかと思ったの。後回しにしてしまって、申し訳なかったわね」


「いえいえ。こうしてご挨拶できたのですから、何も問題ありません」


 他のメンバーもリフレイアと挨拶をしてから、それぞれの目当ての席へと散っていく。レイナ=ルウたちはサトゥラス伯爵家、トゥール=ディンたちはジェノス侯爵家だ。

 俺とアイ=ファは、しばしリフレイアのもとに留まらせていただく。あまり中央まで足を向けると、逆の端に待ちかまえているデルシェア姫に捕獲されることが目に見えていたためである。べつだんデルシェア姫を忌避しているわけではないが、それよりも先にリフレイアと語らっておきたかった。


「それにしても、今日の料理には驚かされたわね。すべて森辺の方々の作であると聞かされても、疑いなく信じてしまいそうだわ」


「そうですか。やっぱりギバ料理が多かったためでしょうかね」


「それだけじゃなく、完成度もよ。粗末に感じた料理なんて、ひとつとして存在しなかったわ。菓子なんて、どちらも毎日食べたいぐらいの出来栄えだったもの」


「それでしたら、サンジュラにお願いすればいいんじゃないですか? 《ランドルの長耳亭》はわかりませんけど、《アロウのつぼみ亭》であれば毎日のように屋台を出しているはずですよ」


「でもそれは――」と言いかけて、リフレイアはふいに口もとをほころばせた。


「……そうね。オディフィアばかりじゃなくわたしまで宿場町で菓子を買いつけるようになったら、城下町の料理人の立つ瀬がなくなってしまう……なんて思いがよぎったけれど、それでわたしが自分の気持ちを抑える理由なんてどこにもないのよね」


「あれ? もしかして、俺は余計なことを言ってしまったでしょうか?」


「いいえ。そのような情けをかけられることこそ、料理人にとっては屈辱のはずよ。悔しいのなら、宿場町よりも立派な菓子を出せばいいだけのことなのですからね」


 そう言って、リフレイアは悪戯小僧のように笑った。


「でも、そうね。わたしも最近はそうまで色々な人間の料理を口にしているわけではないから、まずは3日後の試食会で城下町の料理人の手腕を確認させてもらおうかしら。この1年と少しで、城下町の料理人だって腕が上がっているかもしれないものね」


 その言葉で、俺もようやく理解した。サイクレウスが健在の頃は、リフレイアもともに美食をむさぼっていたはずであるのだ。

 そんなリフレイアをして、今日の料理はいずれも見事であったという。それは本日の料理がかつての城下町の料理に負けていないという、何よりの証であるのかもしれなかった。


 そうしてリフレイアと語らった後は、端から順番にご挨拶をさせていただく。

 その最後に待ち受けているのが、デルシェア姫だ。デルシェア姫はおあずけをくっていた子犬のような面持ちで、俺とアイ=ファを出迎えてくれた。


「アスタ様もアイ=ファ様も、お疲れ様でした! どの宿が勲章を授かるものか、まったく見当もつきませんわ!」


 ひとつ隣にマルスタインらが控えているためか、デルシェア姫も姫様モードの語り口調だ。


「わたくしはこの1日で、またゲルドの食材の扱い方が一気に広がったような気分です! 自分も厨にこもりたくて、うずうずしてしまいますわね!」


「そうですね。でも、自分はただ食べるだけというお役目が、とても新鮮な心地でした。まあ、3日後にはまた試食会が開かれるそうですが……」


「ええ。今度は城下町の方々の出番ですわね。ヴァルカス様がどのような料理を出してくださるのか、今から楽しみでなりません!」


 デルシェア姫は、心からご満悦の様子であった。

 そのまま姫君のお相手をしていると、やがて鈴の音が鳴らされる。別室で帳面に目を通していたダカルマス殿下が、小姓や侍女を引き連れて舞い戻ってきた。


「お待たせいたしました。本日の味比べの結果を発表いたします」


 ころんとした体格の小姓が、可愛らしい声音でそのように宣言した。


「なお、本日は8組の方々に料理を準備していただきましたので、上位3組までに勲章を授けたく思います。第1位の組には黄の勲章、第2位の組には青の勲章、第3位の組には赤の勲章となりますので、そのように思し召しください」


 宿場町の人々は、固唾を飲んで小姓の言葉を聞いているようだ。

 料理を供した人々ばかりでなく、同業者の人々も同じぐらい緊迫しているように感じられた。


「では、発表いたします。第1位は……14の星を獲得した、《キミュスの尻尾亭》となります。関係者の方々は、前にお進みください」


 大きなどよめきが、広大なる広間を揺るがせた。

 やがて、杖をついたラーズがレビに手を取られながら、ひょこひょこと進み出る。それに同行するテリア=マスも、驚きと喜びに頬を染めていた。


 ダカルマス殿下は、満面の笑みでそれを迎え撃つ。その肉づきのいい指先には、すでに黄色の石の紋章が携えられていた。

 レビとテリア=マスに左右から背中を押されて、ラーズが勲章を授与される。

 俺は周囲の人々とともに、拍手でそれを祝福させていただいた。


「では、第2位ですが……こちらは、2組の宿屋が同率と相成りました。ダカルマス王子殿下のご判断で、その双方に青の勲章が授与されます」


 ラーズたちがダカルマス殿下のかたわらに引っ込むと、小姓がそのように言葉を続けた。


「第2位は……13の星を獲得した、《南の大樹亭》と《玄翁亭》になります」


 さきほど以上のざわめきが、人々の頭上にたちのぼっていく。

 騒いでいるのは、やはり宿場町の人々が主である。もっとも規模の小さな《玄翁亭》がこれだけの結果を出したことに、驚いているのだろうか。


 ナウディスとネイルはそれぞれの助手を引き連れて、ダカルマス殿下の御前に進み出る。

 俺とは特につきあいの長い宿屋が、そろいぶみだ。俺としても、それなり以上に感慨深いところであった。


「では、第3位ですが……こちらも、2組の宿が同率となりましたので、それぞれ勲章が授けられます」


 その言葉だけで、人々はまた驚きの声をほとばしらせる。

 どうやら8組の宿屋のうち5組が勲章を授かるという、異例の事態になってしまったようだ。


「第3位は……12の星を獲得した、《アロウのつぼみ亭》と《ランドルの長耳亭》となります」


 レマ=ゲイトと職人風の厨番、それに色っぽい手伝いの娘さん、および《ランドルの長耳亭》のご主人とその助手が進み出る。

 奇しくも、菓子を出したふたつの宿屋が同率で3位だ。それは、どちらの菓子も同じぐらい素晴らしい出来栄えであったという証に感じられてしまった。


「以下は、11の星を獲得した《西風亭》が第4位、10の星を獲得した《ラムリアのとぐろ亭》が第5位、8の星を獲得した《タントの恵み亭》が第6位と相成ります」


 蓋を開けてみれば、ほとんど1票差ずつの大接戦であった。

 人々が静まるのを待って、笑顔のダカルマス殿下が発言する。


「本日も、素晴らしい試食会でありました! ただいま発表された結果こそが、その素晴らしさを物語っていることでありましょう! わたくし自身、いずれの料理に星を入れるべきか、大いに悩み抜きましたが……皆様も、それは同様であられたのでしょう! 第2位と第3位が同率で、しかも第5位までの票差がいずれも1票ずつとは、かつて覚えのない事態であります! それだけ本日の料理と菓子は、まさりおとりのない出来栄えであったということですな!」


 ダカルマス殿下の胴間声は、5日前に負けないぐらい浮き立っているようだった。


「皆様からお聞きしたご感想についても、いずれも腑に落ちる内容ばかりでありました! 第1位となった《キミュスの尻尾亭》の料理はきわめて奇異なる形状をしておりましたが、こちらはすでに城下町においても宿場町においても慣れ親しまれている料理であるようですな! それでいて、こちらの料理がもっとも数多くの星を獲得できたのは、やはりその完成度ゆえでありましょう! あのマロマロのチット漬けを使った薬味は後掛けの添え物というお話でありましたが、そうとは思えぬほどに調和しており、完成されておりました! あの薬味がなくともひとつの料理として完成されているのかと思うと、わたくしは驚きを禁じ得ないところであります!」


 城下町で慣れ親しまれているというのは、おそらく俺が伝授した黒フワノのそばと、ヴァルカスが伝授したシャスカ料理のことなのだろう。俺にしてみればまったくの別物であるのだが、同系列の料理と見なされることに異論はなかった。


「第2位を獲得した料理も、それぞれ完成度では負けておりませんでした! それらはジャガル風とシム風の料理であったため、あとは純然たる趣味嗜好の問題であったのでしょう! この場にもっと南の民が多ければ《南の大樹亭》の料理が、東の民が多ければ《玄翁亭》の料理が、第1位を獲得していたに相違ありません! なおかつ、香草の料理を好まれる方々は《玄翁亭》と《ラムリアのとぐろ亭》のいずれに票を投じるかで、大いに悩まれたご様子でしたが……ほんのわずかな差が、この結果となったのでしょう! その差はわずか2票でありましたので、《ラムリアのとぐろ亭》のご主人もどうぞ胸を張っていただきたく思いますぞ!」


 ジーゼはきっと、広間のどこかでゆったり微笑んでいることだろう。彼女が味比べの結果に頓着することはないように思われた。


「そして、同率で第3位となった菓子は、文字通り互角の出来栄えでありました! なおかつ、試食会において菓子がこうまで上位を占めることは、そうそうないかと思われます! わたくしにしてみても、南の王都でこれだけ見事な菓子を出せる人間がどれだけ存在するものかと、大いに驚嘆させられました! 93名の内、24名もの方々が菓子に星を与えたことを、誇りに思っていただきたく思いまず!」


 そうしてダカルマス殿下は、また細々とした総評を語らい始めた。

《西風亭》の料理は、やはり城下町の人々に乱暴な料理であると見なされたらしい。が、それでも第1位と3票差であったのだから、それだけの完成度であったのだ。

《ラムリアのとぐろ亭》は《玄翁亭》と票を分けてしまったため、この順位となる。しかしこちらも、上位の宿との差はほんのわずかだ。むしろ、城下町の料理人には香草の料理を好む人間が多いため、これほどの順位をキープできたのであろうという話であった。

 そして《タントの恵み亭》は最下位となってしまったが、これだけ票数が横並びであれば、何も恥じることはない。むしろ、流行りのギバ肉を使わずにここまでの票数であったことを誇るべき、というのがダカルマス殿下の見解であった。


「ともあれ、すべての料理が素晴らしい出来栄えでありました! さすがは宿場町でよりすぐりの宿屋と申すべきでしょう! 今回はいずれの宿屋の方々に料理を準備していただくべきか、あえてご自分たちで選出していただいたのですが……皆様が宿屋の規模などにこだわらず、公正な目でよりすぐってくださったことを、わたくしは確信しております! ジェノスの方々の誠実なお人柄には、わたくしも心より感銘を受けておりますぞ!」


 そんな具合に、ダカルマス殿下の総括は終了した。

 あとは前回と同じように、半刻ほどの意見交換タイムである。幸いなことに――といっては語弊があるやもしれないが、本日は上位入賞者たちが王家の方々のお相手をすることになり、森辺のかまど番はお役御免と相成った。


「よう、今日も無事に終わったみたいだな」


 と、広間のほうに戻るなり、ロイとボズルが近づいてきた。


「どの宿が第1位になっても不思議はなかったけど、けっきょくお前が手ほどきをした宿が第1位で、面目躍如ってところか?」


「いえいえ。くどいようですが、俺が手ほどきをしたのは数日限りのことです。《キミュスの尻尾亭》の方々の尽力が、今日の結果となったのですよ」


「ふん。そういえば、森辺の民に銅貨を支払って手ほどきを受けた宿屋ってのは、ひとつも参戦してないって話だったな」


「ええ。それらの宿屋は屋台の売上なんかが芳しくなくて、手ほどきを願ったわけですからね。そちらの結果が出るのは、もうちょっと先になるんだと思います」


 そうして俺たちが語らっていると、いくぶんしょんぼりとしたシリィ=ロウが単身で近づいてきた。


「あれ? ひょっとしたら、師匠は限界がきちまったか?」


「はい。あまりに熱心に語らっていたため、ずいぶんお疲れになってしまったようです。タートゥマイの付き添いで、別室で休むことになりました」


 そんな風に答えてから、シリィ=ロウは上目遣いにボズルを見やった。


「あの……わたしがこちらに加わることをお許しいただけるでしょうか?」


「何を言っておるのだ。こちらこそ、シリィ=ロウに避けられているのではないかと心配していたのだぞ」


 ボズルが大らかに笑いかけると、シリィ=ロウもはにかむように微笑んだ。

 そこに、ロイが皮肉っぽい声をあげる。


「師匠のことはさておきよ、お前もきっちり今日の料理を味わえたのか? 普通だったら、そっちに胸を騒がせるところだろ」


「むろん、すべての料理を過不足なく味わわさせていただきました。いずれの料理も、想像を遥かに上回る完成度であったかと思います」


 シリィ=ロウの瞳に、いつもの輝きがよみがえった。


「ユーミの宿は4位となってしまいましたが、最下位でなかったことを誇るべきでしょう。いえ、最下位であった宿とて、恥じる必要はないかと思われます。まあ、さすがに上位の宿と比べると、わずかに調和が取れていなかったように思いますが……それは、上位の宿を賞賛するべきであるのです。正直に言って、城下町のあまたある料理店よりも、遥かに学ぶべき面が多いように思いました」


「ああ。森辺の料理にも通ずる出来栄えだったしな」


「それは、ギバ料理だったからではないでしょうか? 確かに普段から森辺の方々の料理を口にしていれば、影響を受けないわけがないかと思われますが。ただ、森辺の方々の模倣に終わっていないことは明白です。むしろ、それぞれ確かな手腕を持つ方々が、森辺の方々の料理を見習うことによって、より完成度を増したのではないかと……わたしは、そんな風に感じました」


 シリィ=ロウの熱い語りに、ロイはくすりと笑い声をもらした。


「どうやら喋りたい鬱憤が溜まってるみたいだな。ま、師匠のそばに控えてたら、あっちの言葉を聞かされるばっかりだもんな」


「べ、べつにそういうわけではないのですが……」


 シリィ=ロウは、気恥ずかしそうに顔を赤くしてしまう。

 すると、こちらのグループからレイナ=ルウやレイ=マトゥアが進み出た。


「いまは意見交換の時間なのですから、大いに語らうべきでしょう。シリィ=ロウがどのような感想を抱いているのか、わたしもずっと気になっていました」


「わたしもです! 会のさなかは、まったくおしゃべりできませんでしたので!」


 そうしてこの場でも、有意義な語らいの場が形成されることになった。

 周囲にも、同じだけの熱がたちこめている。顔見知りの相手ばかりでなく、城下町と宿場町という垣根もなく、すべての人々が同等の立場で語らっている様子であった。


 3日後には城下町の料理人が、その数日後には森辺のかまど番が、試食会で料理を供することになる。そのたびに、こういった交流の場が作られるのだろう。

 それを想像するだけで、俺は得も言われぬ感慨を抱くことがかなったのだった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 前もあったけど、2位が同率だから、その次が3位って考え方は違和感が大きすぎる
[一言]  そうしてリフレアイと語らった後は、端から順番にご挨拶をさせていただく。 「リフレアイ」 → 「リフレイア」 でしょうか?
[気になる点] 唐突なリフレアイにほっこり
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