第三十五話 体育祭準備⑪
本日一話目です。
なんか、小説の量が短いですね、最近。
第三十五話 体育祭準備⑪
~side澪~
ガコン。
ジュー。
トントントン。
よし、こんな感じで大丈夫かな。
私は一口味見をして味がおいしいことを確認すると、ラップをかけて冷まし、夢の世界へと入っていくのであった。
「はい、右足から~。
タン、タン、タン、タン。
そこでターン。
はい、一、二、三、四、五、六、七、八、二、二、三……。
はい、そこまで。
いったん休憩ね。」
今日は月曜日、体育祭の準備のため、授業はもうありませんが、その代わりに、パレードのためのダンスレッスンの真っ最中です。
軽く水分補給をした私は、先ほど習ったダンスの動きをもう一度一人でおさらいします。
運動神経がそんなに良いわけではありませんから、しっかりと練習しておかなくては周りにおいていかれてしまいます。
ダンスを踊っているときなんかは集中してしまってあまりまわりをよく見ていませんが。
ともあれ、教わった一つ一つの動きを再確認していくと、前に出て踊りを教えてくださっていた先輩が声をかけてくださいました。
「キレがあっていい踊りだね。
すばらしいとおもうよ。
下手したら僕よりうまいかもね。」
「ありがとうございます。
ですが、そんなことは間違いなくないと思いますよ。」
これはあれですね。
ダンスが下手な子に対して、その子をほめることによって、周りにあいつがうまいんだったら俺はもっといい感じなんじゃないと思わせる効果狙うとともに、私のような下手な子がいやにならないようにほめて伸ばすという作戦ですね、わかります。
やっぱりもっとがんばらなくちゃ、そう思ってダンスの練習を一人続けることにしました。
一、二、三、四っ。
「一、二、三、四、五、六、七、八、九、十。
はい、足開いて~。
二、二、三、四、五、六、七、八、九、十。
うん、よし。
こんなもんかな。」
「ありがとうございます。」
火曜日の午前中、輝美ちゃんと一緒にストレッチをします。
柔軟はやっぱり怪我をしないためにも大事ですからね。
念入りに体をほぐしていきます。
「それにしても体柔らかいわね。
実は蛸の生まれ変わりとかなんじゃないの?」
「え~、その言い方はちょっとひどいですよ~。」
私は運動神経とかは悪いんですけど、体の柔軟性だけはあるので、そこをほめられる分にはいいんですけど、蛸見たいってのはなんというか、あまりほめられた感じがしませんね。
「それにしても、何で私が選ばれちゃったのでしょうか。」
「しかたないじゃない、推薦で決まったんだから文句を言わないの。」
そう、現在いるのはグラウンド。
色別の対抗リレーの場です。
ちなみに私がでる予定の競技は、玉入れ、借り物競争、色別対抗リレー、障害物競走の四つです。
初日が借り物競争と障害物競走、二日目が玉入れと色別対抗リレーに出る予定になっているのでバランス的にはいい感じですね。
あんまり運動神経のよくない私は走るとしても、借り物競争とか二人三脚など、あまり、点数に差がでない競技や、運動神経があまり影響しない競技に出ようとしていたのですけど、なぜか、ポイントの高い、リレーや、障害物競走に出る羽目になってしまいました。
まぁ、選ばれたからにはできる限りのことはやりますけどね。
おそらく選ばれた理由も分かっていますし。
「まぁ、ネタ枠みたいなものでしょうからね。」
それにしてもこれで優勝できなかったらどうするつもりなんでしょうか。
そこで私のせいにされるのはいやなので、選ばれたときに渋っていたら、もし負けても、私に責任を押し付けたりはしないからと言われたので、まぁいいんですけどね。
「いや、そういうわけじゃないと思うけど……。
まぁいいわ。とりあえず、そろそろ順番だったりを決めるみたいだから行きましょ。」
「そうみたいですね。」
こうして、ほかのメンバーが待つ場所に向かうのでした。
「位置について、ヨーイ、バンッ」
ピストルの銃声とともに飛び出します。
現在は百メートル走のタイム測定中。
隣を走るのは輝美ちゃんです。
う~、やっぱり速いです。
ぜんぜん追いつけず結果として七秒九一でフィニッシュとなりました。
輝美ちゃんは六秒台みたいですね。
やっぱり適わなかったです。
「やっぱり輝美ちゃんは速いですね。
私じゃぜんぜんだめです。」
「そんなことないと思うわよ。
澪もなかなか速かったじゃない。」
「そういってもらえるとありがたいですね。」
そんな話をしながら水分補給をするため一度、更衣室に戻りました。
水筒を持ってくるのをすっかり忘れてしまっていたので。
更衣室へと向かう途中で、秋水くんを見つけました。
「あっ、秋水くん。
どこに行くんですか?」
「あぁ、今から迷路作りだよ。
忙しすぎて、自分の係りのほうに出られなさそうだから、係長に了解を取っていたんだ。」
「そうなんですか、大変ですね。
ってことはここであんまり時間をつぶすわけにも行きませんね。
それでは。」
「うん、またね。」
ここで時間をとってしまっては迷惑になると思ったので速めに話を切り上げることにしました。
やっぱり大変そうですね。
今日の夜は用事があるので無理ですけど、明日の夜にでも何かお菓子を作って差し入れにいこうかな、なんて思いつつ、水筒を取ってグラウンドへと戻るのでした。
第三十五話 end




