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超能力者達の学園  作者: トリブレイシオ
第一章 高校一年春 後編
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第三十四話 体育祭前日

本日一話目です。

今日は二話投稿予定です。

 第三十四話 体育祭前日①



 金曜日、俺はクウを肩に乗せたまま、作業を続けていた。

 ちなみに、秀樹は俺がクウを持っているので、代わりに猫を連れてきていた。

 すやすやと眠っているクウを見ながら、どんな夢を見ているんだろうかなどと、考えつつ、作業を進めていく。

 体長は三十センチほどあるのにもかかわらず、不思議とその重さを感じさせないクウは、マフラーとしては最適といえるだろう。

 マフラーよりもはるかに温かく、なおかつ軽い、量産できたらかなり売れるだろうが、クウはモノではないので残念ながら無理であろう。

 ともあれ、必死で作業を進めていった結果、ようやく終わりが見えてきていた。

 俺は今、削った所をきれいにしていく作業の真っ最中だ。

 表面を滑らかにしていくと、氷がどんどんと輝きを増し、透き通っていく。

 しばらくして、ついに全体を完成させることに成功した。


「こっちは全部終わりました。」

「わかりました。

 それでは全体を確認してみましょう。」


 そうして、俺たちは、おかしな箇所がないかを探していく。


「大丈夫そうだな。

 よし、ご苦労だった。

 これにてオブジェは完成とする。

 各自、残りの作業を行ってきてくれ。」


 会長の号令でオブジェづくりが終了するのであった。

 昨日の夜遅くまで残って頑張っていて良かったよ、いや、本当に。




 さて、この後は屋台の設置についてをやらなくてはいけないので、いったん校外に出て、自治体の人が集まっているところへ莉奈先輩とともに向かう。

 途中、校門前で、鳩山先生が何やら電話をしているようで携帯で話していた。

 手振りで「先に行っていてください。」と示されたので、先に向かうことにする。

 そして、設置予定場所に着くと、屋台のためのテントがたくさん立ち並んでいた。

 そのほかに、焼きそばなんかを焼くための鉄板やガスボンベなど、さまざまなものが立ち並ぶ。

 そんななかを、地図を見ながら一つずつ、店をチェックしていく。


「えっと、チョコバナナを売っている佐藤さんでいいですか?」

「はい、そうです。」

「焼きそばの加藤さん。」

「はい。」


 こんな感じで一つ一つの店で、その人と、売っている商品を確認していく。

 一時間程度ですべての店を回り終え、いろいろと差し入れをもらい終了となるのであった。




 その後、すぐに放送係の仕事現場へと向かう。


「お久しぶりです、秋田先輩。」


 その仕事現場で指揮を執る秋田先輩に声をかける。


「おお、北神か。

 生徒会のほうの仕事はもういいのか?」

「はい、一応全部完了しました。

 なのであとはこちらの手伝いをと思いまして。」

「そりゃ助かる。

 こっちも結構ぎりぎりなんだ。

 体育祭委員は幹部を除いて自分も競技に出るから、今日なんかは人が足りなくてな。

 人員が増えるのはありがたいんだが……、その肩に乗っている奴は何だ?」

「こいつですか?

 こいつはクウです。」

「クウ?」

「生徒会の西野秀樹が飼っているペットのうちの一匹ですよ。

 昔、俺が保護したのを秀樹の家に預けていたやつです。

 ほら、クウ挨拶しなさい。」


 そう言ってクウの頭を少し叩くとクウが目を開けた。


「こちらは俺の上司的な存在の秋田清先輩だ。」

「キュキュ?」

「挨拶だよ、挨拶。」


 なんとなく、「それで?」みたいに返事をしてきたような気がしたので挨拶をしろと言うと、


「チチッ、チチチッ。」

「おう、よろしくな。

 可愛いな、こいつ。

 いま何歳なんだ?」

「拾ってからは十年ぐらいたちますかね。

 いま何歳なのかは正確には不明ですけど。」

「そうか。

 よろしくな、クウ。」

「キューイ。」


 どうやら秋田先輩はクウを気に入ったようで、抱っこしてもいいかと聞いてくるのでクウを渡す。


「おお~、やっぱり可愛いな。

 我が家のフェリアと同じぐらい可愛いぜ。」

「先輩も動物を飼っていたんですか?」

「おうよ、フェレットのフェリアだ。

 こいつも可愛いが、フェリアには少しかなわないかな。

 フェリアのキュートさときたら……。」


 ……。

 どうしてペットを飼っている人は自分のペットの話題になると止まらなくなるのだろうか。

 ともあれ、そんな自慢話を聞いている暇はないので、話の腰を折ることにする。


「先輩、それで俺は何を手伝えばいいんでしょうか。」

「お、おう、そうだな。

 じゃあ機材の設置だな。

 こっちの機材のほうを手伝ってくれ。」


 そう言って機材のほうへと連れて行かれる。


「こっちのネット回線のほうをつなげるのと、モニターの設置だ、よろしく頼むな。

 やり方はあいつに聞いてくれ。」


 そう言ってすでに作業をしている先輩を指さし、秋田先輩は去って行った。

 クウを連れて。

 しばらく作業をしてから秋田先輩のほうを見ると、何やらおもちゃでクウを釣っていた。

 捕まえようと思ってもなかなか捕まらないおもちゃにクウはぴよんぴょん飛び跳ねながら、そのおもちゃを追っていた。

 まぁ、楽しそうだし、しばらくほおっておくか。

 その後秋田先輩は後輩の子から、「いい加減仕事をしてください!」と注意されるまで、クウと遊んでいるのであった。

 そりゃそうなるわな。

 そして、秋田先輩は少し残念そうにしながらもクウに「またな。」と声をかけ、部屋を出て行くのであった。

 というか、よく考えたら、あの人普段から動物用のおもちゃなんかを持ち歩いているのか。

 先輩もかなりの動物好きのようだ。


「キュキュッ。」

「おう、おかえり。

 楽しかったか?」

「キュキュッ。

 キュキュキュッ、キューキュー。」


 なんとなく、


「いや~、別に遊びたかったとかそういうわけじゃないんだよ、私は。

 でもね、のってあげなかったら先輩が少しかわいそうだなと思ったからね、仕方なくのってあげたんだよ。

 いや、ほんとにしかたなく。」


 と言っていた気がした。

 いや、どう見てもとても楽しそうに遊んでいたようだったけどな。

 そう伝えるとクウは少し怒ったみたいで、尻尾でペシペシと俺の顔をたたいてきた。

 ごめんごめん。

 その後、謝罪を伝えるとともに、おいしいご飯で手を打ってくれることになった。

 ちょろいな。



 第三十四話end


題名は、体育祭前日ですが、まだまだ体育祭には至らないというね。

このあとは、閑話が何本かはいるのと、予行演習当日のことだったりとかその他色々とあります。

何もなければ、あと十話前後で、やっと体育祭に入れると思います。

進むのが遅くて大変申し訳ありません。

ちなみに、改稿前の原文だと、体育祭当日の部分も結構長いです。

出来るだけ、多く投稿して、早く、たどり着けるように頑張りたいと思います。

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