〜プロローグ②〜
二つ目です。
主人公がでてきません。
〜プロローグ②〜
校門前の桜並木。
入学式当日ということもあってか、そこにはうれしそうな、でも少し緊張したような、そんな顔をした新入生たちが校門へと歩いてきていた。
「奇麗なものですね」
校舎4階のとある一室。
そこで彼女は長い黒髪を後ろへ流し、窓から外を眺め、そんなことをつぶやいた。
一人一人の特徴を覚え、名前を一致させながら。
そして、全ての新入生の顔を見終えたのであろうか、彼女は窓を閉め、手に持っていた名簿を机の上におろした。
すると、
「今年の新入生に見込みのあるやつはいるのか?」
机の対面から声がかけられる。
部屋の中には全部で4人の人影。
窓の外を眺めていた彼女と、窓からはなれた席で静かに本を読んでいた彼女、腕を組み、瞑想をしているかのような彼と、今声をかけた彼女である。
「そうですね......見ていたところ、ここから見ていることに気付いていたのは9人ですね。」
「ほぅ......9人か。それは全員感知系か?」
「いえ、感知系は9人のうち6人だったと思いますが......。」
「ふむ......。残りの三人のデータを見せてくれないか?」
「少々お待ちを......どうぞ。」
本を読んでいた方の女性が、目の前にあったパソコンからすぐにそのデータを送る。
少し間が空いた後、
「ちなみに、今年に主席はその一枚目の子ですね。」
窓の外を見ていた女性の方が付け加える。
「なるほどね。ふむふむ、この子か〜。」
「入学試験において、制御に関しては光るものがあったと担当の教官が言っていましたよ。」
「それは楽しみだな〜。こいつは生徒会に勧誘するんだろう?」
「はい。そのつもりですが......。」
「実力はどうなのかね〜。」
「まぁ、その辺は実際に見てみないと分からんだろう。」
ここで目をつぶっていた彼が会話に参加してくる。
「どうせ入学後すぐにトーナメント戦があるんだ。チーム戦とはいえここの実力も測れるだろうしそこで確かめればいいだろう。」
「そうですね。加えて主席の子以外にもなかなかいい子がそろっていますし、いい感じに盛り上がると思います。」
「まぁ、それもそうだな。」
「会長、そろそろ準備の方に。」
本を読んでいた子が会長に時間を伝えると彼は立ち上がって、
「さて、これから入学式となるわけだが、準備はいいな。」
「問題ないと思います。」
「あたし達は特に何もしゃべらないしね〜。」
「無論です。」
「よし、では行くとするか。」
彼の号令とともに4人は会場へと向かっていくのであった。
プロローグ②end