第十五話 トーナメント戦最終日④
ついに決着。
会長対副会長その勝者は......。
第十五話 トーナメント戦最終日④
その刹那、会長が動いた。
一気に壁が外側へと広がっていった。
広範囲全方位への無差別攻撃のようだ。
「すごい範囲ですね。
あれって、あの爆風が届く全範囲のものを探知できるんですか?」
「やろうと思えばできなくはないだろうけどね......。
さすがに、あの範囲を一気に探知しようとすると、頭が割れるような痛みに襲われるんじゃないかな。
広すぎていろんな要素があるわけだからね。」
「なるほど~。」
その全方位への攻撃によって、会長の周りの建物は見るも無残な感じになっている。
あれは大丈夫なのであろうか。
そんなことを考えつつ、莉奈先輩の姿を探す。
すると、少し離れた廃墟と化した建物の瓦礫の中にいた。
さすがに無傷というわけにはいかなかったようで、髪の毛は少し汚れ、服の一部がやぶれているようだ。
というか、あの服ってうちの学園から支給されたやつだろ?
あれはかなり頑丈だったはずなんだけど、それがやぶれるってどんな威力だよ。
ともあれ、戦闘を続行するには全然問題ないようである。
軽く全身のほこりを払った先輩は会長が放った炎弾を迎えうつため、構えを取った。
試合がはじまって近づいていったときと同じように自然な動きでの回避を続けていく。
対する会長も、ただ、炎弾を撃つだけなく、ほかの種類の攻撃を打ち出してみたり、リズムを変えたりしながら、徐々に先輩を追い詰めていく。
距離が近くなってくるとやはり自然な動きでの回避は難しいのか、緩急をつけた動きで、必死に攻撃をかわしている。
「どうして先ほどまでのような高速移動をしないのでしょうか?」
「う~ん、あたしてきには、時間なり何なりの制限があるっていうところじゃないかと思うんだけど。
秋水はどう思う?」
「まぁ、おそらくその意見の通りなんじゃないかな。
もしくは、奥の手をあまり見せたくないみたいな可能性もあるかもしれないけどね。
でも、この動きだったら澪も参考にできるんじゃないの?」
「あっ、そうですね。
この機会に勉強させてもらいます。」
そういって澪は試合を注視している。
俺もその横で試合を見つめていると、いきなり先輩の速度があがった。
おそらく、身体強化を使ったのであろうこの速度の変化を利用して一気に距離を縮める。
これに対し、会長も全方向へ炎壁を張って回避しようとするが、
「また消えました。」
「今度はどこ?」
そんな話をしていると、炎壁が解かれ、先輩が中から猛烈なスピードで吹き飛ばされた。
戦闘不能のランプがなり、試合終了である。
こうして、会長対副会長の一戦は、副会長の会長の勝利で決着がついたのであった。
会長対副会長の一戦が終わった直後、俺たち三人はトーナメント戦の表彰式に出るために会場へと向かっていた。
するとその途中、試合が終わり、おそらくこれから着替えに行くであろう莉奈先輩に出会った。
「あっ、莉奈先輩、お疲れ様です、あと、おしかったですね。
すばらしい戦いでした。
ちなみになんですが、最後はあの壁の中でなにがあったんですか?」
「ありがとう。
最後の壁の中の出来事は、そうねぇ、簡単に言うならば周りを炎壁で包まれて逃げ場がない状態で思いっきり突風を全方位に撒き散らされて回避できずにって感じね。
最後のは誘い込まれてしまったって感じかしら。
秋水くん達も優勝おめでとう。
秋水くんと秀樹くんとの勝負もすばらしい戦いだったわよ。」
そういって莉那先輩は微笑む。
先ほどの戦闘で受けたダメージのせいで服がところどころ破け、|少々みすぼらしい感じになっている《とても眼福である》。
特に、おなかや、太股のあたりが......ゴホン。
これ以上見ているとただの変態になってしまうので話を続ける。
「あっそうでした。
えっと、こちらの二人が......。」
「杉下澪さんと藤井輝美さんね。
はじめまして。
私はこの学園で副会長をしている藤堂莉奈よ。
一応さっき試合に出てたから知っているとは思うけれど挨拶しておくわね。
これから、何か困ったことがあったら頼ってくれていいから。
よろしくね。」
「「あ、ありがとうございます。」」
「二人を知っていらっしゃったのですか?」
「ええ、一応ね。
それじゃあ私は着替えに行かなくてはいけないから、これで。」
「あ、はい。
お疲れ様でした。」
もう少し眺めていたい気もしたがしょうがないであろう。
そういって莉奈先輩は更衣室の方へと歩いていった。
「きれいな人でしたね。」
「そうだな。」
澪の言葉にさらりと返答して、会場へと向かうのであった。
「第三位F組、田中君、加藤君、佐藤さん。
おめでとうございます。」
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というわけで現在は表彰式。
ここで成績がよかった人は商品が貰えることになっており、三位から一位までは、メダルとともに表彰されるのである。
「第二位B組、西野君、伊藤さん、中田さん。
おめでとうございます。」
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「優勝A組、北神君、杉下さん、藤井さん。
本当によくがんばりました。
おめでとうございます。」
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こうして、高校に入学して初めてのイベントは終わりを迎えたのであった。
「賞品って何なのでしょうか?」
「さぁ?
図書カード的なのじゃないの?
秋水、開けてみてよ。」
「ん?
わかった、ちょっと待ってろ......。」
控え室の中でそういわれて、一応このチームのリーダーであった俺が賞品を受け取ったその袋を開ける。
割と大きい袋だが、中に入っているのは......
「え~っと、まず、賞状が三枚。
これはたぶん個人個人にってことだろうな。
あと、この大きい賞状は学校の教室にでも飾るのかな?
まぁ、とりあえずこれをどうぞ。」
そういって、賞状を二人に渡す。
「すごい立派ですね。
簡単な額縁もついています。」
「そうね~。
で、ほかには?」
「えっと......封筒が一枚と、箱が三つ、後スポーツドリンクが三本だな。
スポーツドリンクはぬるいから、今渡さなくてもいいか。
どっちから開ける?」
「まぁ、箱のほうからがいいんじゃない?
澪はどう思う?」
「それでいいと思います。」
「えっとじゃあこれだ。」
そういって二人に箱を手渡す。
包み紙を開け、中に入っていたのは......
「タオルですかね。」
「一応大小二枚あるわね。
後は......なんでここに入っているのかしら」
「チョコ味きた!!」
某携帯食品が、タオルの入った箱の端っこのほうに入っていた。
味はチョコ。
いや~、入れた人よ。
わかっているじゃないか。
さて、箱の中身は見終えた。
後は......
「あ、紙袋があるからこれに入れて帰るといいんじゃない?」
「そうですね。」
「ちゃんと気を配っているのね。」
しっかりと三人分配った後で、袋の中に、入っていた封筒だけが残っている。
「さてさて、残るは封筒だけなわけだが......。」
「何が入っているんでしょうか。
やっぱり図書券か何かなのでしょうか?」
「その場合一枚だけってのがおかしい気がするけど。」
「いや、封筒の中に、四枚封筒が入ってるぞ。
そのうちの三枚は同じ柄だから個々人にだろうな。」
「これが図書券でしょうか?」
「開けてみればわかるでしょ。
いくら分かしら?」
そして、封筒を開けてみると......特選海の幸セット一万円分が入っていた。
「ふむ、一万円分らしいな。」
「豪華ですね~。」
「これはちょっと予想外だったなぁ~。」
蟹の味が脳裏によみがえり、つい涎が......おっと。
いや~、予想外にいい物を手に入れたな~。
というか金かかってるな。
「これは残りの封筒も期待できるのではないでしょうか。」
というわけで最後の封筒を開けてみると......
温泉旅行in熱海一泊二日+そこまでのチケット三人分
が入っていた。
しかも部屋はひとつである。
「多分これはみんなで今までの疲れを癒してこいってことなんだろうね。」
「そうでしょうね。
でも明日から二日間って言うのはかなり急ですね。
幸い私は特に用事はありませんから大丈夫ですけど。」
「そうね、あたしも特に用事はないし大丈夫かな。
帰ったら急いで準備をしないと。」
「俺も大丈夫だ。
じゃあ、これについては、明日の11時に出発だから、十時半ごろに駅集合ってことで。」
「分かりました。
温泉ですか~。
私温泉は大好きなんですよね。」
「あたしも好きよ~。」
そんな話をしながら教室へ向かっていくのであった。
第十五話end
というわけで会長の勝利です。
終わり方が少し雑かもしれません。
ごめんなさい。
そしてこの後は温泉編ですね。
えぇ、温泉です。
大事なことなので二回言いました。
そして部屋はひとつですよ。
部屋はひとつ。
大事な(ry
どうなるのでしょうね~。
主人公の運のパラメーターはいかに。
と言っても、予定では一章の終わりにいれるつもりなのでしばらくは投稿しないのです。
もし見ている人で期待してしまった人達はごめんなさい。
その代わり、結構丁寧に書こうと思っています。
何がとは言いませんけどね。
今日は、執筆の進行度によりけりですが、もしかしたら何話か投稿するかもしれません。




