第十三話 トーナメント戦最終日②
ごめんなさい。
決勝戦の描写だけで終わってしまいました。
本当は全部書ききってもよかったんですけど、五千字を超えるのはやり過ぎかなと、思ったもので。
あ、因にですが、基本三千字前後を目安に一話を書いています。
第十三話 トーナメント戦最終日②
少しずつ水を集めながら、敵方へ向かっていく。
すると敵の姿が見えた。
戦闘開始である。
『秀樹は任せろ。
他の二人をよろしく。』
『『了解。』』
そう念話でつたえ、突っ込んでいく。
出し惜しみをすれば負けるが、使いすぎても玉切れ、なかなか厳しい状態である。
どちらかと言うとカウンターが主体だがそうはいってられないので、一気に突っ込む。
それと同時に水球を3つ作り出し、凍らせ、槍状にして飛ばす。
「甘いですね。」
しかし、かわしつつ、一瞬で間合いをつめられる。
そして繰り出される突きを上体を反らし紙一重でかわす。
その勢いのまま、飛び上がり、相手の胸部めがけて蹴りを放つ。
が、左手でブロックされる。
その反動を活かすと同時に少し残しておいた水を気化させ、俺は少し距離をとった。
「流石だな。
あっさり先制攻撃をかわされるとは。」
「あの程度で僕にダメージを与えられるなんて思っていないでしょう。」
「まあな。」
その言葉と同時に、残りの水球を全て出す。
「では、まいりましょうか。」
そう、軽い感じで言うと、猛スピードで攻撃を仕掛けてくる。
下からの切り上げである。
それを剣で受け止め、周りの水球に攻撃させる。
それに対して秀樹は、剣を流し背後をとろうとする。
「ちっ。」
俺から見て、左側に回った秀樹に対し、中段への回し蹴りで対応しようとするが、重力を感じさせない、滑らかな動きでジャンプされ、かわされる。
そこから、前方に一回転してかかと落しを打とうとしてくる。
俺はとっさに氷壁を厚く張り、両手を前でクロスさせ、ガードの構えをとった。
「バキバキ。」と言う音とともに壁が割れ蹴りが放たれるが、氷壁で勢いを削った分なんとか威力は押さえられたようだ。
ガードを解くとともに相手を押し返すと、秀樹は後方に宙返りして、軽やかに着地した。
「なかなかやりますね。
正直、決まったかなと思ったのですが。」
「そう簡単にやられるわけにはいかないでしょ。
一応、このチームのリーダーなんでね。」
「男の意地と言うところですか。
では、しかと確かめさせていただきましょうか。」
そういうやいなや、斬り掛かってくる。
それを剣で受け、躱しとしばらく、攻防をつづける。
何分ほどたったであろうか。
しばらく剣を打ち合い続けてはいたが、そろそろ準備が整ったようだ。
前蹴りで距離をとり、同時に後ろへと飛ぶ。
五つの水弾で一気に相手を攻撃し、そのすぐ後に俺も続く。
秀樹は、その全てを防ぎきったが、その瞬間地面が爆発する。
おれが、最初にはなったときに使った水をこっそりと、足下に忍ばせ、一気に気化させたのだ。
「うわ。」
秀樹がバランスを崩す。その瞬間を狙って剣を打ち込む。
見事に一本決まり、ランプが点灯する。
俺の勝利だ。
「「「ウォーーーーーー。」」」
「「「パチパチパチパチ。」」」
観客が歓声を上げ、拍手で俺たちの勝利を祝う。
どうやら二人の方も勝てたみたいで、終了を告げるアナウンスがなる。
「お疲れさま。
いい勝負だったよ。」
「お疲れさまです。
さすがに強いですね、参りました。」
「いや、そうはいっても能力ありと能力なしな訳だしな。
ハンデがあるんだからしょうがない部分もあるんじゃないか?」
「いえ、そちらも水の量の制限を受けていたみたいですし、同じようなものでしょう。」
「う〜ん、まぁ、それでもありとなしじゃずいぶん違うと思うけどな。
まぁ、とりあえずお互い健闘したと言うことで。」
「そうですね。
ありがとうございました。」
秀樹と握手を交わし、控え室へと帰るのであった。
〜side輝美〜
『秀樹は任せろ。
他の二人をよろしく。』
『『了解。』』
秋水に肯定の返事を返したあたしと澪は、他の二人の方へと向かっていった。
目の端で見た感じで言うと、相手の西野はかなり速い動きだった。
これはかなり厳しい戦いかも、そんなことを思いながらも、他の二人に向かっていく。
相手のチーム編成はこちらと同じく男子一人と女子二人だ。
『私が先に突っ込みます。』
『了解、援護するわ。』
澪に返答し、風弾の準備をし、少し距離を明け、突っ込む。
相手の片方は火の能力、もう片方は風の能力だ。
風を操る方が接近しようとするあたしたちに、牽制を打ってくる。
さらに火を操る方もその風に乗せ攻撃を加えてくる。
なかなか連携がとれていて厄介である。
こっちの二人は遠距離攻撃がどちらも苦手なため、状況はかなり厳しい。
しばらくかわしているが、次の一手が打てない。
秋水の方もさっきの様子を見る限り、手助けは期待できないし、あるとしても、こちらが見えない場所にいるので無理だろう。
『しかたないわ。
多少ダメージはあるかもしれないけど一気に突っ込むよ。
あたしが風で盾を作って突っ込むわ。
こっちに集まると思うからそこから一気に攻めて。
しっかりと二手に分かれるわよ。』
『分かりました。』
そう伝えると、あたしは一気に力を解放する。
あまり時間は持たないけど、そんなにいろいろ言ってられない。
全身に風の防壁を張り巡らせ一気に突っ込む。
特に制御しないままに、前方へ風を打ち出す。
あまり制御できていない分、威力なんかは落ちてしまうけれど、それでも相手の体勢を崩すぐらいはできるだろう。
そんなことを考え、打ち出すと、思った通り、相手が体勢を崩し、攻撃がやんだ。
これが最初で最後のチャンスだ。
そう思って、全力で接近する。
先に火を操っていた方から攻撃だ。
接近して一気に責め立てる。
接近戦はあまり得意ではなかったのか、剣で防ごうとする初動までが遅い。
相手が、ガードの動作に入る前までに、剣をあて、戦闘不能のランプがともる。
『輝美ちゃん、右斜め後ろです。』
澪からのテレパシーを受け、左へと飛ぶ。
そのすぐ右をかすめるようにして、風が吹き荒れる。
が、躱したはいいものの、さっき思いっきり能力を使った反動か、体があまり動かない。
すぐに追いつめられるが、やっと澪が追いついてきた。
『後は任せて。』
『ごめん、あたしはちょっともう厳しいかも。』
『一人はそっちが倒したんだから、もう一人の方はあたしの仕事だよ。』
そういって、剣を打ち合わせる。
が、接近戦になった上に、二対一になった時点でこちらが有利だ。
あたしももう無理かもとはいっても、多少は動けるので、向こうはこちらも警戒しなければ行けないからだ。
結果、多少粘られはしたものの、最後は澪の突きでなんとか勝利を得たのだった。
が、澪も最後に攻撃を食らってしまったみたいで倒れ込む。
それを見て、私も地面に座り込んだ。
(後は任せたよ、秋水。)
そんなことを考えながら。
第十三話end
と言うわけで、優勝しました。
バトルの描写なんですがやはり難しいですね。
こういうのは、練習あるのみなのでしょうか。
次回は
会長vs.副会長
です。
今度こそ書きますので、皆さんよろしくお願いいたします。