第十二話 トーナメント戦最終日①
おかしいな〜。
この話で、最終日を終わらせるつもりだったんだけど。
これはあれだね、偏に先輩達との会話が長すぎた所為だね。
第十二話 トーナメント戦最終日①
さて、本日は金曜日、トーナメント戦の最終日である。
ついに決勝までやってきたわけだ。
今回の相手は秀樹な訳だし結構大変だな。
勝てないとは思わないけど、どうだろうか。
そんなことを考えながら家をでた。
「おはようございます、先輩方。」
「おや、おはよう。」
「おはようございます、北神くん。」
朝の通学路で、桐山先輩と井内先輩にであった。
「そういえば、決勝進出おめでとう。
なかなか連携のとれたいいチームじゃないか。」
「ありがとうございます。」
「そうですね。
今年の主席は制御がすばらしいと教官から聞いていましたが流石ですね。
あの距離でも風をうまく受け流せるような角度で壁をはれると言うのはなかなかのものだと思います。」
「あぁ、あれか。
あれは流石だなと思ったよ。
あれは練習しているのかい?」
「遠距離での操作ですか?」
「そうそう。」
「はい、一応。
こないだの一週間のうちに他の人に張り付かせる練習はしておきました。
始めのうちは、かなりきつかったですね。
離れれば離れるほど微調整が聞かなくなって張り付かせた人にあたってしまったりして。」
「あぁ、なるほどな。
確かにはなれると制御は難しいよな。」
「そういえば、先輩方はどうして、今日の試合にでないのですか?」
「ん?
あたしは、今足首をけがしてるからね。
それが理由だよ。」
「私は、能力的に地味ですので。
それに武器がないと戦えませんし。」
「なるほど。
ところで、会長と副会長って戦ったことはあるんですか?」
「いや、なかったと思うよ。
今回が初めてのはずだ。」
「はい。
今回が初めてですね。
ただ会長とは先輩が、副会長とは私が戦ったことがあります。」
「そうなんですか、そのときってどんな感じだったのですか?」
「激戦ね。
あのフィールドが半壊したわ。
あの時はすごかったわよ。」
「私の時は、そこまで派手ではありませんでしたね。
強いて言うならば、彼女が蹴りで建物を粉砕したぐらいでしょうか。」
「それは、十分派手なのではないでしょうか......。
というかそれでよく生き残れましたね。」
「大振りの攻撃であればたいてい避けられますので。」
「そうなんですか。
ちなみに勝敗はどうなったのですか?」
「私たちがどちらも負けてますね。」
「最後は、火で暖められた空気をおしかえきれずに体勢を崩したところを一気に攻められてやられたんだよねぇ。」
「井内先輩の方は?」
「なかなかあたらないからか、ジャブをたくさん撃つやり方に切り替えられてからは捌ききれなくなってしまって。」
「なるほど、とりあえず今回の試合は、二年トップと三年トップの戦いってことですか?」
「そうだね。
二人が多分学年トップだと思うよ。」
「そうですか。」
「まぁ、その前に、決勝戦があるわけだからな。
頑張れよ。」
「はい、精一杯やらせていただくつもりです。」
「相手は、西野くんですからね。
いい勝負を期待しています。」
「やはり、主席対次席の対戦になったのか。
ところでなんだが、西野は能力的に戦闘には向かなくないか?」
「そうでもないですよ。
あいつは武術の腕はヤバいですからね。
それだけでも相当戦えますし。
それに、今回は使わないとは思いますが、いろいろと特殊な動物達を飼ってますからね。
毒を持った奴らも多いので、暗殺なんかにはぴったりですよ。
あいつの能力はね。」
「確かに有用そうですね。
ですが、今回に限ってはルール上他の生物の持ち込みは禁止ですから使えないでしょうけど。」
「そうなのか。
たしかに、虫なんかを操らせれば、暗殺なんかには最適だな。」
「そうですよ。
まぁ、本人は戦闘はあまり得意ではないとか言ってますけどね。」
「ともあれ、気を抜かないように頑張ってください。
観客席から応援しています。」
「あれ、観戦するのですか?」
「そうですよ。
最終日は生徒会のメンバーは観戦することができます。
毎年、生徒会の代表者で模擬戦をやるから、と言う理由だと思いますけど。」
「あぁ、なるほど。
では楽しみにしていてくださいね。」
「はい。」
「楽しみにしてるよ。」
そういって先輩達と別れ教室へと向かうのであった。
「......本日で最終日となります。
このクラスでは、北神くん、杉下さん、藤井さんのチームが決勝へと進出しています。
みなさん、彼らを応援してあげてください。
また、他にも、本日はちょっとした模擬戦があります。
そちらの方も是非楽しみにしていてくださいね。
以上です。」
先生からの応援と、クラスメートからの拍手を受け、その後、会場への移動となった。
移動の最中、二人が話しかけてくる。
「いよいよ決勝戦だね。」
「そうですね。
ここまで来たら絶対に勝ちたいです。」
「そうだな。
二人には期待しているぞ。
おそらく俺は秀樹で手一杯で二人の援護はかなり厳しいと思う。
頑張ってくれ。」
「分かった。」
「分かりました。」
「他の相手二人は任せたぞ。
俺は秀樹に絶対勝ってみせるから。」
そんな話をしながら、会場へと向かっていくのであった。
現在俺たちは控え室の中で出番を待っている。
三位決定戦は終了し、前回戦ったF組のグループが三位となったようである。
「よし、今から決勝戦だが準備はいいな?」
「問題ないわね。」
「バッチリです。」
「ついに決勝まで来たわけだが、ここまで来たならばどうせなら勝ちたい。
そのためには一人一人が自分の仕事をきっちりとこなすことだ。
いいな?」
「「はい。」」
「俺は、このチームが無効よりも劣っているとは思っていない。
実力では勝っていると思っている。
だがしかし、油断をすれば足下をすくわれるだろう。
心してかかれ。
相手は今までのどの敵よりも強いはずだ。
ならば我々は今までの試合よりもいい試合をしなくてはならない。
いくぞ、ファイトー「「オー!!」」」
「では、第一試合に出場する選手は所定の位置に着いてください。」
アナウンスが流れる。
こうして俺たちはトーナメント戦の第六戦目、決勝の舞台に挑むのであった。
「では、試合を開始します。
始め!!」
開始の合図がなる。
水球は一試合に十個までしか持ち込めないと言うルールになっていた。
しかも、ここは市街地のフィールドなのにも関わらず、水が張り巡らされていない。
水道があるのに水が出ないと言うまさかの事態である。
こんなの市街地じゃないだろうと思うのだがそうなっているからにはしょうがない。
ちなみになのであるが、水を扱える超能力者は少ない。
なぜなのかは、今現在はっきりしていないが、現在の主流の理論はそもそも、超能力者が生まれる原因となった災害に津波や洪水なんかの水害がほとんどなかったからではないかと言われている。
そのため、火を使う人や風を使う人などに比べ水を扱う人は圧倒的に少なく、日本では我が家の家系をのぞくと数人単位でしか存在しないのだ。
世界単位で見てみたとしても、その数は、百人前後しかいないと言われている。
もちろん水を操ると言ってもその人それぞれによってできることは千差万別なのだが。
なので、水が通っていないのは、そういう理由もあるのかもしれない。
とは言え、空気中や、地中には水分が割と豊富に含まれているのでそれを利用することはできる。
できるのだが、いかんせん効率が悪い。
やることはやるのだが、時間がかかるのであまり期待はできない。
と言うわけで、少しずつ水分を集めながら、敵方の方へと向かうのであった。
第十二話end
というか、前回
『次回は豪華二本立て』
とか言っておいてこの結果って言うのは大変申し訳ないと思うのです。
あと少しでトーナメント戦編は終わるはずです。
がしかし、まだまだ第一章は終わらないよ〜。
0時にもう一話投稿します。