第八話 私とチームメイトとトレーニングな日々
八話目にして他者視点が3つ目ということに驚きを隠せない。
第八話 私とチームメイトとトレーニングな日々
〜side澪〜
訓練二日目、午前授業だった学校が終わり、早速訓練場へと向かうこととなりました。
「よし、じゃあまずは昨日と同じように走るわよ。」
「分かりました。」
「了解。
ところで昨日と同じようにって?」
「あぁ、まず五周を十分で走った後、十周を十分で走るの。
っていうか、分かってないなら了解って言っちゃだめでしょ。」
「あぁ、了解了解。」
「返事は一回。」
「りょーかい。」
「微妙にのばさないの。」
そんなこんなで私たちは走ることになりました。
そして、十五周走り終わると、
「じゃあ、トラック一周が二百mだから二百mダッシュね。
全力で200mを走って、走り終わったら止まり、スタートから一分経ったらまたスタートね。
とりあえず、十本ぐらいかしら。」
短距離のスピードを鍛える訓練が始まるみたいです。
一応、最速で十五秒以内ぐらいで走れるのですけど、どれぐらいで行くものなのでしょうか。
分からないので二人についていくことにします。
すると、輝美ちゃんは十三秒前後、北神さんは十秒前後で走ったみたいです。
私の全力よりも速いですね。
やっぱり私には才能がないのでしょうか。
でも頑張ればきっとのびるはずなのです。
過去の偉人も「天才とは1%の才能と99%の努力である」と言ってました。
だったら、その1%がなくとも、天才までは行けないかもしれませんが一歩手前までは行けると思うのです。
と言うわけでやはり努力しなくちゃ。
そんなことを考えながら、二人よりも少し遅れた二十五秒程度で走りました。
「じゃあ次は防御の練習かな。
アタッカーは二人いるわけだし、身を守れるようになる方が優先度は高いわけだしね。」
「同感だな。
で、誰が攻撃するんだい。」
「そうねぇ......昨日使ってたあの氷弾あたりでいいんじゃない?
あれならあたったときのダメージもそんなにひどくはないだろうし。」
「そうだねぇ......杉下さんがそれでいいならかまわないけど。」
そういってこちらに目を向けてくる。
もちろん異論はない。
「はい、かまわないですよ。
よろしくお願いします。」
「あっ、じゃあさ、あたしも参加していい?
二人同時でやれば全員の訓練になるんじゃない?
二方向からの挟み撃ちとかにすればなおさらいいと思うんだけど。」
「よし、じゃあそういうことにしよう。
じゃあ、始めは水球は全部で五個、両サイドから攻めてくる形で最初の距離は二十メートルって言うところでいい?」
「いいよ〜。」
「分かりました。」
と言うわけで訓練が始まりました。
北神くんから大体二十m程度の位置に立ち、開始の合図を待ちます。
「じゃあ、俺の合図でスタートね。」
そういうと、こちら側に水球を二個、輝美ちゃん側に水球を三個セットしました。
「じゃあいくよ〜......始め!!」
その合図と同時に氷弾が飛んできます。まずは体験なのか一方の方からしか飛んできません。
そこからでてくる氷弾を右に左にと必死にかわしていきます。
しばらくすると、
「よし、杉下さんの方二個目もいくよ〜。」
「藤井さんの方は三個目いくよ〜。」
「じゃあ、距離を十五メートルにしようか。」
などと言う言葉がかけられます。
かなりスパルタですね、これは。
かなりつらいです。
でも、兄が受けてたおじいちゃんの訓練よりはまだましかもしれません。
おじいちゃんは自分の教育方針を「逆境に勝る教育なし」だとか言ってましたからね。
ともあれ、三十分ぐらいたったのかな。
訓練終了が告げられました。さすがに疲れて、座り込んでしまいます。
「杉下さん、お疲れさま。
結構つらかったよね、大丈夫だった?」
そんなことをいいながら、北神くんがビニール袋に冷えた水を入れたものを渡してくれます。
氷ではなく、水なのは多分冷たすぎないようにと言う配慮なのでしょうね。
なんというか、訓練中のスパルタっぷりとは打って変わった優しさですね。
「今日はとりあえずこれで訓練を終わりにしようと思うんだけどいいかな。」
「賛成〜。
もうへとへとだよ。」
輝美ちゃんにも冷えた水の入った袋を渡した後、北神くんがそう提案すると、輝美ちゃんがそう答えました。
まぁ、輝美ちゃんは私の倍ぐらいの量が飛んできてましたからね。
「はい。
それでいいと思います。」
私もその提案に対し、肯定の返事をして、今日の訓練が終わりました。
そして、訓練の後昨日と同じように駅までの途中にあるお店でお茶をすることになりました。
「まずは、お疲れさま。
結構疲れたでしょ。
ここは俺がおごるから好きなものを食べていいよ。」
そういってくれるので、ちょっとした軽食も追加で頼むことにしました。
「でも、初心者であれだけ避けられるのはすごいと思うよ。
だんだん氷弾の速度を上げていったんだけど、ちゃんと目も追いついていたみたいだったしね。」
「やっぱりあげてたんだ〜。
道理でだんだんきつくなってきたなと思ったんだよ。」
「そうですね〜。
でも実戦だとあの速度よりもずっと速く飛んでくるでしょうし、いい練習になりましたよ。」
「まぁそうだね〜。
明日からもとりあえず同じメニューでいいかな。」
「いいんじゃない。
あたし的には三日間は防御の訓練にまわしたいと思ってたわけだし。」
「私は鍛えてもらう側ですから、文句なんてもちろんないです。
それに、少しずつですけど身に付いてきているような気もしますしね。」
その後しばらく雑談をした後、輝美ちゃんの提案でみんな名前で呼び合うことになりました。
確かに名前で呼び合った方がいい関係を築けそうですし、いい案ですね。
家に帰宅し、お風呂に入っている最中、訓練について考えます。
トーナメント戦まで後一週間。
なんとかみんなの足を引っ張らないところまでは自分の実力を上げたいのです。
教えてくれている二人は最高の先生だと思うので、後は私が頑張るだけです。
「明日からも頑張ります。」
そうつぶやいた後、胸の前で小さくガッツポーズをし、お風呂からでました。
第八話end
おじいちゃんの出番は第二章以降なのです。




