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超能力者達の学園  作者: トリブレイシオ
第一章 高校一年春 前編
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第七話 とある女子高校生の一日

 第七話 とある女子高校生の一日

 〜side輝美〜


 えっ、何この身体能力。

 戦闘能力はほとんどないとか、完全に詐欺じゃん。

 そんなことを思いながらあたしは、模擬戦闘をおこなっていた。




 高校への入学初日、あたしはクラスでグループを組むことになった。

 どうやら一週間後に行われるトーナメント戦のグループらしい。

 紙をもらったので自分の名前を探していると、あ、あった。

 杉下澪っていう子と北神秋水っていう子がメンバーらしい。

 確か、北神くんの方は今年の主席の人だったはずで、前で話していた人だろう。

 主席って言うからにはやっぱり強いのかな〜。

 ちょっと手合わせをしてみたいなと思った。

 主席にはかなわないとは思うけどそこそこ勝負できるんじゃないかな。

 小さい頃から習っていた武術のおかげでそこそこの身体能力には自信があるのである。

 一方で能力の方は、体から離れれば離れるほど弱体化してしまうのだけど。

 まぁ、訓練を行うわけだし、そのうち機会はあるだろうからしっかりと手合わせをしてもらおう。




 そんなこんなで自己紹介をし終わった後、あたしは澪と一緒に訓練することになった。

 戦闘能力はほとんどないらしく、武術の経験もなく、能力も戦闘向きではない。

 連絡や、タイミングを合わせたりするためのテレパシーは使えるらしいから、後は少しでも相手の攻撃を避けたりそらしたりできるようになれば、御の字というところかな。

 全くの初心者に一週間であんまりたくさんを求めるのも酷だしね。

 とりあえず、ウォーミングアップと体力作りって所かな。

 今現在どれくらいできるのかも見ておきたいしね。


「さて、まずは体を温めるために周りを走るわよ。とりあえず5週ね。」

「はい。」


 一周二百mを五周で一キロ。

 これでついて来れないとしたらかなりヤバいなぁ。

 もしそうなったらどうしようか、などと考えながら走る。

 ゆっくりと十分ぐらいで一キロを走るペースでいく。

 後ろを振り返ると、しっかりとついてきていた。

 あぁ、よかった。

 これぐらいの体力があるならひとまず合格かな。

 じゃあ、次はどこまでついて来れるか見てみようかな。


「よし、それじゃあ、次は十周を十分で行くわよ。」

「はい。」


 さっき走っていたのの倍。

 ついて来れないかもしれないけど、がんばって走りきってほしい。

 さて、何周持つだろうか。

 一周目、後ろを振り返るとしっかりとついてきている。

 二周目、後ろを振り返るとしっかりとついてきている。

 三周目、後ろを振り返るとしっかりとついてきている。

 三周ついて来れればいいなと思っていたけどそこそこ走れるんだなぁ。

 そんなことを思いながら十周走りきると、しっかりと後ろについて走りきっていた。

 しかも、息も全くきらせていない。

 少し驚いていると、その動揺が顔に出ていたのか澪がこちらに話しかけてきた。


「輝美ちゃん、どうしたんですか?」

「いや、運動は全然って言ってたからついて来れないかなと思ってたから少し驚いていただけよ。」

「さすがにバカにし過ぎですよ。

 ウォーミングアップでついていけないほど運動音痴ではないつもりですから。」


 ウォーミングアップは最初の方だけで、次のはどれぐらいできるのかを確かめるためにやったんだけどな〜。


「そ、そうなんだ。本当に運動とか何もやってなかったんだよね?」

「はい。

 なので、訓練についていけるかは分かりませんけど、よろしくお願いしますね。」


 そういって頭を下げてくる。


「いや、どう考えたってついていけるでしょ。

 ていうかこれで戦闘能力はほとんどないって詐欺じゃん。」


 そういうが聞こえなかったみたいだ。

 まぁ、いいか。

 身体能力は高いけど、戦闘のセンスがないって言うことなのかもしれないし。


「まぁ、とりあえずおいておくとして、まずは実際に模擬戦をしてみましょう。

 こっちからは攻撃しないから実際にうってみて。

 悪いところがあったら指摘していくから。」

「分かりました。

 では、杉下澪、まいります。」


 さてさて、実際の戦闘能力はどんなもんなのかな。

 すると、澪は剣を一気に相手の喉元あたりをめがけて突き出してくる。

 速っ、ていうかなにこれ、殺しにきてるの?

 確実に戦闘能力は高いよ、ていうかどうして戦闘能力は低いって思うことになったんだろう?

 正直謎だなぁ〜。

 でも、武術の経験がほとんどないって言うのは多分本当だな。

 攻撃が単調だし、隙も大きいしね。

 じゃ、そろそろこっちからも軽く攻撃していきますか。


「じゃあ、今から私も反撃するから気をつけてね。」


 そういって反撃を始める。

 こちらが攻撃を始めると、やはり、動きが乱れ始めた。

 実戦になれていないんだろうな。

 でも、この動き方なんかはどこから仕入れた知識なんだろうか?

 そんなことを考えながら、相手の悪い点を指摘していくことにする。


「足下がお留守だよ!!」

「相手の動きをよく見ないから簡単にカウンターの流れに持っていかれるんだよ!!」

「攻撃が直線的で単純すぎるよ!!」


 そんなことをし続けていると目の端で北神くんが訓練場に入ってきたのが見えた。

 それじゃあとりあえずここまでにしておきますか。

 あたしは澪が振り下ろしてきた剣を思いっきりはじき飛ばして終わりにする。

 っていうか力強いな〜。

 腕とかあんなに細いのにどこからそんな力が出ているんだろう?

 試合が終わったのを見て、北神くんがこっちに近づいてきた。


「杉下さんは戦闘能力はほとんどないと言っていたわりになかなかセンスはあるみたいだね。

 まぁ、それをいなしている藤井さんはさすがだけど。」

「いや〜、あたしはまだまだだよ。

 それより澪はすごいよ。

 今日初めて剣を持ったらしいのに、ここまでできるようになったんだから。

 才能あるんじゃないかな?」


 いや、なかなかというかめちゃくちゃだよね、むしろ。

 そんなことを考えているとスポーツドリンクを渡してくれた。

 いや〜、のども乾いてたし、うれしいね、こういう気配りは。

 のどを潤し終わったところで、今日は後訓練をどうするかを聞いてくる。

 う〜ん。ちょうど戦ってみたいなと思っていたところだったし模擬戦をしてみようかな。




 というわけで模擬戦をすることになった。

 う〜ん、どれくらいの力量なんだろう。

 まずは体をあっためるという意味合いも含めて能力なしでの戦いである。

 こっちから仕掛けていいよということなのでさっき澪が放ったのと同じ場所に突きをはなつ。

 それに対し、首をひねってかわした上で蹴りを入れてきた。

 さすがの戦闘能力と言ったところか。

 北神くんはカウンター中心で、自分からは攻撃はほとんどしてこないが、技の切れはかなりいい。

 あたしと互角か、それ以上だ。

 そして、しばらく戦闘をつづけていくと、


「それじゃあ、そろそろ能力の使用ありということにしますか。」


 能力の使用ありに使用という提案がでた。


「オッケー。

 それじゃあ、あたしから行くよー。」


 見せてもらおうか、今年度の主席の本気とやらを。

 そんなことを考えながらあたしは風を纏い、斬り掛かると同時に風弾をうつ。

 風弾を牽制として、本命は風を纏わせた剣、と見せかけて同時に死角からうった風弾を本命とする技だ。

 スピードをさっきよりも上げることで相手の動揺も誘っている。

 個人的にはなかなか自信のある技であるがどうだろうか。

 すると、ポケットからだした青い色のビー玉から一気に水が噴き出し、風弾をガードしてしまった。


「なにっ!!」


 さらに剣の方は相手の剣にブロックされ、反対の手に持ったビー玉から水の剣が生成される。


「やばっ!!」


 あたしはあわてて後ろに引くと立っていた場所にその剣が打ち込まれた。


「いい反応じゃないか。

 では、今度はこちらから行かせてもらおう。」


 ポケットから青いビー玉を十個ぐらい出してそこから水弾を作ってくる。

 その水弾が体の周りを回り、そのうちの一つから一気に小さな氷の玉が射出された。

 水だけでなく氷も操れるらしい。

 それを回避しながら攻撃のチャンスを窺うが、いっこうに水弾がなくならない。

 消えたそばからまた生成されているのである。

 これじゃあ、埒が明かないと思って、突撃しようとするが、同じことを思ったのか、二つの水弾から氷の玉が打ち出された。

 なんとかかわせているが、もう一つ増えたらかなり厳しくなってしまう。

 やむを得ない、風で防壁を作って突撃するか。

 そう思って一気に突撃を開始する。

 風で氷弾をはじき飛ばし、全力で接近する。

 そして、剣の射程に入り、振りかぶった瞬間、目の前に巨大な壁が出来上がった。


「しまった!!」


 そう思うがもう遅い。水の壁の中に剣を打ち込んでしまう。

 そして、その水の壁が凍り、武器を取られてしまった。


「これは、俺の勝利ということでいいのかな?」

「まいりました。」


 がっくりと膝をつく。

 こうして初めての模擬戦はあたしの完敗で幕を閉じたのであった。




 夜、学校からの帰りの途中で明日からの予定を立て、風呂に入った後携帯にメールが来ていた。

 澪からのメールだったようで、「これからよろしくね。」的なことが書いてあった。


「あたしも二人に送っておくかな。」


 そう思って二人にメールを送り、ベッドに入るのであった。



 第七話end

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