バイクと桜並木。
あの戦闘から少し。
自立兵の数はさらに増え、逃げ回るのですら難しくなった。
見つかれば逃げた先でまた見つかる。
おそらく銃声一発で四部隊くらい来るだろう。
なので俺は暗い路地裏をひっそりと移動していた。
別に首都に行く必要もないのかもしれない。
だが、一度行ってみたいのだ。
こんな世界だ。やることもない。
一度でいいからこの世界で最も栄えた最大の都市を。
見てみたい。
そう考えていると、
「またか。」
またいた。
これで何度目だ。
自立兵にあったのは。
正確には一方的に認識しているだけだが。
ちなみに俺は最近敵の密度が大きいので拳銃を変えた。
今まで最初に手に入れた拳銃だけでやってきたが、さすがに無理と判断した。
広く普及した11ミリ拳銃弾ではなく、6.72ミリ高速弾だ。
さらにサイレンサー搭載。
これが一番の目的だ。
近い距離で頭の神経デバイスを撃てば殺せる威力で、さらには消音。
最高の銃だ。
さらにはこのサイレンサー。
俺の愛銃にもつけられる。
つまりそこそこ距離があっても対処ができる。
今回みたいに相手にバレてないけどこちらからはわかっている状況で使える。
ちなみにだが、倒した瞬間に情報を回りに発信するという機構は搭載しているが、軍のサーバーに送る形なのでその情報を送信されなければバレることはない。
サーバーはおそらく停止しているので大丈夫だ。
そして前回倒した四脚を見て分かったことがある。
あまり機械はわからないが、明らかに壊せと言っているような場所があった。
上部の小さな突起を撃てばカメラが死ぬ。
最初にカメラを壊せば、あとは排熱のために装甲が薄い機体中央部に撃ち込めば敵の脳部分パーツが壊れる。
……はず。
まぁ、物は試し。
俺は愛銃にサイレンサーを取り付け、こちらに背中を向けている自立兵に照準をつける。
敵は四人構成。それと四脚。
四脚はその大きさによって旋回が多少遅い。
自立兵四人を破壊するころに旋回終了するころだ。
俺はそう信じ、引き金を引いた。
サイレンサーによって銃声が消され、ほんの小さな音が鳴った。
俺はすぐさま、次の自立兵へ照準をつけ、引き金を引く。
反動を全身に受け流し、排莢が終わり次第、次の自立兵に照準をつける。
また引き金を引き、同じ流れを繰り返した。
四人を一瞬で壊し、次に四脚の上の突起に照準をつける。
そいつは完全に旋回を終わらせていたが、動じずに引き金を引く。
うまく命中し、級にそいつの動きが不安定になった。
あとはもうすでに知っている弱点部を狙って連射する。
そうすると、そいつは沈黙した。
……よかった。見立ては外れてなかった。
それにここまでうまくいくとは。
一発も外さない俺さすがだ。
といっても、照準補正システムというのが体につけられているんだが……。
まぁ、俺さすがだ!
ということで俺は先に向かって暗い路地裏を歩いた。
あれからそれなりに歩いた。
明らかに景色が変わった。
昼間でもビルから光が漏れ、活気にあふれているように見えた。
だが、人はいない。
空っぽの街だ。
ちなみに自立兵は消えた。
さすがに都市には入ってこないらしい。
もちろん首都ではないが、かなり栄えている。
おそらく俺たちの国の首都ぐらいには栄えているだろう。
俺たちの国とは格が違う。
ところどころビルの頂上に迎撃兵器と思われる兵器があったが、おそらく起動させないとダメなのだろう。
起動準備すらしていない様子だ。
俺はそんな中歩いた。
そして、かなりいいものを見つけた。
放射線で壊れているかもしれないが、バイクだ。
俺はちょっとした夢があった。
無人都市でバイクに乗って走ることだ。
俺は近づき、飛び乗った。
エンジンをかけてみると、ブロロロとエンジン音が静かな都市に響いた。
俺は道路に向かって走り出した。
「盗~だバイクで~だす~」
俺は大声で歌いながら無人都市のど真ん中を爆走していた。
やっぱこの歌を歌わないとね。
沈黙した、空っぽの都市にバイクのエンジン音と俺の歌声だけが響く。
誰もいない。
それは少し寂しかった。
俺は走った。
バイクに乗り、大声で歌い、気になったゲーム屋に入り、同人作品を見たりした。
ほとんど都市一周する勢いでバイクをかっ飛ばした。
ちなみに同人作品は一作品だけ取った。
題名は、東~地霊~。
~のところは字がかすれてほとんど読めなかった。
一つ目の~は「方」だったようにも見えたがわからなかった。
とりあえず首都についたらやってみようかと思った。
そして、バイクを飛ばしている途中できれいな景色を見かけた。
きれいな河川敷だ。
夕方の太陽の光を浴び、水面が光り輝いていた。
きれいだ。
都市の中でここまできれいとは。
さすがラフェル。
そして、少し歩くと、桜並木があった。
桜はおそらく輸入品が植えられたんだろうが、放射線の中でも元気に花を咲かせていた。
桜の道ができていて、夕日にあてられ、花が光っていた。
きれいだ。
これがいわゆる絶景というやつだろう。
死ぬ前に一度見ることができて幸せだ。
桜は花びらを終わることなく散らせ、近くの川の水面に花を浮かべていた。
その姿がまた美しい。
戦争が始まる前はここはかなりいい観光スポットになっていたんだろう。
それが一年間の来場者が一人だ。
もしかしたら、あと数人いるかもしれないが。
「嗚呼。本当にきれいだ。」
俺はその景色を目に焼き付け、その場を後にした。
あの桜並木を抜けて少し。
バイクは都市を抜けてから音で自立兵にバレるのが嫌だったので途中で放置してきた。
じゃぁな。バイク。元気にしろよ。
俺はまたも徒歩旅になった。
「さぁ。首都もあと少し。もうひと踏ん張りだ。」
そう鼓舞し、俺は歩き出した。
読んでくださりありがとうございます。今回はいつもより短いです。今後、一時の間投稿が遅くなるかもしれません。すいません。気長に待ってもらえると嬉しいです。評価等お願いします。




