終末旅。
あのタワマンから出て少し。
首都の郊外を抜けようとしていた。
それがなぜわかるか。
それは、周りの景色だ。
さっきまでも十分、近未来感あふれる街並みだったが、ここはその数十倍だ。
街全体が白で統一されているようで、ほとんどの建物が白色。
それに、歩道のわきに木が立ち並び、無機質な最先端街ではなく、自然と共存したように見える未来都市だった。
ビルなんかにつけられているモニターには今も3Dで飛び出ているように見える動画が再生されていた。
なんというか、こう、ビルにツタが生えていれば未来の荒廃都市みたいですさまじく映えると思うな。
だが、あんなアニメみたいな状況そうそうならない。
だって、未来だぞ。未来技術だぞ。超最新技術によって都市の管理システムぐらいあるだろ。
植物が繁殖しないように水分を管理したり……とかあるわけだ。
そういうのがあるんだからまずアニメみたいな状況にはならない。
なってくれればエモいんだが。
そんな妄想をしながら俺は、とりあえず首都の中でも一番栄えている場所に向かった。
「すげぇ。」
圧巻である。
さっきまでの郊外を少し抜けた程度の場所とは大きく違う。
近未来感あふれるビルが立ち並ぶのはもちろん。
道路には大量のタクシーがあった。
それも、浮遊型の。
道路はおそらく電子機器に干渉しない磁石かなんかがあるのだろう。
それによって浮いていると聞いたことがある。
俺は試しに乗ってみることにした。
[ようこそ。ラフェルの都市、ラフエルへ。どこへ向かわれますか?]
ドアを開け、乗った瞬間にそう言われた。
「え、あ、じ、じゃあ、布武のあるところまで。」
何言ってんだ俺。怪しさ満点だろ。
布武って世界最大のサーバーだぞ。
俺が内心焦っていると、
[サーバー、布武でよろしいですね。ご友人などとの待ち合わせですか?]
そう、話しかけてきた。
何これ怖い。
ラフェル怖い。こんなノールックで人間と会話できるAIなんて。
「えっまぁはい。」
[布武は、なぜ布武という名前なのか知っていますか?]
「知りませんけど……。」
なんだこのAI。すげぇ。ちゃんと会話のラリーをノールックでするし、話題提供もできるなんて。
[布武はもともと、軍用に作られたサーバーなんです。ミサイルやドローンなどを感知したり、自立兵を操作したり。そういう用途で作られたんです。なので、ある神話で武力の神様である、布武という名前を付けたのです。]
「そ、そうなんですね。」
[はい。では、到着いたしました。どうぞ、ラフエルを存分にお楽しみください。]
あっ。お金。俺一銭も持ってない。
[私は国営タクシーですので、お代はいりません。どうぞ、今後とも気軽にご使用ください。]
まじか。すげぇ。ラフェルすげぇ。
「ありがとうございました。」
そういい、タクシーを降りた。
「これが布武か……。」
さっき、待ち合わせかと聞かれたが、確かに待ち合わせ場所によさそうだ。
でかすぎる。
俺は、中に入った。
もちろん扉は開けた。物理的に。
こういう時に改造の身はいい。
そう思いながら、中に入った。
まず最初に入ると、制御室だろうか。大量のモニターが表示された部屋に行けた。
モニターには何やら難しそうな図や表、数字が並んでいた。
よくわかんないのでとりあえず無視する。
そして、布武接続部と書かれている場所に行った。
そこには、端子類が大量に並んでいた。
USB-AやCなどのUSB系統にディスクドライブ。見たことないレベルの古い接続端子?もあった。
うっひょー。ゲームできるじゃん。
と、思ったが少し思い出した。
「国のデータが入ってるんだっけ?」
あくまで噂だが、やってみたい。
もしかしたらあの制御室的なものから見れるかもしれない。
なので早速適当にいじってみる。
キーボードを打ち、モニターに表示されているものを削除できないかやってみる。
ctrl+shift+escっと。
そうすると、起動しているものが表示された。
もちろん選ぶは映っている奴だ。
俺はそのタスクを終了させた。
すると、見覚えある画面に移行した。
普通のOSらしい。
なら、ファイルを開く。
「は⁈」
そこに表示されたのは容量。
450穣PB
PBとはペタバイトの略。
ペタバイトとはテラバイトの1000倍。
テラバイトとはギガバイトの1000倍。
つまり何が言いたいかというと異次元ということだ。
さらに穣はどれくらいすごいのか俺もわからない。
とりあえずわかることを言おう。すごい。とにかくすごい。
語彙力がなくなるレベルの容量に驚愕しながらも、ファイルを開いてみた。
化け物みたいな容量なのに一瞬にしてファイルは開いた。
中を見てみると、ファイルがたぁくさん。
わぁ。すごいなぁ。この中から国のデータを探すのか~あはははははは。
無理だな。
だが、あきらめない。
ちょっと探してみた。
まずは手始めに検索をかけてみる。
国家情報っと。
これで出てきたらファイル名をこれにしたやつをクビにするべきだと思う。
そう思いながら、エンターキーを押した。
「よし。クビだな。」
いやまぁ、管理を楽にするためにこんな名前にしているのかもしれない。
だからといって、本当に国家情報って名前にするか?
灯台下暗しというやつか……。あほだな。
ということでそのファイルを開いてみる。
だが、何か出てきた。
パスコードを解いてください。
まぁ、そりゃあるよな。なかったらおかしい。
とりあえず1111っと。
まぁ、これであっていたらおかしいよな。
とりあえず面白半分でエンターキーを押す。
……あ。
画面に表示されたのはキーの認証を完了。
本当にあほなんだろうか。何考えてんだよ。
俺は、了解ボタンをクリックした。
だが、次が難関だ。
大量の数字の羅列。
……ちょっとわからないっすね。まずなんだよこれ。
あれか。サマーウォー〇の暗号か。
あれの数字の羅列に似ているようにも見えなくは…ない…か?
少なくとも俺にはわからない。
[暗号を確認。解読を開始します。]
「は?」
どこから音がした?いや、本当にどこから音がした?
どこの機械からだ?
[電力供給が必要です。USBを接続してください。]
その音が鳴った時、手の甲からUSBが出てきた。
「うわああああああああああ!!!!!!!」
は?こんなのあるのか?意味が分からねぇ。
USBを接続しろ?したらどうなんだよ。
体に電気が流れて死ぬだろ。
俺は必死に改造シュッ術を受ける前の説明を必死に思い出す。
こんなの言われたっけ?
いや待て。こいつが言ったことを思い出すんだ。
[暗号を確認。解読を開始します。]
つまり、これが暗号というわけだ。その解読をしようとしていると。
暗号を解読する。電気を必要とする。
暗号解読用AIか。
おそらく俺が知っている、子供たちの遊び用の解読AIとは程遠いのだろう。
俺は一度心を落ち着け、勇気を出してそこにあったUSBケーブルを手に取った。
大丈夫。軍の改造によって出てきた奴だ。
安全だ。安全だ。
そう言い聞かせ、USBを差した。
[電力供給を確認。手の甲を暗号に向けてください。]
よし。体に異常はない。なので言われた通りに向けた。
[解読中。周囲を警戒してください。]
周囲を警戒といってもまず警戒すべき人間がろくにいない。
……あの老技師は元気にしているかな。
久しぶりに思い出していると、
[解読完了。データとして保存します。ただいまからアイ・スクリーンに解読内容を表示します。]
そういわれたとたんに目の前に数字が表示された。
49720897611736548163740085
おそらくこれがパスワードだろう。
すげぇ。AIすげぇ。
そう思い、表示されているうちに一気にうち終わった。
うち終わった瞬間に表示が終わったので危なかった。
俺はエンターキーを押した。
これであっていたらAIは本当にすごい。
[パスワードが不一致。保護機能を起動します。]
押した瞬間にパソコンから音声がなった。
その瞬間、そのファイルの削除が始まっていた。
「えっちょ。ま、」
待ってくれずに削除が完了された。
まじかよ。
AI間違ってんのかよ。まじかよ。
あーもうだめだこれ。
そう思ったのでやけくそで接続部に行き、かなり前に俺がどっかの港で手に入れたUSBを取り出した。
「布武で開けないファイルはあるはずがねぇよなぁ!」
半ば切れた声でUSBを差し込んだ。
すると、一番大きな画面が切り替わった。
といってもファイルが開かれただけだ。
そのファイル内には一つだけファイルが入っていた。
俺はさっきまで捜査していたパソコンへ移動し、その名前もないファイルをクリックした。
すると、中には一本の動画とドキュメントがあった。
俺は最初にドキュメントを開いた。
そのドキュメントを開くのに布武を使っても数秒を要した。
どんだけ容量大きいんだよ。
表示されたのは大量の文章に画像。
一番上にはラフェルという文字と国旗が映してあった。
つまりラフェルのことに関して書いてあるのかもしれない。
俺にはよくわからないが、画像は何かの設計図のように見えた。
何なんだこれ。
ところどころ文を読んでみるが、よくわからなかった。
適当にスクロールしても終わりが見えない。
とりあえず下を見ようと思い、一気に最深部へスクロールした。
最後の一分にはこう表記されていた。
〈以上の構造をした転送装置を使い、目標国に対して爆撃を行う。〉
……転送装置。
いつか作られるのではないかとささやかれて何十年もたった。
世界中のエキスパートたちが必死になって研究した代物。
それをこのラフェルは完成させた。
おそらくだが、ほかの国には公表しなかったんだろう。
なぜ公表しなかったのか。この発明は人類の技術革新にもなりえる代物だ。
莫大な金を生み出すであろうものをなぜやらなかった。
だが、それもおそらく最後の言葉が説明している。
目標国に対して爆撃を行う。
これを秘密裏に進めたいのだろう。
そのためにこんな莫大な金のなる大樹を秘密にしたのだろう。
そしてその目標国は。
おそらく俺らの国だ。
つまり、このラフェルが世界の終末のトリガーを作り、引いたというわけか。
ずっと不思議に思っていたことが解消された。
レーダーにも映らず、突如爆弾が降り注いだ。
おかしいはずだ。
なるほど。こういうことか。
なんだろう。世界の秘密を知ったようなものなのになぜこうも俺は冷静なのだろう。
まぁ。どうでもいいか。
なぜだかいろんなことがどうでもよくなってきた。
ゲームだって、この真実だって。
なんでだろう。
そんな疑問もどうでもよく感じた。
嗚呼。なんなんでだ!俺はどうなってしまったの?
俺?私じゃなかったけ。
まぁ、どうでもいいか。
あれ?そういえばなんで俺って布武に行くって決めてないうちに首都に行こうとしたんだっけ?
なんでだっけ?
わからない。
知りたい。でもどうでもいい。
そんな意味の分からない感じだ。
なんなんだ。
嗚呼なんだか意識が遠のいているような気がする。
そして、本当に目をつぶる瞬間。
思い出した。
老技師の言葉を。
お前さん、精神機あたりがかなり壊れておるの。
精神機?
……そういえば、老技師の手術を受ける前になんだか凶暴な言葉を吐いたっけ?
それが再発したのか?
まぁ。どうでもいいや。
そう思い、俺はそのまま意識を放棄した。
読んでくださりありがとうございます。一旦、これで完結です。多分、これ完全の終わりではなく、ほんとに短い後日談を後で出したいと思っています。その時はまたお願いします。
そして、最初の時から読んでくださいっている方、途中から読み始めてくださっている方。本当にありがとうございます。今後も書いていきたいと思いますのでよければ読んでください。
そして、1話に感想を書いてくれた方。3話を出したころに感想を書いてくれた方。すごいうれしかったです。覚えるぐらいにはうれしかったです。本当にありがとうございました。




