食料を求めて。
世界が終焉を迎えようとしている。
そんなことを最初に言った俺のことを中二病と思っただろうか。
だが、残念ながら俺は正常だ。
ある日、いつもと変わらない日常が過ぎていた。
その時間が来るまでは。
何もわからなかった。
ただ空から無限にも見える、青空を見ることができないレベルの量の爆弾が落ちてきた。それだけは理解が追いついた。
一瞬で日常が壊れた。
爆弾が落ちた国は他の国へ追及を始めた。
だが、どんな大国だろうが否定した。
そんな量の爆弾を搭載させてレーダーに映らない。
そんな爆撃機なんてこの世に存在しない。
テレポートなんて未来の技術はない。
だが、それでも一番の敵国に責任を吹っ掛けた。
そうでもしなければやってられなかったんだろうな。
すぐさま戦争が始まった。
さらにその国の軍部はどう頭が狂ったのか。ほかの国にも攻撃を開始した。
そして、さらにさらに狂ったらしい。
戦争の約50年前に完全に廃棄され、持つこと、開発すること。
すべてが禁じられたはずの核弾頭を世界各地に落とした。
一瞬で世界は消えた。
地球上にある建物はほぼすべてが全壊。
地球は生き物が住めない星に変わった。
だが、それでも少しだけ。
命があった。
およそ住めない世界。ひっそりと長い長い歴史を閉じようとする世界。
その中でひっそりとささやかに命をつないでいた。
だが、もちろん。
人間が生き残れたなら自立型兵器も生きていた。
壊れかけのビルから少しだけ頭を出す。
……よし。兵器はどこにもいない。
安心して少しだけ壊れていない隣のビルにへ走る。
「さぁ。何かいいものは……。」
一階の部屋を見渡す。
あるのは一つの受付カウンターとエレベーター。それと階段。
俺はカウンターに向かう。
この世界はあの謎の爆撃があってから銃の民間所持が認められている。
つまり対策としてカウンターなんかに銃があったりするのだ。
「ビンゴ。」
やはりあった。
あったのは一挺の拳銃と弾薬。
安っぽいプラスチック製のフレームと軽い金属製の銃身の9ミリ自動拳銃だ。時代遅れになったアイアンサイトにむき出しの銃身。挙げ句の果にはトリガーセーフティーだって無いときた。安価大量生産用の民間モデルだ。
口径11ミリが一般的になった軍用の拳銃よりも圧倒的に弱い。
まぁ。ないよりかは幾分マシだろう。
その拳銃と弾薬を手に取り、腰のホルスターを若干外に向けて入れた。
もう用はないのでビルを出る。
こういう仕事用のビルは食料なんてない。
ということで外に出て次の目的地を考える。
まぁ。まずはあの、工場だろう。
こういうのは工場にいいのがあったりするものだ。
ということでそっちに向かって歩き出した。
暫く歩くと工場についた。
ところどころ塗装の剥がれ、欠けた、コンクリート製の武骨で真四角な工場。
「こいつの扉は……。」
あった。
鉄のシャッターで閉じられた工場に入り込んだ。
中はなんと電気がつけてあった。
奥で名称もわからない電気関係みたいな機械が静かな工場内で一定のリズムで低い音を出し続けていた。
発電施設も止まったこの世界で電気というのは貴重だ。
この街に予備電力があったわけではないから、おそらくこの施設に発電機があるんだろう。ここで生きるのもいいかもしれない。
そう考えながら工場内を探して回る。
この工場がどういう工場化もわからないが、まずほしいのは食料。その次に軍用装備。
できればこの工場が食料生産施設であってほしい。
希望的観測を胸に探し続けるが、軽く見た程度ではなんの工場かはあまりわからない。
だが、ベルトコンベアーがずっとつながっているところを見ると、物流系かもしれない。
なんとなくの予想を立てて色々回っていると、段ボールの山を見つけた。
物流系かもしれないという予想があっていれば段ボールの中に食料とか、便利なものが何か入っていないだろうか。
いくつかのダンボールを開け、中によくわからない機械類だけが入っているのを確認し、それらをどけた。
その後も山積みのダンボールをいくつも漁ったが、結局一番マシだったのはラジオぐらいだった。と言っても放送局も機能していない以上、ろくな使い道はないだろう。
外れか。と思いながら、またいくつかのダンボールを開ける。そして、ようやく期待できそうな見た目のものを見つけた。
明らかに他とは違う雰囲気を放つ金属製の箱。その箱を持っているところどころ刃こぼれてしているナイフでこじ開けた。
「おえぇ。」
箱の錆びた外観からなんとなく予想していたが金属臭い。錆びて変な匂いもするし、金属独特の匂いも結構する。
鼻をつまみながら中にあった四角形の袋を取り出した。
一度あの箱から離れ、その袋を見てみる。
その袋には「臨時戦闘糧食」と書いてあった。
…勝った。
つまりこれは前線の兵士に輸送される戦闘糧食だ。栄養価もカロリーもかなり高い持続的な活動に向けたものだ。
今のこんな状況にここまで最適な食料はないだろう。
日持ちのする食べ物というだけあって、製造日は2年ほど前だが消費期限はあと1年半ほどは持つ。
安心して封を切り、ひとくち食べた。
久しぶりの飯ということもあるのだろうが、濃いめの味付けがものすごく飢えた口に思い切り突き刺さる。だが、ドロっとした下に残る本来の不味さが空腹化でもしっかりと効いている。それでも、
「あ〜ウメェ。」
と勘違いする程度には濃い味が誤魔化していた。
ここに住んで一日目。
早速問題発生である。
ここは施設だ。それに物流ということでサービス業。つまり物品を守る警備ぐらいいる。
民間業者向けの人型防衛AIだが、俺の持っている拳銃よりもいいライフルで武装してやがる。
遠目から見ただけだが、ライフルは軍用向けではなく、民間の護身用だ。だが政府への所持許可申請をしなければいけないだろうなと思うレベルにはいい30連マガジンをつけた突撃銃だ。
それに、そんないいライフルをつけているってことはそこそこいいAIだろう。反乱なんか起こされたら困るしな。
ちなみに最初見つからないで済んだのはおそらく、俺が入ったことで警戒態勢になって入り口に集まったからと予想する。
さぁ。どうしようか。
あとここにある食料も放射線に少し浸食されている。
俺は外からの放射線は耐えられるように肉体改造されたが、さすがに体内に毎日直接入れるのはちと厳しい。
だからいくつか食料を持ってさっさと放射能の少ない場所に逃げたいが、AIのせいで出られない。
「殺られるくらいなら殺れるように努力する。」
もともといたところの言葉を思い出す。
「よしいっちょやるか!」
そういい、立ち上がった。
拳銃片手にゆっくりと足音を立てないように壁に張り付きながら移動する。
ドンパチは全然勝てる自信はあるが、体の機械にも負荷がかかる。技師もいない状況で機械が壊れればおしまいだ。
角に直面したら、耳を澄ます。
AIの足音が聞こえるか聞こえないか判別する。
今回はOKだ。
戦わなくていいなら戦いたくない。
だがあいつらの銃は欲しい。
さすがに拳銃一挺じゃこの先厳しいだろう。
また角に当たった。
俺はとにかく耳を澄ます。
……。いる。一機。
「ふぅ。」
小さく息を吐く。
この拳銃は装弾数12発。フルオートは不可能。貫通力は明らかに足りない。
敵の胴体は固いだろうし、一発でやれない。狙うなら、頭。神経デバイスだ。すべての制御装置。脳だ。
と言ってもこの銃じゃ頭を撃ち抜いても怪しいレベルだ。銃はあくまで使うとしても足止め程度だ。
物音を立てないようにその場で立ち止まり、銃を構える。
さぁ。いつでも来い。
………耳を澄まさずとも足音が聞こえるようになった。
カシャ。カシャ。
何度も戦場で聞いた自立兵の機械が噛み合い、床をこする音がゆっくりと、しかし確実に近づいてくる。
そして時が来た。
そいつが角を曲がったとたんにそいつの足の関節部へ拳銃弾を打ち込む。
若干外れて関節の上へ当たってしまったが、少しよろけた。
その瞬間を逃さず足を曲げ、ためを作ってから足の機械のバネをうまく使って思い切り胴体へ蹴りを入れる。
金属製の胴体がコンクリートの床をギリギリと不快な音をかき鳴らし、そいつは倒れた。
胴体に若干の凹みができたが、内部までは見えていない。急いで駆け寄り、相手が体制を立て直す前に頭を思い切り踏み潰した。
そしてすぐさまそいつのライフルを拾い上げる。
[登録済みAIと合いません。責任者に連絡し、登録してください。]
そんなAIの読み上げ音が聞こえてきた。
「あぁもう。クソが!」
その瞬間にさらにクソになった。
施設内に一気にブーブーという警報音が響いた。戦場の空襲警報よりもマシだ。
おそらくAIを転ばせた瞬間にシステムに警報を鳴らすという命令を送ったんだろう。
畜生!考えてなかった。
俺は急いで出口に向かって走った。
できればこういう状況にはなってほしくなかった。
面白くねぇ。
[侵入者が扉に向かっています。警備隊は向かってください。]
バカか。侵入者に聞こえるように言ってどうする。
俺はほかの扉をしっかり見当をつけている。
ベルコンベヤーの先だ。
ここは物流。つまり荷物を外に出してから搭載しなければならない。
その穴から外に出る。
急いで向き直り、そちらに向かう。
あともう少し……。
ベルトコンベヤーのある部屋についた。が、
あぁ。扉ってそういうことね。
バカだった。調子に乗っちまったか。
その部屋にはAIのやつらが大量にいた。
しょうがない。
あとよりも今を生きることを考える。
強行突破!!!
一気に走り出す。
前にいるAIに対して拳銃をできる限り連射する。
少しでもひるんでくれればいい。
他の連中がこちらに撃ってきた。
だが、走り出してから一瞬の隙があった。
その一瞬がありさえすればいい。
目の前にいるロボットの頭を殴り飛ばし、一度着地して衝撃を一度足の機械に吸収させて一気に地面を蹴った。
軍に改造された足はドンという爆発音とともにギリという耳鳴り音と鋭い痛みを出し、次の標的を目の前にとらえた。
そのままの勢いを維持し、そいつの腹を蹴りで分断させる。
またも一度バネの伸縮をうまく使い、衝撃をなんとか逃がすが、それでもかなりの衝撃が伝わった。
それをなんとか耐え、勢いを維持したままほかの連中も頭をつぶし、胴体を分断させた。
「はぁ。はぁ。」
久しぶりにここまで動かしたからだろうか。
息が上がっていた。
それに、寿命もあるだろうがかなり強化のための機械が傷ついた。少し動かすとギリという不快な音がなる。どこか噛み合わなくなったのだろうか。
まぁ、いいだろう。
そして今一度ロボットを観察をする。
そして、銃がロボットと線でつながってることに気がついた。
銃には小さなディスプレイがついていて、「有」と表示されていた。
電力供給用の線だろうか。これを切れば生体認証ができなくなるんじゃないか?
腰からところどころ刃こぼれてしているナイフを取り出し、線を切った。
ディスプレイが一瞬だけ点滅し、「有」という文字もなくなった。
そしてその銃を拾い上げる。
……………何もならない。
よし。これでもう少し生きれるだろう。
他のやつらに一発ずつ弾丸という花束を供え、弾薬を奪い、この工場から出た。
「さぁて。これからどうしようか。」
次は人を探そうか。
食料を求めながら人がいるか探す。
こういうのは人を探してなんぼだ。
こういう時ぐらい争い合うんじゃなくて協力しよう。
「じゃっ。まずはこの放射線地帯から出ねぇとな。」
ここは核爆弾が落とされた場所だ。
なのでここから出るためにまた歩き出した。
題名からは想像しにくい戦闘もの感のあるものになりましたが読んでくださりありがとうございます。評価等お願いします。




