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婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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【感謝の番外編】幼なじみの絆(下)

 レイラ姫は、北の谷の絶壁の丁度真ん中辺りにいた。


 下から登って迎えに行くのか、上から下って向かうのか、どっちがベストか迷う位置にいたのだ。


「崖の上にはもしもに備えたロープの用意がある。上からレイラ姫のいるところまで降下し、そのまま登りきって救出が一番いいだろう」


 イオの判断により、僕を含めた十人の少年が、山道を使い、北の谷の絶壁の天辺に向った。


「ロープの耐久を考えると、レイラ姫の救助へ向かえるのは……アリイ、クウ、マノの三人だな」

「イオ先生、カハウ様は!?」

「カハウはダメだ。その体重と身長では、ロープがもたん。ここまで来たこと。その栄誉を称える」


 カハウとその腰巾着は悔しそうにしているが、こればかりはどうにもならない。一方の、名指しされた僕とアリイとマノは……。


「俺……やっぱり無理です。この高さは……」


 マノは高所恐怖症だったようだ。顔面蒼白となり、辞退。


「アリイ、クウ、どちらが行く?」


 イオに尋ねられたアリイは、後ろで一本に束ねた髪をサラリと揺らして答える。


「クウに譲る。自分は戦士になりたいが、カウイ島で一番でなくてもいい。二番でもいいんだ。クウが失敗したら、自分が行く」


 アリイは……実は好きな少女がいた。それはレイラ姫の友人の一人である。


 カウイ島一の戦士は姫と結ばれる――という伝統は、アリイにとっては回避したいものだった。それでも戦士として訓練を受けているため、この場に来たものの、手柄は自身以外に譲るつもりだったのだ。


「ではクウ、行けるか?」

「はい、イオ先生! 行きます!」


 自分自身とレイラ姫の命綱となるロープと共に、僕は慎重に絶壁を下りて行くことになったが……。


「クウ! 遅い!」

「レイラ姫……」

「ほら。これ!」


(レイラ姫はここが断崖絶壁だと分かっているのだろうか?)


 まるで平地にいる時と変わらない様子で、僕に紫のルメリオアの花を渡してくれる。


「きちんと咲いていたのは、それ一つだけだったわ。でも確かにクウに渡した。もうこれでクウは私の戦士よ!」

「レイラ姫、それはまだ早いです。僕はまだ訓練の途中ですし、それに……」「クウ!」


 僕の言葉に被せるようにレイラ姫が叫ぶ。


「伝説はね、信じる者に幸運をもたらすのよ」


 レイラ姫の美しくウェーブしたチョコレート色の髪が、太陽の光を受け、輝いている。


「クウ、その命綱。さっきカハウとその腰巾着がナイフで傷を入れていたわ。あなたへの当てつけね。だからロープを使い、崖を登るのは危険よ。……飛び込みましょうか」

「えっ!」

「クウも私も物心がついた時から海で泳いでいる。飛び込みも得意でしょう?」

「で、でも、レイラ姫! 危ないです!」

「傷のついたロープを頼る方が危険よ。一・二・三で飛び込むわよ」

「待ってください、レイラ姫。せっかくもらったルメリオアの花が、それではダメになってしまいます……!」


 するとレイラ姫は垂れ目の瞳を細めて、美しく笑う。


「クウはもう私の戦士よ。それはさっきその花を受け取った瞬間に確定したわ」

「それはつまり……」

「その花は役目を果たしたわ。海に還ってまた自然に戻る」


 たとえ僕が花を持っていなくても、レイラ姫の戦士であることは……変わらないということか。


(でもまだ僕はカウイ島一の戦士の称号すら得ていないのに)


「さあ、ぐずぐずしていたら、おやつの時間に間に合わないわよ!」


 そう言うと、もう待ったなしでレイラ姫はカウントダウンを始める。僕は慌てて自分につけていたロープをはずす。


「……(さん)!」


 レイラ姫は何の躊躇もなく、海へと向かい、ダイブする。


「レイラ姫!」


 その後を追い、僕も海へと飛び込む。


 当然だが、こうやって海へ飛び込むことで、僕は紫のルメリオアの花を失ってしまう。


 それから月日が流れ、僕はカウイ島一の戦士になれた。伝統通り、僕はこのままレイラ姫と結ばれる……そう思っていたら……。


 レイラ姫が……アトラス王太子殿下と婚約すると決まった時。僕は紫のルメリオアの花を失ったせいで、レイラ姫と結ばれなくなった……そんなふうに考えてしまった。でもレイラ姫は繰り返し僕に伝えてくれたのだ。


『伝説はね、信じる者に幸運をもたらすのよ』


 ◇


「クウ、レイラ姫、おめでとう!」

「お幸せに!」


 白いルメリオアの花びらのフラワーシャワーを浴びながら、僕はレイラ姫を抱きしめる。


「クウは間違いなく、私の戦士よ」

「レイラ姫……」


 今日、何度目か分からないほど繰り返している口づけを、彼女に贈った。

お読みいただき、ありがとうございます~

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