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婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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作戦開始(1)

 ついにその日がやって来た。

 それは早かったような、時間がかかったような。


 献上に関わる宮廷管理官を見つけ、近づくまではスムーズだった。宮殿近くの貴族向けの食堂で張り込み、店主の口利きで宮廷管理官とはすぐお近づきになれた。ヴィレミナ絨毯を一枚プレゼントすると、快く献上担当の宮廷管理官を紹介してもらうことも出来た。


 そこから鑑定結果が出るまでは、長かったように感じる。専門家に依頼する必要があった。それも王室への献上品ともなると、一人や二人ではないはず。贋作を手に入れるなんて王家の恥になる。


 本物だと確信していたが、それでも結果が出るまではドキドキだった。そして本物のお墨付きをもらえてからはスムーズに話は進む。それでもなぜ皇家が独占していたにも等しい“盲目の乙女”の作品を持っているのか。そこは何度も確認された。


「先日、帝国では歴史ある公爵家で爵位剥奪がありました。罪に問われ、屋敷の中の様々なものが持ち出されることになったのです。その中の一つに“盲目の乙女”の作品がありました。でも彼女の作品はほとんど出回らない。その存在を知っていても、それが彼女の作品であると気づけたのは……その場では自分だけでした」


 レニーとは問答の練習を何度もしていた。よって彼女は大商人アルベルトとして、澱みなく話すことが出来ている。


「もし誰かが“盲目の乙女”の作品だと気がついたら、それまででした。ですが後日、押収品の保管庫に行くとまだ残っている。確認すると証拠品にはならず、後々売りに出されると聞いたので、ならばと買い付けました」


 宮廷管理官は重ねてアルベルトに扮するレニーに尋ねる。


「なぜそれを我が国に持ち込み、王家への献上品としようとしたのですか?」

「国内ですと、先んじて購入したと分かれば……。罪に問われるかもしれません。それに“盲目の乙女”の作品と分かれば、すぐに皇家が手に入れてしまうでしょう。そして皇族の宝物庫に大切にしまわれてしまいます。稀に客人に見せられることもありますが、皇家の収集欲を満たしてお終いと言っても過言ではありません」

「なるほど。して、なぜ我が国に?」


 レニーは落ち着いた様子で答える。


「セントリア王国では、手に入れたヴィレミナ絨毯を王立美術館に展示し、一般人でも楽しめるようにされています。宝物庫にしまわれてしまうより、多くの方の目を楽しませた方が、“盲目の乙女”としても本望ではないでしょうか。見えないけれど生み出した芸術。多くの人に喜んで欲しいと思っているのではないかと」


 これを聞いた宮廷管理官は、その志に同意を示しつつ、こんな疑問をぶつける。


「“盲目の乙女”の作品をより多くに見せたい。その志は実に素晴らしいです。感銘を受けました。その一方であなたは商人だ。貴族がチャリティ活動に力を入れるのは自身の名誉のため。商人が慈善活動にも近い行動をする理由は? 何か得るものがあるから、王家に献上するのでは?」


 これもまた想定内の質問。レニーも動じずに答える。


「出来ればこの国に移住したいと思っています。帝国に長く暮らしていましたが、いろいろと窮屈で……」


 まさに本音を漏らすという感じでレニーが話すと、宮廷管理官は納得してくれた。


「“盲目の乙女”の作品を献上した上で移住を求める。それは大歓迎ですよ。王都の一等地に店舗付きの家を手配しましょう。この国で暮らせば、帝国にいた時より気持ちも軽くなり、夜中でも美酒を楽しめますよ」


 宮廷管理官は笑顔でそう告げたが、夜中でも美酒を楽しめるというのは、まさにその通り。帝国では酒に高い税金をかけている上に、乱闘が頻発したという理由で、夜二十時以降の飲酒を禁じているからだ。


 その一方で、宮殿の晩餐会や舞踏会では、二十時以降もお酒を提供している。それを多くの庶民は知らないが、貴族と交流がある一部の上級庶民はその事実を知っていた。大商人という設定のアルベルトも勿論知っているので笑顔で応じる。


「ええ。ゆったり友と語らい、美酒に酔いしれたいところです」


 ここまで伝えれば十分だった。宮廷管理官は貴重な逸品を王家に献上する理由を理解した。私たちの身分証も確認している。不審な点はない。よって──。


「分かりました。この国で悠々と暮らせるよう、宮廷執事から宮廷長官に話をあげるよう、動きましょう」


 ここに至った時は……。


(ようやくだわ!)


 そう喜んだと思ったら、宮廷管理官が有能だったようで、話はすぐに宮廷執事に伝わった。そして鑑定済みの“盲目の乙女”だったので宮廷長官に即報告される。


「大商人アルベルト、喜ぶといい。献上が許可されました。明日、早速運び込むことができます。王族が立ち会うかどうかは予定次第。献上は必ずしも王族が直接受けるわけではないですから。ただ、あの“盲目の乙女”です。王族が話を聞くと、顔を出す可能性はゼロではございません。個人的には立ち会われる気がしますよ」


 宮廷管理官からそう言われた時、心の中ではガッツポーズ。しかも明日! そこだけはあまりにもトントン拍子でドキドキすることになった。


 そしてその日を迎える。

お読みいただきありがとうございます!

次話は12時半~14時までに公開予定です~

平日の日中は仕事があるため

少し時間に幅を持たせていただけると助かります!

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