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婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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皇宮へ(3-3)

 なんだか寝付けない夜だった。


 真夜中にこっそりシェリーを呼び、僕の寝室で過ごした後。彼女はそのまま僕のベッドで休みたいと言い出した。


 僕の知る令嬢は皆、あのマリナを始め、貞操観念が強い者が多かった。対してシェリーはその感覚が非常に緩い。自分から手をつなぎ、腕を組み、僕の腕や肩にも平気で触れる。キスも自らしてくるし、何よりも……。


「ベネディクトの寝室に行くの? いいわよ?」


 婚約者でもないのに僕を平気でファーストネームで呼び、寝室に誘ったらあっさり受け入れられた。


 あのマリナは、前室でさえ、来ることがなかったのに。そう考えるとシェリーは僕の要求に応え、自らも積極的で最高なのだけど……。


「部屋に戻るのが面倒だし、水浴びも朝でいい。このままベネディクトのベッドで休みたい。眠いの!」


 婚約すると、シェリーがそんなことを言うようになり、本当に驚いた。


 帝国の皇族や貴族は、夫が妻の部屋に行き、夫婦の時間を過ごす。だが事が終われば部屋に戻るのが普通のこと。


 しかも今のような汗ばむ季節は、行為が終わった後、水浴びをするのに。それも拒み、僕のベッドで汗まみれで休もうとするなんて……。


 さすがにウンザリして部屋に戻らせ、すぐに使用人を呼び、ベッドメイキングを頼んだ。終わるまで、手持ち無沙汰だったので、皇宮の庭園へ向かった。


 宮殿の庭園は帝国民に有料解放しているが、皇宮の庭園は違う。貴族も入れない皇族のためのプライベート空間だ。ゆえに真夜中過ぎにうろうろしても、警備兵もいるし、問題ない。


 ということで庭園にやってきた僕は、巨大な噴水を眺められるベンチに腰掛け、一息をつく。そこで星空を見上げ、ふと思い出す。


 シェリーは以前、こんなことを言っていた。


『信じられないかもしれない。でもね、私、ここではない世界で生きていたの。気付いたらこの世界にいたのよ。だからなんというかいろいろカルチャーギャップ。こっちの世界にある程度は合わせるけど……。なんだか窮屈だから。私は私のやりたいようにやるわ』


 かなり変わっていると思う。


 でもシェリーの父親は皇家を超えるほどの金持ちではあるし、彼女と婚約できたことは、第二皇子である僕としては大変心強い。財力のある後ろ盾は、皇太子ではない僕に、必要不可欠なもの。


 だが時々、貞淑過ぎた元婚約者を無性に思い出すこともある。それは……結局、マリナとは一線を越えることなく、キスすらできずに終わったからだろう。


 十八歳の彼女の体は完全に成熟した大人の女性のものであり、とても魅惑的だった。イブニングドレスは胸元や背中が大きく開いたものを着ればいいのに、隠そうとする。隠されると、ますますその体を自分のものにしたくなり……。


 だが手に入らずに終わった。どうせ僕のものにならないのなら、めちゃくちゃになればいいと考えた。ゆえにシェリーが提案した、実は特殊な性癖を持ち、変態だというリオンヌ侯爵へ、マリナが嫁ぐことを父上に進言したが……。その進言はあっさり受け入れられた。そしてマリナはリオンヌ侯爵の元へ嫁ぐことになったのだ。


 ところがマリナは突然姿を消した。


 リオンヌ侯爵のところへ向かう道中、賊の襲撃に遭ったのだ。現場には多数の血痕が残され、マリナと侍女は忽然と姿を消した。


 貴族が襲撃を受け、無傷で済むはずがない。


 ならず者にあの体を奪われたと思うと悔しくてならなかった。それならば公爵を失脚させる前に、無理矢理でもその体を手に入れておけば良かったと思う。


(いや、ダメだ。そんなことをしたら、いくら罪人の娘だろうと、世間が僕を非難する)


 そう思いつつ、脳裏にはマリナの体が浮かぶ。


 さっきシェリーと過ごしたのに。体はまた熱っぽくなっていた。侍医に聞いたらそういう年齢なので気に留める必要はないと言うが……。今の年齢よりうんと前からその欲求は強かった。だが父上もそうだというのだから、血筋……なのだろうか。


 そんなことをぼんやり考えていたら……。


 噴水につながる水路に何かが見えた。


 何だろうと思い、近づこうとしたが、丸腰であることを思い出す。そこで警備兵を見つけ、声を掛ける。三人の警備兵を連れ、水路へ向かうと……。


「これは……専属皇宮騎士……? なぜこんなところに?」


 警備兵は慌てて水路からその体を引き揚げ、芝生の上に横たえる。その様子を見て、水路に落ちるなんて間抜けな奴だと思い、部屋へ戻ることにした。最後にもう一度、その間抜けな顔を見てやろうと後ろを振り返り、ハッとする。


 いつも体ばかり見ていて、顔をあまりに見ていなかった。


 だが見知らぬ顔ではない。


(マリナでは!?)


 心臓が早鐘を打つ。


「おい、この専属皇宮騎士は生きているか?」

「ええ、今、水を吐かせましたし、呼吸も確認できました。気絶しているようですが、すぐに目を覚ますかと」

「そいつは僕が連れ帰る。ここで見たことは他言無用。これは命令だ」


 警備兵は「えっ」という顔をするが、皇宮では皇族の命令は絶対だった。


「かしこまりました、ベネディクト第二皇子殿下」


 僕はマリナを抱き上げると、自分の部屋へ向かった。

お読みいただきありがとうございます!

この後、22時頃にもう一話更新いたします!

体調や翌日の予定に合わせて

どうぞ無理なさらずにお楽しみくださいね。

また明日のお昼にお会いしましょう☆彡

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