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第十九章 緑の記憶(カンの視点)

隆起の波紋を追うカンの足は、いつしか深い森の縁へと向かっていた。海の層から陸の緑へとシームレスに移る地形は、まるで大地が異なる記憶を重ねたパッチワークのようだった。


苔むした木立の間を進むと、胸の奥で微かな共鳴が起きる。センサーは反応しないが、過去の海底で拾った振動と同質のリズムを、ここでも感じるのだ。

カンは目を閉じ、呼吸を合わせる。水しぶきだったはずのリズムは、今は木の根を叩く鼓動となり、根の内側でうごめく生命の律動となって返ってきた。

「海と森は、ここで出会っている…」

その瞬間、斜面奥から小さな洞穴が口を開け、淡い緑の光が漏れた。海底の断面と樹木の根が接触する場所――そこが、二つの記憶を繋ぐ交点なのかもしれない。


森の記憶は海の記憶へと続き、その連鎖は想像を遥かに超える。カンが次に踏み込むのは、洞穴の闇か、それとも未知の深層か。海と森の融合点に、さらなる秘密が眠っているはずだ。

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