70話
更新が止まってしまい申し訳ないですm(_ _)m
転職とか引っ越しとかで忙しくて、久々にログインしてみたら10月上旬にランキングに入っていたと知って驚きましたΣ(゜д゜lll)
指導対局を終えた将棋部の面々が、深く息を吐いたそのとき――。
「舞さん、もう一局! プロとして負けたままじゃ終われない!」
土門龍弥六段が、まだ熱の残る声で福辺に向かっていた。
「ええ、いいわよ、土門くん」
福辺舞が小さく笑う。
二人の周りには、真剣勝負の空気が漂っている。
「土門六段と福辺先生、完全にスイッチ入っちゃったわね」
桜が苦笑いを浮かべると、芽衣と牡丹も静かに頷いた。
そんな二人を横目に、不動哲九段が一息つき、立ち上がった。
「さて、私はこれで失礼させてもらうよ」
「承知いたしましたわ」
牡丹がすぐに使用人を呼び、不動を送る準備を整える。
「リムジンでお送りいたします」
「ありがとう、牡丹君」
柔らかい夕陽が、広間の窓を橙色に染める頃。
桜、芽衣、百合、柚子も揃って玄関先まで不動を見送りに出た。
「今日は本当にありがとうございました!」
「全国で必ず結果を出します!」
不動九段を乗せたリムジンが、静かに走り去っていく。
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見送りを終えると、桜がふと気が抜けたように空を見上げた。
「……まだ夕飯まで、ちょっと時間あるわね」
「では、プールにでも入りましょうか」
牡丹が提案すると、柚子がぱっと笑顔を浮かべた。
「行く行く! 水着に着替えよ!」
芽衣も百合も、自然と顔を見合わせて笑った。
ほどなくして、着替えを済ませた五人は、涼やかな風の吹くプールサイドに姿を現した。
屋外プールの水面は、夕焼けを映してゆらゆらと揺れている。
デッキチェアには、虎門先生がぐっすりと寝息を立てていた。
「虎門先生、寝てるね……」
百合が小声で言ったその瞬間だった。
「せーんせーい!」
柚子が勢いよく駆け寄ると、そのまま虎門の腹の上にダイブした。
「うわっ! ちょっ……!?」
飛び起きた虎門を引っ張り、そのままプールサイドへと連れていく柚子。
「一緒に入ろー!」
「あああ! ちょ、やめろ……っ!」
柚子に腕を取られた虎門は、悲鳴を残してプールに叩き込まれた。
「ぷはっ……お前なぁ……!」
水面から顔を出す虎門を見て、桜も芽衣も、声を出して笑った。
他の面々は、それぞれのタイミングでゆっくりと水に身体を沈めていく。
水の感触が、対局で熱くなった頭を静かに冷ましていくようだった。
「気持ちいい……」
芽衣は小さくつぶやき、目を閉じる。
横では百合が、水を弾かせながら泳いでいた。
ふと見上げた空は、すっかり茜色に染まっていた。
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陽が落ちきった頃。
別荘の食堂には、皆が集まっていた。
あの後、福辺と何局も指した土門が、少しだけ乱れた髪を整えながら夕食の席に着く。
「土門六段、今日はもう泊まっていってくださいな」
牡丹が微笑みながら言った。
「え、いや……さすがに泊まるのは気が引けるなぁ」
土門が口ごもると、福辺がさらりと口を挟んだ。
「いいじゃない。牡丹ちゃんが言ってるんだから。今日は泊まっていけば?」
「……じゃあ、お言葉に甘えて」
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夕食を終えた頃、広い露天風呂には土門の姿があった。
静かな夜風が、木々の間を吹き抜ける。
「ふぅ……やっぱり露天はいいな……」
湯船に肩まで浸かり、目を閉じていると、後ろで扉が開く音がした。
「土門六段、先に入ってたんですね」
虎門がタオルを肩にかけて現れた。
体を一通り洗うと、土門の隣に腰を下ろす。
「……あいつら、全国で勝てそうですか?」
虎門の声は、いつもよりも少しだけ真剣だった。
土門は湯の中で少し姿勢を正した。
「正直、十分に通用すると思いますよ。特に芽衣さんと桜さんは、他の三人よりも頭ひとつ抜けてます」
「そうですか」
虎門はそれだけを短く言うと、湯からそっと立ち上がり、更衣室へと消えていった。
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夜、別荘の奥の一室。
芽衣は、静かに自分の部屋でスマホを耳に当てていた。
「――うん、勝ったよ。浅野さんに」
スマホの向こうで、祖父の豪快な笑い声が響いた。
『ガハハッ! そうかそうか……じゃあ約束通り、最後の修行相手だな!』
「最後の……修行相手?」
『ああ。全国大会の前に、もう一人、対局させるやつがいる。8月4日にこっちへ来い。一応、制服と数日分の着替えを持ってこいよ』
「……わかった」
スマホを置き、芽衣は窓の外を見た。
夜空には満天の星が輝いている。
(最後の修行相手……浅野さんが言ってた、おじいちゃんの弟子……)
布団に身を沈めると、芽衣はそっと目を閉じた。
今後は無理のないペースで更新していきます




