外伝最終章 皇位奪還 愛と革命に生きる 序章 決戦の時【皇族の責任】
リライディナはどうしても前線出れないという不満を懐きヴィルヘルムを説得しようと試みる。
「やっぱり最前線に行きたい」
窓際から漏れる淡い青白い柔らかな月光が抱き合った二人を愛おしむかのように包んでいた。
リライディナの潤んだ瞳をヴィルヘルムは美しいと思いながら大きな手で頬を撫でる。
愛おしいその人の生きているという温かさを感じながら決して失いたくないという思いと同時に彼女の宿命と希望を叶えさせたいという気持ちを揺さぶられていて胸の中がモヤモヤしていている。
ヴィルヘルムは決断しなければいけない。
吐息を吐いて静かに語り出した。
「リラならそういうと思っていた。
だけど会議の時にもいったけど。
君はこの国を照らす灯り。
苦しい人々の希望と勇気の証だ。
そうそう危険に晒されるのはいけない。
オルファン帝国は父上の裁量で今の反映を築けて僕は皇族の任だけですんでいる。
いわば僕は兄上のスペアでよかった。
でもリラ…。
君の王配となったらそうはいかない。
王配として君を支え皇国の平和と繁栄を誇る様に導かなくてはいけない。
それに君は御旗だ。
誰にも奪われず、誰にも汚されず、誰にも傷つけされず。
皇国民の希望と光。
絶対に奪われてはいけない希望だ。
その君を失うなんて…僕には君を守る責任がある」
リライディナはヴィルヘルムの言いたい事は十分すぎるほどわかっている。
そうするのが当然だとも承知していた。
でも命が危険に晒されるのは経験済だし、ましてや自分の為に他の人が死ぬのは望んでいない。
「わかってるだ。
でもヴィル。
私の為に人が死ぬのはいやなんだ。
せめて一緒に共有したいんだ。
この国の未来を生も死も。
皆と共に寄り添えるそんな君主になりたいんだ!」
ヴィルヘルムもリライディナの気持ちは痛いほどわかっていた。
「ああ~そのだね。
だからこそ。
皆命をかけて君を皇位に就けたいんだ。
市民さえ自分を犠牲にしてもとこの軍に参戦しているんだ。
僕はね。
戦略や参謀的な事には熱中出来て得意だけど。
政治的な意見や主張事は避けてきたんだ。
次男だからね。
帝国は大分政治的には落ち着いたけど。
自分達の地位をあげようと僕にすり寄ってくる貴族もいた。
だからあえて政治には参加してこなかった。
でも君がその考えを変えてくれたんだ。
王配になるんだからそれではいけないんだって。
君を愛する夫であり、君を隣で支える者として」
リライディナは皇位を手にしないといけないという強い義務感ばかりで自分を追い込んでいた。
いつしか自分自身を縛り付けている。
そうこの時知った。
「ヴィル。
貴方の妻で幸せ。
ただ一般皇国民を巻き込んで…」
「リラ。
彼らも国を守る自尊心があるんだよ。
確かに国民は弱い存在かもしれない。
でも彼らは立ちあがったんだ。
その思いは貧民も平民も貴族も王族も関係ない。
誰も自分を。家族を。血族を。地域を。国を守る意志を尊重しなくては。
共にあるというのではないかな?」
リライディアはヴィルヘルムの意外な言葉にぽか~んとしてしまう。
「僕がこんなことを言うって意外だったんだね」
「んっ…まあ。
国民を守るのが私達の使命では?」
「僕は国を思う気持ちに身分は関係ないと思うんだ。
戦場でね。
将校だけでなく、現場の下級兵士とも食事や行動を共にしてそう思ったんだ。
宮殿だけでは得られない事あるんだよ。
一般市民が自分達の望む世界が実現したら。
おそらく僕らの様な存在は必要なくなるかもしれないね」
「そんな事考えてなかった」
「あぁ~。
でもきっとそういう時代はやってくると思うよ。
きっと遠くない未来にね。
だから僕達は準備をしないと。
この義務と責任とを。
分かち合う準備をしないと。
僕達の子供達の時代にはもっと革新的な時代になるよ。
そうその変革に備えないと…。
皇国民を信じて共に生きる時代がくる。
支配しされる関係でなく。
お互いを尊重する関係に」
リライディアはヴィルヘルムの言った意味を理解出来なかったけれど、頭のすみっこに保管しておかないといけないと思った。
「共に生きる未来を!」
市民と分かち合う。
分かち合う。
何度も何度も脳裏に焼き付けた。
遂に皇宮を攻め落とす攻撃作戦が始まる。
しかしその前に皇宮の重要な情報がとある人物から入手出来て作戦の変更を余儀なくされる。
そして攻撃にそなえ皇宮では?




