外伝 最終章 皇位奪還 愛と革命に生きる 序章 決戦の時【革命連合軍】
決戦を前にヴィルヘルム連合軍は準備に余念がない。
そんな前夜ディアナとアンリエット、ルシファルが深夜に集まって…。
戦いはどうなるのか?
革命軍と合流したヴィルヘルム達の連合軍は郊外の滞在地から皇都中心部に移動し、遂に皇宮奪還を試みる。
「本当に行くのディアナ」
アンリエットは心配そうに影のある暗い瞳をディアナに向けて囁くように聞いた。
「…うん。
そうする。
皇宮から命令が出たんだ。
革命軍に合流して皇宮に来いと。
でないと母の命が……」
幼いながら胸の奥にある決意がアンリエットにもヒシヒシと伝わり衝動的にディアナの肩を抱き寄せる。
「ヴィルヘルム殿下に真実を伝えたらどうだ。
殿下なら悪い様にはしないはず。
いいかい。
命の危険がせまったら。
ヴィルヘルム殿下か。
リライディナ殿下に。
助けを求めるんだ。
君の母上も命に代えてまで救ってくれとは思っていないはずだ」
フランシスもよほど心配なのかディアナの顔を覗き込んで真剣な顔で説得する。
「でもルシファル。
ディアナは母上を人質に二人の暗殺を命じられているのよ。
ディアナは板挟み。
まさかディアナ貴方変な事考えてないわよね」
「へんな事?」
ディアナはふっと息を吐いて苦笑いの表情を浮かべた。
「絶対に窮地に立ったら殿下に助けを求めて」
アンリエットがディアナを優しく抱きしめる。
「うん。わかっているよ」
「でも両殿下は。
それを知っても。
命に代えて助けてくれるさ。
そういう人だ」
「そうだと思う。
けど行かなきゃ。
私の母は私が助けるから。
勿論ヴィルヘルム殿下達の命も狙わないよ。
何とかするから」
ディアスの瞳に覚悟の光が宿る。
もう随分と母に会っていない。
瞼を閉じれば母の笑顔が映像として浮かぶけれど、その温もりを感じたいと切望すればするほど胸が張り裂けそうになるほどの絶望に襲われる。
絶対に救う。
そう固く誓うディアナだ。
すでにクリスティア商団とディナス騎兵隊、ヴィルヘルムの騎士団と傭兵部隊、革命軍、市民軍は連合軍を組み武器弾薬を所定の位置に配置した後、東西南北軍を集結しつつ皇都中心部へと進軍した。
その隊にディアナも同行をしているのだ。
勿論ヴィルヘルムは反対したが、ディアナが譲らなかった。
後方支援にまわるという約束でようやく隊に同行が許されたのだ。
その列は丁度皇宮が一番見え要塞の様に岩肌の丘に本軍を陣取った。
望遠鏡で見張り役が確認するも皇軍が城から出動する形跡はまったくない。
いつもと変わらない皇宮の様子に流石のヴィルヘルム達も訝しんでいる。
「何故我々に攻撃をしてこない?」
「それが不思議だ。
皇都で交戦すると確かに面倒だが。
だからと言って皇宮で籠城でもする気か?
籠城していい事はないだろう。
食料はいずれ枯渇する。
どう見ても皇軍の不利は間違いない」
「でも何かあるかもしれない。
情報がほしいが。
先日から皇宮の諜報員と連絡が取れない。
ひょっとしたら身元がばれた可能性がある」
「まずいな。
金で雇ったギルトだが。
かなりの手腕を持っているが。
連絡がないおかげで今まったく皇宮の内部がわからない」
「所でアレクサンドル。
グランダリア公爵から連絡は」
「………」
頭を左右に振りその問いに答える。
石頭の伯父だが理性の人だ。
正直なんだかんだといって味方してくれるだろうと思っていた。
伯父の軍は戦歴が多くしかも苦難の戦場でも勝利を収めた実践部隊でしかも皇宮に詳しい。
無理なのか?
「当初の計画通り明日決行。
大砲部隊の先制攻撃と同時に出動。
まずは先発隊と僕が精鋭部隊の一部で皇宮に潜入する」
ヴィルヘルムが静かに告げる。
「危なくないか?
想定している反応がない」
フランシスが心配そうにヴィルヘルムの顔を覗き込んだ。
「何かあるはずだ。
囮にしようとしているかもしれない」
ルシファルも同調する。
「そうであっても。
何何年も立てた計画だ。
あらゆる想定も対処出来る手を講じている。
心配なしだ。
当初の予定通り明日皇宮を砲撃する!」
ヴィルヘルムが落ち着いた様子で答える。
「わかった。
大型の大砲を配置している。
相手からは確認できないよ。
もう準備万端だ。
早朝いつでも撃てる様に手配しておこう。」
「では予定通り頼む」
「私もヴィルと一緒に行く」
リライディナがヴィルに訴える様に声をあげた。
「リラはこの本陣の要だ。
志気を高める為にここにいてほしい」
「だって!」
「お願いだ。
御旗に何かあったら皆が乱れる。
君は存在そのものが希望で未来だ」
「……」
「皇王陛下。
そう君は皇王陛下なんだから」
不服そうに顔を横にむけて視線を合わせない。
ヴィルヘルムは肩を抱きしめて囁いた。
「必ず無事に帰って君に。
リラに王冠を捧げるよ」
額に軽く口つげた。
それでもリライディナは拗ねてしまって機嫌は治りそうになかった。
「明日早朝砲撃隊に皇宮を攻撃する。
準備を頼むフランシス!」
いざ決戦にむけて進軍する。
開戦の時、思わぬ客が?




