外伝 最終章 皇位奪還 愛と革命に生きる 序章 決戦の時【皇宮】Ⅱ
連合軍が皇宮を目指し進軍している。
決戦の日は近い。皇宮内に慌ただしい動きが見え始める。
上皇王は一部の忠実な侍女とファビエンヌを連れ奥院へと移る。
皇宮の奥院は皇族の緊急避難用の施設であり、宮殿の奥深くにあった。
そしてそこ奥深くに皇宮の中枢である龍の住まいがあるとされている場所だ。
部屋は広いが少し薄暗いある程度の食料と飲料、生活必需品が保管されている。
最低限度とはいえ調度品が備わっておりクーデターや命の危険を回避する様に準備されていた。
「ファビエンヌ。
御前を生かして連れてきたのはまだ御前の利用価値があるからだ。
まだ…なぁ」
静かな部屋に悪意と憎しみを籠めた上皇王の声が部屋に響く。
「はい。上皇王陛下。
そのかわりアンジェリはお許しくださいませ。
あの子に罪はありません。
全ての罪は私が背負います。
陛下御慈悲を」
「勝手な事を!」
上皇王は軽蔑の色の含んだ声を放った。
「わかっています。
私の命は陛下に捧げます。
そのかわりあの子を……」
「夫が犯した。
お前と犯した罪の子を許せというのか?」
「罪は私に」
「御前などにわかるものか。
皇族に第一皇女に生まれ母皇妃に皇子ではないと失望され、他の妾妃に男子が誕生した後母から虐待
体を受け続けた日々。
父からは無関心臣下の助言で嫌々皇位継承教育を命じられた。
愛してもいない男と結婚させられ。しかも裏切られた。
私の陰に!
まあいい。
あの子も今我の勅命を受けて動いている」
「ええっ?」
「親子とも私の手となり足となり。
罪を償うのだ。
御前にはあの子を命を。
あの子には御前の命を人質にして」
「上皇王陛下。
あの子の命は!
お願い致します。
私の命は陛下のものです。
ですからアンジェナの命を…陛下!
助けてください」
「さあどうしようか??
私を裏切った夫はもう十年前に暗殺させた。
あの子もそうしてもいいんだが」
「陛下!?
では…あの人は?
もう……」
「あぁ~知らなかったのだな。
御前との仲を知った私は御前達を始末する前にあの男が御前達を逃がした。
その後暗殺者に命じて国内に潜伏している所を殺害した。
私を裏切るなど命をもって償わせる。
御前とあの罪の子は苦しみと絶望と喪失を知るといい。
命はその後どうとでも出来る。
生きていることが絶望するようにな」
「へ…陛下………私はあの方……」
「もういい。
御前の役割を。御前の存在する意味を。
その事を忠実に果たせ。
これから私の言う通りに動きさえすればあの罪の子は助けてやろう。
但し少しでも私に逆らうようならあの者の命はない。
私があの罪の子の生死を握っていることを忘れるな。
いいか。
これから私の言う通りに動くのだ。
私は新たな皇王となる。
いやもはや王ではない。
それ以上の存在になるだろう」
人への言葉とも思わないほどの言葉で部屋中を凍らせるのだった。
上皇王と王配とファビエンヌの過去。
そしてディアナの出生も明らかに。
次回はヴィルヘルム軍、革命軍、クリスティア軍、市民軍、傭兵部隊、ディナス軍の連合軍の皇宮攻撃作戦が実行されます。




