外伝 最終章 皇位奪還 【愛と革命に生きるヴィルヘルム大公物語】 立ち上がる民衆編Ⅲ
クリスティア商団とリライディナ達の皇国民への援助と支援が大人しいフェレ人の心を突き動かし遂には各地で無言のデモが自然に行進していた。
危機感を覚えたヴィルヘルムはこの行進を止めようと旗を大樹に掲げた。
そう言った後、ヴィルヘルムは下へと降りて思い切り深呼吸する。
風が心地よかった。
樹を下から見上げると旗が高らかに掲げられている。
クリスティア商団の商紋にこう書かれていた。
クリスティア商団参上!
フェレ皇国民よ。
ここに集まれ!!
風に揺られて遮るものもなくただ大樹に掲げられる。
そこに神官達が祈りの歌を合唱し始める。
するとどうだろう。
黒い縦の線は次第に点と点に変わり始め、左右にバラバラと列を乱し始めた。
そしてそれはどんどんと大樹を目指してこちらに向かってくる。
その姿がはっきり確認出来た時、ヴィルヘルムは喜びの叫びを出すのを止められなかった。
「やった~~~~」
行進していた市民は大樹の周りに集まり出し、誰一人騒ぐ事なく、神官達の前に跪いて祈りを捧げている。
誰一人声をあげる者はいない。
神官達はその音量を下げ始めた時だった。
ヴィルヘルムが大きな声で叫ぶ。
「クリスティア商団はフェレ皇国民と共にある。
立ち上がるのは今日ではない。
私達は貴方達を先頭には立たせない。
無駄死にをさせない。
しかしもし家族の為に愛しい者の為に戦いたいと思う者。
家族と共に話し合ってから我らと合流してほしい。
リライディナ皇女の旗の元に。
クリスティア商団は惜しみない支援を約束する。
その時は皇都にクリスティア商団の旗がはためくその時に!」
「~~~クリスティア商団に!」
「クリスティア商団と共に」
「リライディナ皇女殿下に!」
「クリスティア商団万歳」
「リライディナ皇女殿下万歳!」
「フェレの希望!」
「我らのフェレ!再び栄光を!!」
「フェレ万歳!!」
その声は波となりうねりとなり丘を駆けて響き渡り共鳴した。
行進していた人は歓喜して涙さえ流している。
「後日決行日までおのおの静かに過ごす様に」
「WA~~~~」
「わぁ~~わぁ~~~~~!!」
暫く人々はこの大樹に集まっていたが、一時もすると皆静かになり始めて神官達の祈りの歌が響き渡る丘へと変わっていった。
「まずは一安心だ」
フランシスが肩を落とし安堵して吐いた言葉。
「後は他の行進はどうだか。
とりあえず今と同じ様にするように言ってはいたが」
ヴィルヘルムはあの緊迫した短い時間で部下に指示をしていたのだ。
「御見それしました殿下」
フランシスは物腰の柔らかな大人しそうで控え目な印象のヴィルヘルムに感心しかりでいた。
人は見かけによらないとはよくいったものだ。
そう心の中で呟いた。
ようやく安堵した二人の元に耳を切り裂く大鷲が青い空に鳴き声を響き渡らせて天空を舞っていた。
「大鷲だ!
まずい!!」
ヴィルヘルムにはわかっていた大鷲は軍事用に使用されている伝達方法で、緊急事態の際に軍人からもたらされる。
「どこかで緊急事態があったようだ」
ヴィルヘルムは右腕を大きく空に突き上げる。
大鷲はその行為を確認すると一直線にヴィルヘルムのいる場所へと降りて来てその右肩に止まる。
ヴィルヘルムは防弾具を装着していたので傷みなく大鷲の足に括り付けられた小さな竹筒の蓋をとり中の紙を取り出す。
「フランシス!」
「殿下何が?」
「皇都の北部の群衆とフェレ皇軍が衝突したようだ!」
「えっ?」
フランシスは動揺したがヴィルヘルムはいたって冷静だった。
「君と神官達はしばらく皆を落ち着かせて解散させてくれ。
僕は馬で北部まで行って状況把握する。
それとクリスティア商団の救護班と傭兵を至急を派遣してくれ!」
「了解」
ヴィルヘルムはそう告げると急いで馬に飛び乗りそのまま突風の様な速度でその場を去って行った。
ヴィルヘルムはどうやって北部の騒ぎを鎮圧するのか?
次回皇軍と激突?




