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外伝 最終章 皇位奪還 【愛と革命に生きるヴィルヘルム大公物語】 立ち上がる民衆編Ⅱ

フェレ皇宮への不信感が芽生えた人民達がついに行動に出る。


「ヴィルヘルム殿下!リライディナ妃殿下!

 大変だ!」


フランシスが大きな足音を立てながら二人がいる居間の扉を開ける!

フランシスの瞳に突然目に入ったものは?


そうヴィルヘルムがリライディナを膝に乗せ抱擁し、まさに今口づけをしようとている現場にだ。


まさに目が点といい言葉が相応しい2人の瞳はフランシスに向けられ三人は硬直してしまった。


彫刻の様に固まった。


まずい!!


ヴィルヘルムは我に返るとむすっと機嫌が悪そうだ。

そうこのタイミングで入るなと言わんばかりに。


リライディナは恥ずかしそうに頬を染めながら下を見ている。


空気が固まる。


いやこんな事している場合じゃない!

ようやくフランシスの身体が動く。


「あっ!!

 大変だ!

 市民が行列を作って皇宮方面に向かってる。

 都市部で一万人五千人地方都市では五千人の行列

 だ。

 まずい!!

 とめないと!」


フランシスの顔は青ざめている。


ソファーの二人も血の気が引く。


「とにかく神官様達を集めて現場に行こう!」


リライディナがあわてて叫ぶ。


「待って! 

 この状況で君が行ったらそれこそ騒動に収拾がつ

 かない。

 フランシスと僕で。

 あと神官達を出来るだけ多く集めてくれ」


「了解!殿下」

フランシスも同意するように答えた。


足早に出る二人、残されたリライディナはため息をついてソファーに身体を投げ出した。


私が彼らの行動を。

諫めれたらよかった。

このままだと大きな事故が起こる。

……死んでほしくない。

死んでほしくない。

そんな事は望まないのに。


リライディナの心境は複雑だった。

人民の幸せの為に皇位を目指している。

だけど今現実には人民は自ら立つ行動に出ては危険に晒しているのだ。


どうしたらいいんだ?

ヴィルが言う通り今私が行ったら民を戦いの真っただ中に置く事になるのは極めて危険な行為だと言うのはわかっている。

けれどリライディナは二つの複雑な気持ちの整理はまったくつかない。

悶々とした時間だけが過ぎる。


ガチャ!!

そんな時だ。

居間の扉のドアノブが周り扉が開かれた。


視線を向けると乳母だ。


「リライディナ様」

まるで母の様な潤んだ瞳で状況を知ってか。いつもよりもまるで幼子に問いかける様に微笑むその姿は乳母というよりも母の姿だった。


リライディナはたまらず反射的にその身体に飛びついて両手を背にまわしてぎゅっと抱きついた。


「乳母!!」


「姫様。

 何が合っても姫様。

 全てを受け入れる懐の大きさが必要です。

 動じない。毅然とした。揺らがない。

 でも…姫様。

 揺らいでも姫様の廻りには皆がおります。

 私がマーシャが。殿下が。

 クリスティア商団の方々が。

 オルファン帝国が、フェレイデン帝国が。

 姫様!

 大丈夫です」


まるで子宮の中で安堵した胎児の様に安心出来た。母の知らないリライディナにとってまさしく乳母が母なのだ。


「うんうん…うん」


なんども泣きながら頷くリライディナは全てを吐き出そうと思う。


今だけは………。




*******************************************


ヴィルヘルムとフランシスは大急ぎで各神殿に早馬を走らせ、神官達に市民を宥めるためにデモ行進の現場へ向かわせる指示をする。


そして自分達と数名の部下を連れ、馬で大神殿の改革派の高位神官達を訪問し同行させた。


猛烈な勢いで鞭を振る彼らをすれ違う人々は呆気にとられている。

後ろの背に乗る神官たちは必死でしがみ付いている。


早く止めないととんでもない事に!



誰も速度を落とす者はいない。

目に広がるのは1本の道だけ。

その速度で景色など色の残存だけが線にしか見えない。


どのくらい走らせたのか?


わからないくらい経ち流石に馬の息も絶え絶えになった頃に、黒い点が連なる光景がようやく見え始めてきた。


後方から部下の声が耳に入る。


「殿下!

 左に馬屋があります。

 代わりの早馬を手配しています。

 乗り換えてください!!」


優秀で機転の利く部下をもったものだと、少しの余裕が生まれる。


それでも時間との戦いは終わっていない。

馬を止め、すぐに用意された馬に乗り換え再び走った。


早く止めないと!

点は徐々に縦に延び幾分人らしき形状に見え始めてきた。


しかしかなりの数だ。

彼らを止めるには………。



リライディナじゃない。

僕でも駄目だ。

フェレイデンの名を出すのは危険だ。

やはりこれだ!これしかない!

ヴィルへルムは確信していた。


「フランシスは前に出て、道の左はゆるやかな丘になってる。

 そこで説得しよう」


「どうやって?」


「まずはあの丘を目指そう!」


ヴィルヘルムは説明している暇はないとばかりに馬の手綱を引い丘を目指し腹を踵で蹴る。


ヒッ~~ン

馬の鳴き声後、ヴィルヘルムは風と同化した様に駆け出した。


「待って!」


フランシスが神官を後ろに乗せて続く。


丘の上には大きな樹が聳え立ち辺りは丘陵で遮るものはない。

青い空ばかり広がっている。


ヴィルヘルムはその樹の上に馬を止めて神官を降ろし、胸元から何か巻かれた布を取り出して樹の根元へ走り出した。


樹は幹も太く何千年もこの地に立っている威風堂々とした大樹だ。


ヴィルヘルムは両手でこの樹を抱きかかえ、手の指と足を幹にかけて上へと登り始めた。


「殿下!」


フランシスと神官2人が樹を見上げている。


ヴィルヘルムは無視をして、どんどん上へあがる。

枝へ枝太い枝に渡り身体を移動させた。

一番端の背に抱えた巻物を取り出し右枝にとり付け、その反対側の枝に移動して左に括りつけた。



「出来た!!フランシス!

 神官達に女神ディアの讃美歌を歌わせて!

 早く!!」



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