外伝 最終章 皇位奪還 【愛と革命に生きるヴィルヘルム物語】 立ち上がる民衆編
傲慢な貴族達が拉致され羞恥な姿で民衆の目にさらされた。民衆の反応は?
リライディナ達、クリスティア商団の救護活動が皇国民に知られ始め市民運動が始まる。
新たな行動はどんな事件を巻き起こすのか?
首都やその近郊または地方の神殿ではクリスティア商団の後援を受けて無料の食事、そして衛生や授業や医療支援を提供していた。
皇都の市民や周辺の民が列をなして大盛況だ。
その成果も徐々に見え始め毎日多くの市民が餓死か野垂れ死にをしていたのが目に見えて少なくなり始める。
こういう状況になると大人いいと言われるフェレ人も皇国や貴族達への不満を口にし始め、その声は日に日に大きくなっていった。
「おい!
知っているか?
大きな声では言えないが。
この神殿の救護院に多額の寄付をしているクリス
ティア商団は前皇王の皇女リライディナという方
の懇願で支援しているんだと」
「俺も噂で聞いた。
側室に産まれた方らしいな。
皇女様は今の上皇王陛下だけだと聞いていたが。
腹違いの兄妹姉妹が沢山いてたのを上皇王様が起こしたクーデターの際に殺したそうだ」
「怖い上皇王陛下だ。
しかし今やこの救護院だけでなく、皇都に沢山の救援場所が出来て。
随分死人も減ってきている」
「伝染病も特効薬をクリスティア商団が無償で提供してくれて。
それも全部リライディナ皇女様の進言だそうだ」
「本当に素晴らしい方が皇家にもいたんだなぁ」
「それに最近起こった貴族の拉致事件も皇女様が関与したっていうじゃないか」
「そうなのか?
あいつら悪魔さ。
金や権力で俺らを虫けらのように扱いやがって」
「俺の兄弟はあいつらに殺されたんだ。
何も悪い事はしてないのに馬車を横切ったってだけで!」
「俺の息子も雇い主の貴族に病で医者に診てほしいと言っただけで鞭で延々叩かれて。
孫も死んで息子も殺されて!」
「俺の母は貴族の慰め者にされて妊娠させられて無理やり死産させてそのまま死んでしまった」
「あいつら屑だ。
貴族は何してもいいのか?
俺達の金で好き放題の生活しやがって」
ある酒場でも話題はリライディナ皇女と貴族や皇室の批判で埋め尽くされていた。
「幽閉先で死んだ前の皇王様は部類の女好きだったじゃないか。
俺達が知らない庶子がわんさと離宮に閉じ込めていたそうだ。
それを上皇王様が皇族と一緒に殺したってから。
残忍な方だ」
「だが一人皇女様が生き延びたって聞いたぞ」
「ああ。噂によるといまじゃあ押しも押されぬシャハルバードの大統領夫人だそうだ。」
「そりゃすごい。
ならリライディア皇女様も本物だって」
「俺達の皇王様になってくれたら…」
「ああ~~そうだ!」
「そうだな。
そうだ。そうだ。
俺達が今声をあげないと。
俺らだけでなく子供達が生きていられない」
「フェレ皇国が蘇る日も近い!!」
「なあ俺達も立ち上がらなくてはいけなくないか?」
「だってよ!!
いまのままだと生きていけない。
どうせ死ぬ運命ならドカンと死んでいくのもいいさ」
この手の会話がまるで伝染したかのように人が集まる場所で囁かれていた。
各地の救護院や医療院、そして寂れた酒場でさえそんな会話が囁かれ始めると、段々とその声は日増しに強く大きくなり始める。
フェレ人はその厳しい気候から特に忍耐力が強く、我慢強いなので少しの病や貧しさには声を出して発言する事はない。
フェレが独裁国家で入れたのも皇国民が忍耐強かったからともいえた。
しかし生死がかかったその時、食べる物さえ不住になった時に手を差し伸べた一筋の光を逃しはしなかった。
小さな集会場や小さな寂れた神殿で、酒場で、脇道で、選択場所で、あるとあらゆる人の集まる場所でその話題でもちきりになる。
「皇王様は未だに病だし。
上皇王様も最近ではトンと見ないね。
あたしらの事はどうでもいいだね」
「うちの娘は例の疫病で死んでしまったよ。
皇国は何もしてくれなかった。
それどことか税を上げてきて!
あたしらを家畜にしか思ってないんだ」
「うちも長男の働き手が死んでしまって。
ただでさえちいさな子が…。生活できないよ。
今日も一日一食しか与えられないだ」
「そうだリライディナ皇女の話聞いてるかい?
神殿で奉仕活動を後援してるんだって。
あそこで配給してもらったけど。
美味しくてね。
子供達もお腹いっぱい食べれて、帰りに日用品と
食料もくれてさ」
「あたしらこんなとこでウダウダ言ってるだけでいいのかな?」
「えっ?」
「そうだよな。
そうだよ……」
勇気ある皇国民は老いも若きも、富める者も貧しき者も、そして身分にかかわらず志のある者達が。
誰にどこで集まる様にと指示もないのにまるで女神ディアに導かれる様に。
皇都の地区にある神殿前であっという間に人が集まり始めた。
それは塊になり、その塊は長い列を作りゆっくりと歩み始める。
皆自分達の生活がどんなに苦しいかと知ってもらいたい。
現在の皇国の現状と未来の皇国には希望がないと。
最初の小さな集団は点に線になり始め、徐々に偶発的に表れた世論はそれぞれの集団を引率するリーダー達が生まれ始める。
意見を交わすだけでは物足りずに皇都で、地方の都市で彼らは無言の行進し始め初めて抗議を起こした。
その行列の人々は武器を持っていない。
シュプレキコールを叫ぶでなく。
行列を組んで大通りを歩くという行為だ。
それは武器やシュプレキコールをしないという行動に現れている。
皆瞳は真剣で「自分達は死にたくない」という強い意思が眼光から放っている。
その列は大通りを埋め尽くさんばかりに特権階級のみに与えられた住宅特別区を目指しひたすら行進していた。
立ち上がった民衆の前に立ちはだかるものは?
そしてこの事態にヴィルヘルム達はどう対処するのか?




