第六章自責の念と贖罪
ルードヴィヒの発作が気になる。
秘密がどんどん明らかに。
初夜から皇帝が皇后の寝室を訪問するのは三日に一日の頻度で閨を共にした。
皇帝は即位して間もなく国政は山の様に押し寄せていたので頻繁には会う事は出来ないが、時間を作ってはエリザベートの様子を伺いに来た。
その夜は特に疲れた様子で、エリザベートの元を訪れた。
「お顔の色が悪いですわ。」
そう言って皇帝の頬を手で触れる。
「そうかな。
大丈夫だよ。」
エリザベートの手をルードヴィヒが掴みその手にキスを降らせる。
「陛下
ご無理なさらないで」
エリザベートが優しく手をとる。
「うん わかっているよ」
珍しく素直で可愛らしいルードヴィヒにドキッとする。
「今日はご一緒に眠りましょう。」
ルードヴィヒの瞳が丸くなり、少し落胆した様子でぼそりといった。
「寝るだけ?」
エリザベートはクスクス笑い。
「ええでも抱き合って眠りましょう」
少し拗ねた様子でため息をついてルードヴィヒはあきらめた。
「わかったよ」
二人はお互いを抱きしめながら包み込むように眠りについた。
確かに疲れた今夜は皇后に会いたかったし、出来れば閨を共にしたかったが、疲労にも勝てない。
なにより疲労にくるあの発作が怖かった。
これでよかったのだ。
そういって母の腕に眠る子供の様に皇后と抱き合いそのまま眠りについた。
夢うつつの中ルードヴィヒがいる。誰かが呼んでいる。
「……ルーどうして…君が生きてるの? 僕はどうして……ねえ答えて。
……僕は生きたかった。 ねエ~代わって……。僕の物だね」
わあ~~~~突然ルードヴィヒは叫び声を吐いて寝台に飛び起きる。
エリザベートはその声にはっとして飛び起きる。
「陛下?」
目の前にギョロリと驚いてガタガタ身体を震わせたルードヴィヒがいる。
「陛下?」
まだエリザベートの知る皇帝ではない。
瞳は遠くを見て怯え、首を左右に何度も振って落ち着きのない様子に事の重大性がわかる。
「陛下!」
「僕が悪いんだ。 僕だけが。……許してお母様……テオ……僕だけが。」
そのまま失神してしまった。
エリザベートは宮廷医を呼ぼうか迷ったが事をあまり大きくしてもいけない様に思った。
息はしているのでそのまま抱きしめて寝かしつけた。
何かある直感的にエリザベートは思った。そしてそれを解決したいと思うようになっていた。
朝に起きるとやはりルードヴィヒは普段通りでなんのかわりもなく優しい眼差しをエリザベートに向けている。
しかしエリザベートは気になってしかたなかった。
昨夜の事を騒ぎ立て公にするのをルードヴィヒは望まいだろう。
ルードヴィヒを見ていると近くに侍従長が控えていた。
幼い頃から使えている侍従長なら、承知しているだろう。
エリザベートは侍女に耳打ちした後に食事を終えて私室に帰った。
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