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外伝 【愛と革命に生きるヴィルヘルム大公物語】結婚二年目の二人 溺愛と狂愛Ⅱ

ディアナの秘密の一つが少し明らかになったが新たな謎とそれぞれの思惑も交差して。

ヴィルヘルム達は皇都を目指す。

その頃、皇都の皇宮では大臣達の重要会議が行なわれていた。


フェレ皇国の国政は皇王を頂点とする絶対君主制をとり、しかもディア女神信仰心の希薄な国でもあった為に信仰が政治的に影響する事がなかった。

その事が逆に神殿の影響力が及ばず皇室の暴走を許しがちになり、歴代の君主は封建的で圧政に傾くことが多かった。

又皇族達が皇位継承争いを起こすのは日常茶飯事だった。

その為皇太子が必ず即位出来るとも断言できない事態も続き、皇位略奪や反逆など血を血で争う事態が歴代多発する事になるのだった。


現上皇王が二代前の父だった皇王を廃位させ幽閉した後即位した。


他の皇族を次々皇位を略奪しようとしたとし、一方的に捕らえては裁判も行わずに処刑した。

更に即位に反対した反乱分子の貴族を粛清を断行した。

数年後その地位についた女皇王の一人息子を早く皇位の地位を固めたい一心で譲位を行ったという経緯があった。


「グロフォード公爵宰相閣下!

 上皇王陛下並びに皇王陛下が臨席しない国政の会議など建国始まって以来の危機でございますよ!

 それでなくても反乱軍の暴挙が皇都で止められない中、ここで陛下の御英断がなければ今後の皇国の存亡が……」


久しぶりに行われた宮廷大臣会議の席で珍しくグランダリア公爵が声を荒げては静かな会議に嵐を起こそうとしている。

憤慨し真っ赤な顔をしながら拳を震わせている。

瞼を閉じながら腕を組んで椅子に深く腰掛けるグロフォード公爵を鋭く烈火の如く怒りに満ちた瞳で睨みつけている。


本来家柄の格からいって宰相の地位はグランダリア公爵が宰相の地位に就いておかしくなかった。

しかし上皇王の皇女の頃からの側近であったグロフォード公爵がその功を労われ伯爵から公爵の地位と宰相の地位を与えられたのだ。


当然面白くないのはグランダリア公爵だ。

自分の地位を奪われたと憤慨したが皇王の手前不服を言い出す事が出来なかった。

日頃から国政の席で小さな対立が起こる事があったが、皇王の手前表立って反発する事態にはならなかった。


しかし長期の上皇王と皇王の不在はグランダリア公爵の格好の反撃のチャンスになった。


皇女時代の側近であり絶大な信頼を得ていると承知しているが、グランダリア家もいち早く皇女の即位に同意し、忠誠を誓ったことに変わりはなかったと自負している。

グランダリア公爵家の私兵はフェレの最強軍事部隊と評判が高かった。


しかも現在はその上皇王と皇王共に皇宮に不在で、あらゆる上奏と詔がグロフォード公爵の手にある。

だからこそ気にくわなかった。


「グランダリア公爵

 言葉が過ぎる。

 皇家への侮辱と捉えられても仕方ない発言です

 ぞ。

 両殿下のご健康が優れず静養されているのはここ

 にいる国政を担う者が知る承知の事実。

 特に皇命は陛下の名で詔しておいではないか。

 それにご病気とおっしゃっても命に係わるもので 

 もおわりにならない。

 大事をとってお二人には私の領地の隣皇家直轄地

 ルシャンディ保養地で静養していただいておる。

 毎日私の所に伝令をおよこしになっている。

 何の問題があろうか?

 あとしばらくの時の事。

 反乱軍も襲撃の度に鎮静させているではないか」


瞼を開けて無機質な表情でグロフォード公爵はグランダリア公爵の瞳に視線を外さない。

ガザルガン要塞の陥落の知らせの後、皇王と上皇王の二人は病気療養の為に皇宮を不在にしていた。


「しかし……全滅という訳ではありません。

 毎回焼け石に水の……。兵士も疲弊していると報告が」

ややむっとした不快そうな顔つきをしたグランダリア公爵が視線を窓際に外して投げ捨てる様に吐く。


「皇都で大々的な市内戦を行えばこの皇都が機能し

 なくなる。

 灰になった皇都を見たければ別だが。

 鎮圧は出来ている。

 君らが騒ぎたてる事ではない」


再び表情を変える事なく淡々とした抑揚のない声はかえって腹立たしさを助長させるように聞こえ、更にグランダリア公爵の不満は募る。 


グロフォード公爵は日頃から疎ましく思っていた。

確かに重鎮ではあるが、思った事が顔に出てしまうのは政治家には向かない。


このグランダリア公爵の小さな抵抗はグロフォード公爵にそろそろ時期が来たと確信させた出来事だった。

そうグランダリア家を粛清して私兵を手に入れる。



ディルクス侯爵がこの張り詰めた会議の場を和ませようと会話に加わる。


「まあああ。

 ここは…宰相閣下の意見を第一に。

 皆様も陛下からの伝令書をご覧になっておいでで

 しょう。

 それにはグロフォード公爵の言葉を朕の声と聞く

 ようにとあったではありませんか。

 今は我らが反目している時ではありません。

 とにもかくにも皇都での反乱軍の攻撃を事前に掴

 み最小限の制圧を試みるのを第一にいたしましょ

 う」  


軍事大臣のシャリーノ侯爵が額に汗をかきながらグランダリア公爵を宥める言葉を選びながら伝えた。


「そうで……すな。

 それはそうと各同盟国からの防衛軍事支援に対す

 る上納金が七日後に各国を出国し、いつものダラ

 ンジュに入り金融商を通じて国庫に入る手配でご

 ざいます」


財務大臣のサディーナ伯爵が話題をいち早く変えようと早口で話す。


「ここで資金繰りが入るのはありがたい。

 我がフェレ皇国の軍事技術がエルディア大陸一で

 すからね。

 だからこそフェレイデン帝国を始め連合国は簡単には手が出せないのですから」


シャリーノ侯爵は会議をこの話題にすり替えようと同調して話す。


「まあ…そうですが」


グランダリア公爵は不服そうではあるが事実であるので答えた。


「でも上納金が入れば皆様への宮廷費と出費に対し

 ての援助を予定しております。

 この度は上皇王陛下の厚いご温情により、各大臣

 には十分な資金を用立てる様にと両陛下は私にお

 っしゃはれた。

 皆様もいろいろご不安とは存じますがしばらくの

 御辛抱です。

 両陛下が戻られましたら、必ずや皇都の平穏は約

 束されるでしょう。

 今しばらくの御辛抱を。」


財務大臣のサディーナ伯爵はここぞとばかりに強い口調で上皇王、皇王への忠義心を煽る為にその場を収めた。


「………」


「そ…う……っですな…」


「ご理解いただけたのでしたら、今日の議題は全て

 終えましたな。

 皆様次回の会議までおのおの皇王陛下の伝令通

 り、国政をつつがなく遂行されますように。

 まぁ。陛下は皆様の尽力を疑いもされておられ

 ず。それどころかご信頼とご期待をされておいで

 です。

 皆様も両陛下の厚い信頼を損ねる事のないように

 お願いしたい」


グロフォード公爵は満足した様子で椅子に深く腰掛けながら一転柔らかな笑みを讃え会議を打ち切った。


皆その笑顔はあくまで表面的で芯から笑っていないのは承知していた。

皆内心穏やかではなかったが、これ以上グロフォード公爵に意見する者は出なかった結果会議は無事に終える事になった。



フェレ皇国に蠢く政治的対立と上皇王、皇王の静養。

次回はグロフォード公爵の回顧風、上皇王との関係性など展開します。

宜しくお願い致します

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