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外伝 【愛と革命に生きるヴィルヘルム大公物語】結婚二年目の二人 アンドリューの秘密と絡む糸 

フェレでの救護活動は順調で神殿の力を借りて多くの被災者を救う事が出来たヴィルヘルム達。


しばしの休息の中アンドリューが危険な目に?

定期的に市街で行う奉仕活動は順調で、時と共に市民の中に率先して手伝う者もで始めある程度の成果を達成しつつあった。

ヴィルヘルム達とクリスティア商団員も一段落つき束の間の休息を取る事が出来た。



「あとはオルファン支部から追加の食材と日用品の供給が定期的にくる。何人か担当者を残して出発の用意をしよう。」


ヴィルヘルムはフランシスの言葉にふと疑問が沸いた。

その問いをフランシスに投げかけた。


「フェレ皇国の輸出入はかなり厳格で皇室の認めない輸出出来ないのにそんなに安易に輸送できる

の?」

当然の疑問だ。


フェレは貿易、流通、人の流れを徹底的に国で管理している。

しかもこの隊は正式に入国した訳ではなかった。


「まぁ秘密ルートがあるのさ。

 流石にこの商団規模は出来ないが、食材屋日用品

 なら意外と簡単に入れる。

 うちはフェレ皇国の貿易にそれなりに貢献してい

 るからな」


いまさらながらクリスティア商団の商才には脱帽した。頭ではわかっているが、現実を目の当たりにすると常識は簡単に破壊してくる。


今回の計画もクリスティア商団に渡りをつける辺り、さすがお祖母様だと脱帽な策に感服したものだった。

クリスティア商団はただの商団ではない。

各国のトップとコネクションを持った組織で、表裏の世界にも精通している稀有な商団。


しかもその団長は伯母クリスティーナ・ルナティア・ディア・フェレイデン帝国の皇女。

まあ国家機密だが。

会った事はないもののエルディア大陸全土で名をはせるだけあってかなりの人物だと想像できる。


「本当叔母様はすごいだ。

 十歳で事業を始めたんでしょ。

 しかもこんなに大きくして。

 僕はまだ会ったことないんだ。

 両親はあるらしいけど。」


「あぁ。

 でも団長がフェレイデン皇女だというのは秘密

 だ。

 しかしあの方は究極の人たらしだ。

 今はシャハルバードにおいでになる。

 各支部の統括だけでも大変なのにお子様もまだ幼

 いのに。

 あいかわらずアグレッシブだ。

 あの仕事ぶりには本当に脱帽だよ。

 あぁ。

 そうそう市民のリライディナに対しての評判上々

 だ。 

 女神ディアの使者と呼んでる。

 別れた隊からも同じ内容の報告を貰っているよ。

 順調でなによりだ」


珍しくフランシスは上機嫌で声が踊っている。

緻密に計算するタイプであまり感情を表さない印象があるから意外だった。

そのフランシスがやや上目使いにヴィルヘルムを眺めて、手にした煙草に火をつけてふっと煙を吹いて聞いた。


「ところでおたくのアンディ君は?」


ヴィルヘルムはぎょっとして瞳が挙動不審になる。


「あぁ。

 村の子供達と川遊びにひっぱり出されたよ……」


「そっ。所で奥方は?」


「ああ。リラならデザートのベリーをアンリエットと一緒に取りに森に入ったよ」


「ふう~~~~ん」


意味ありげなふう~~んにヴィルヘルムの胸はぐさりと刃が刺さる。

それを楽しそうにフランシスは眺めている。

不敵な笑みを浮かばせながら。





そのアンドリューは近所の年長の子供に連れられて川辺で遊んでいた。

挿絵(By みてみん)

川遊びにはもってこいの昼すぎ。

強い日差しに弱い冷たい川の水が風に冷気をもたらし過ごしやすい。

キラキラダイヤが煌めくくらいの水面が眩しいくらいだ。

水質は非常に綺麗で、底に生える水草が小さな白い花が咲いているのが見え、魚達が自由に泳いでいる。川の流れもゆ緩やかで川遊びには最適な場所だった。


「アンドリューって名前長いし呼びにくいからアンディでいい?」


手を繋いだ年長の女の子がアンドリューの顔を覗き込みながら聞いた。

キラキラした笑顔はアンドリューには今日の太陽の様に眩しくて思わず顔をそむけぶっきら棒に告げる。


「あ…いいよ」


女の子はそんな様子に構わず、アンドリューの手を強く握りしめて足早に他の子供達が水のかけ合いをしている所へ連れて来て、すぐに合流して二人ともその輪に入った。

冷たい水が手に腕に足に胸に身体に飛沫がかかり気持ちがいい。

あまり乗り気ではなかったアンドリューもいつも間にか、知らない子供達に水をかけ始めて胸が躍った。


なんかこういうの普通の子供みたいでたまにはいいかなと思う。


そういえば他の子供と遊んだ経験はない。

いつも大人が傍にいて、皆お世話をしてはくれるけれど、他人行儀で冷たさまで感じていた。

信じられるのは母と家政婦と世話係の三人だけだった。

そんな母も最近では体調を崩して病床にあった。

あの事件以来、気が付いた時には全く知らない泉に一人放置されていた。

意味がわからなかった。

これからどうなるのかわからない。



「アンディ!!

 ぼ~~~としすぎ」


考え事をしていたアンドリューは不意打ちをくらって、バケツの水をひっくるかえしたほどの水を頭からかぶるはめになってしまう。


頭から身体中ビショビショで下着もボトボトだ。


頭が固まってまったく動けない。

自分に何が起こったのか理解出来ず、しばし呆然とたちつくしていた。


ようやく頭が回り出した時、目の前に歯の抜けた子や、黄色の歯を見せる年長の子達が見えた。


「きゃあアア~~~」


「わぁ~~~~」


「きゃ~~~~~」


皆アンドリューと自然に今までずっと一緒に過ごしてきたかのような気軽さと親しみの陽だまりの中にいた。

笑いが降り注ぎ、アンドリューもつられてこのクリスティア商団と会って依頼初めて白い歯を見せる。


「やったな!!!」

年長のガキ大将だろう、少年に狙いを定め彼のいる膝まで浸かる川の中へ入っていく。


力強い足運びに水が跳ねる。


バシャ!バシャ!!


大きく腕をあげて引いて右足を川底に置いた時、苔の生えた岩でつるりと足元から滑り、身体が不安定になった。

そのままなんの抵抗する事も出来ずに水の中にたたきつけられた。


バン!バン!バシャ!!!


そのまま川底に叩きつけられてはっとし血の気が引いた。

しかもそこは突然水深が深くなっていて、流れも強くなっていた。


やばい!


アンドリューは泳げるものの、その流れはさきほどと同じ川かと考えられないほど、早くほとんど身体が言う事を利かない。


ズブズブズブ!

身体が流れに逆らえず誰かに足を掴まれ、思い切り引き摺られて連れ去られる恐怖が襲ってくる。



くっそぅ!

歯をくいしばりようやく泳ごうともがけばもがくほど、さらに身体は川の中に沈んでいくような気がした。



「アンディ!!」


「アンディ!」


自分を呼ぶ声が薄れゆく記憶の中で聞こえた気がした。


そのまま意識を手放した。

川遊びで水流に呑まれたアンドリュー。

彼は助かるのでしょうか?

次回アンドリューの救出劇

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