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外伝 【愛と革命に生きるヴィルヘルム大公物語】結婚二年目の二人 アディルジャを救え!Ⅱ

神殿での救護活動が一段落したクリスティア商団は次に救護するのは市民達への奉仕へと向かう。


蒸すような日差しのきつい眩しい太陽の下で沢山の市民が市街の中心に集まってずらずらと並んでいる。

生気のない疲れ切った者、ようやく人に支えられ青白い痩せた者、比較的健康ではあるが不衛生な身なりの者、老若男女、年齢を問わずにその列は終わりが見えない様に思えた。


その列の先には良い匂いを漂わせ、テキパキと鍋を掻き回したり、皿にスープを配膳したりとしてある種の活気があり、いきのいい声が飛び交う。

商団員は行列に並ぶ人を安心させるために穏やかな口調で話しかける。

「まだまだ食べ物の配給はあるから!」


「並んで!後ろから押さないで!」


「大丈夫よ!

 皆に支給出来ます」


「大丈夫!」


「大丈夫!」

大丈夫という声に並ぶ人はほっとした表情を浮かべて静かに整列している。


アディルジャの市庁舎の前でリナイディアとヴィルヘルム達が食事の提供をしている。


商団の調理担当者が街中で、調理してその場で出している。

リライディアの女性達が順に配膳してヴィルヘルムと商団の団員達が暴動にならない様に市民の興奮を鎮める為に目を光らせ注意をしている。


「食事の終わった方から左で日用品や食料の支給、体調の悪い人は右のテントに医師がいます。

 大丈夫です。

 疫病に効く特効薬がありますから食後に飲んで下

 さい。

 予防効果があります」


ヴィルヘルムは身体の中から押し出す様に大声で叫ぶと人々は大きな歓声で迎え、その瞳には幾何の安心がのぞいている。

 

「本当にありがとうございます。

 もう死ぬ覚悟をしていた所でした。

 疫病が流行り始めた途端に皇都から来たえらい役

 人達は早々に逃げてしまって。

 私の家族も半分亡くなりました。」

温かいスープの入った皿を手に涙目でリナイディアに話かけた。


「もう大丈夫です。

 特効薬の女神の薬草の薬も順に配布します。

 もうだいぶ以前に流行った疫病がまだ流行してい

 るなんて。

 エルディア大陸中に行き渡っていると思ってまし

 た」


「ありがとう」

老婆にそう言われ充実感で胸がいっぱいになるリナイディアは作業の手を更に早めた。


煎じ薬を貰った市民はリライディナに話しかける。


「そうですか知らなかった。

 そんなおふれはなかったように思う」


隣のヴェルヘルムは心当たりがあった。

横領だ。

フェレでも女神の薬草は田舎でたくさん生えている。

作れたはずた。

作って同盟国に売り渡したというと辻褄が合う。


材料があっても煎じたり、人によっては大量にいるだろう。

つまり自国民より自分の利益を優先させたのだろう。


腹立たしい気持ちが雲が湧き立つように芽生えては怒りに変化していく。


オルファン帝国の皇太子妃殿下も自国だけでなく、大陸中に情報と知識を分け隔てなく開示したにもかかわらずだ。


絶対にリライディナを皇位に就けないと。

改めて決意が漲った。


一方のリライディナは汗をかきながらアンリエットと老人や子供達に食事を出している。


キラキラと充填感に満ち溢れた表情だ。


「もう大丈夫ですよ。

 しばらく配給は続けますし。

 私達が去っても商団の者を残していきます。

 安心してください」


老女は目に涙を浮かべ、そのくちゃくちゃで細い手にリライディナの小さな手を掴んでは甲に口づけた。


「女神ディアの祝福を。

 私達に遣わされた女神の使者」


そう呟いてぎゅっと手を握る。傍で聞いていた者も同感だと言わんばかりに。


つぶやき始めた。


「女神ディアの祝福を。

 私達に遣わされた女神の使者!」


「女神ディアの祝福を。

 私達に遣わされた女神の使者!」


「女神ディアの祝福を。

 私達に遣わされた女神の使者」


それは次第に大きな合唱の如く人々が声を高らかに唱和していって、眩しい太陽の光に溶けていった!


「女神ディアの祝福を。

 私達に遣わされた女神の使者!」


「女神ディアの祝福を。

 私達に遣わされた女神の使者!」


リライディナは胸がいっぱいで身体が震える。それは重圧か責任感か?分からない。

けれど自分が人々から必要とされ、頼られる初めての体験だった。


私に……。

そう私が皆の先頭に立たないと。

強い皇位奪還の思いに身を震わせる。







皇位奪還を新たに決意するリライディアは次回ある秘密を知る。

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