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外伝 【愛と革命に生きるヴィルヘルム大公物語】結婚二年目のニ人 大花火大会 

ヴィルヘルム達は要塞の武器庫に狙いを絞り、要塞の混乱を利用した作戦を遂行していきます。


ヴィルヘルム達は足早に武器庫を立ち去り、精鋭隊の兵士に北塔のある要塞の裏門の施錠を開放した。

その足で北塔の螺旋階段を肩で息をするのもかまわす力強く登り切った。


北塔に頬を打つ風が強く吹いていた。


こんな風で狼煙を挙げられたらひとたまりもない。

計画は全ておじゃんだ!


「藁と薪を処分する」

ヴィルヘルムは鋭い眼光で隊長に指示して言った。


「了解」

精鋭部隊長が頷き言ったそのすぐ後、塔の上で無造作に置かれた藁と木材を兵に命じ移動させる。

その手際の良さと言ったらあっという間だった。


「さぁそろそろ大宴会の時間だね」

ヴィルヘルムは拳を強く握り締め、右手には剣を離さず唾を飲んだ。


「いつでも可能です。

 全員待機終了。

 殿下」


精鋭隊長が深く頷く。


「さぁ始めよう!」


ヴィルヘルムの再び鳶の鳴き声の真似と共に手にした発光体を空に向けて高く投げ捨てた。


ヒューーー!!

甲高い音が闇に轟くと同時に淡い黄色の光がぱっと炸裂した。


キーン!キーン!


ドンドン!!ドンドン!ドンドン!!


ドンドン!ドンドン!ドンドン!

挿絵(By みてみん)

ピカッ!


と同時に暗がりの空に高く一筋の光が天に向けて何かが放たれた。

漆黒の闇の空に突如明かりが弾け、赤、青、金、緑とありとあらゆう光の筋が美しい色を空に描く。


花火だ。ものすごい数の。


ドッカーン!!


ドッカーン!!


ドッカーン!


ドッカーン!


と同時に要塞の四塔からけたたましい爆発音がそこにいた全員の耳を切り裂いたが、もはや花火の打ち上げの音なのか爆発音なのか判別出来ないでいた。

しかし爆発音は確実に要塞内から聞こえている。

何故なら、四つの塔から出火していたからだ。



「何があった?」


「衛兵!どこにいる??」


「何なんだ?」


「わぁ~~!!」


「何があった!!」


「敵襲?」


「わあ〜」


思わぬ要塞内の出火と突然の襲撃に対応しきれず、要塞の兵士達は右往左往し勝手に転び失神する者や誰構わず体当たりする者もいたほどだ。


「なにがどうなっている!副隊長!」

指揮官達も逃げまどう兵士をそう落ち着かれたいいのか途方にくれ、眼光が鋭くなるが開いた口から出た困惑の声をあげた。


火に逃げまどう兵士達を副隊長もどうする事も出来ないでいる。

挿絵(By みてみん)

パッカ!パッカ!パッカ!!


「ヒヒッ~~~~ン」


「ヒヒッ」


そこへ不意打ちの様に騎馬隊が北塔の方向から、軍馬の鳴き声と土を蹴る蹄の音、土を挙げながら逃げまどう兵士めがけて馬上の兵士が大きな剣を振りかざす。


「わぁ~~~~~」


「ぎゃ~~~~!」



「わぁ~~~~」


「ぎゃ~~~あ~~~」


「敵襲撃!!」


「ぎゃ~~~~~!!」


あちこちから血の匂いと断末魔の叫び声と金属の倒れる音が要塞内を埋め尽くしさしずめ地獄図の様になっていた。


リライディナ隊も合流し、激しい戦闘に参加する。女性の剣は力不足だが、身軽で俊敏なリライディナの剣はそう簡単には太刀打ちできない。


「リラ!後ろ」


城壁からリライディナの背後狙おうとする兵士に気がつきヴィルヘルムが叫ぶ。

リライディナはすばやく身体を回転させて襲ってきた兵士の瞳を狙い一突き。


「ギャァーー!!」

激痛に石畳にのたうち回る兵士が断末魔の叫びが後に残されて、ルナイディアはその兵士の武具の脇を一突きした。

「グアッ!!」

兵士は項垂れてこと切れた。


更に警戒し傍にはヴォルとギャバンがルナイディアの両脇を塞ぐように立つ。


城壁に上がっていたヴェルヘルムと精鋭部隊は弓矢部隊と銃部隊を頭上から兵士を狙い撃ちしていった。


シュー!シュー!!

「グッ!!」


「ウッ!!」

シュー!


パン!パン!パン!


「…ウッウッ!」


パン!


「ギャ~~~!!」


パン!パン!


要塞の兵士達に狼煙を上げる暇などない。

打ち寄せる雪崩の様な中、抵抗すら出来ない縦横無尽に走り抜け、兵を始末していくヴィルヘルム達にかなうものはない。


全ての音は花火の音で打ち消され、無音の何事もないかのように画像だけが流れている。


その打ち上げ花火を硝煙の匂いと濃い煙の中、空を見上げて不敵な笑みを浮かべる男がいた。

フランシスだ。

満足したかのように葉巻を吸っては吐く煙の跡。

独り言を呟いた。


「殿下。

 見事な陥戦です。

 陥落まで一刻かからないでしょう」


確かに要塞の陥落まで一刻はかからなかった。

ヴィルヘルム達が要塞を陥落させ、ほぼ負傷者なしで全軍を全滅させたのだった。


「作戦完了!

 リライディアお疲れ。

 皆ご苦労様」


「わぁ~~~~!!」

皆作戦成功の興奮に奇声をあげて喜ぶを分かち合う。


「ヴィル!!すごいよ!!」


リライディアが興奮した声をあげながらスタスタとヴィルヘルムの元へと駆けつけてきていた。

冷たい風のはずがリライディアの後に起こる風は何故か温かくて皆その光景を和やかな微笑みで見ている。


息を切って暗がりの中で髪の毛は乱れ、頬を赤く染め興奮したリライディナ。

何も考えず、当然とばかりに本能のままにその腕をヴィルヘルムに伸ばして広い背を細い腕で抱きしめた。

火照った身体が塔の上にいたヴィルヘルムの冷えた身体に妙味心地良かった。

ヴィルヘルムの背に両手を廻してぎゅっと引き寄せる。

勿論無意識だ。ただただ嬉しかったから。


リライディナは思ってもいないヴィルヘルムの参謀としての高い能力に深く感動していて、瞳はキラキラさせて尊敬の眼差で見ている。


優しいいい夫。

そういう印象だったヴィルヘルムが才能豊かな軍人だったとは感激ひとしおだった。


一方のヴィルヘルムの心臓はドクドクと激しく慟哭し、耳まで赤く染まっている。


「えっと…ヴィル凄いよ!!」

少しはにかみながらヴィルヘルムは思った。

人のいない所で抱きしめてくれないかな?


それを隊長とヴォル、ギャバンがニタニタしたに焼けた笑いで楽しそうに見ていた。

地獄の様な血まみれの現場で熱い何かポカポカした温かな空間がそこにあった。




作戦が無事成功し要塞を全滅させたヴィルへルム達は休む事なく、大集団を四隊に分け東西南北に分離しそれぞれ再会を誓い合った。


ヴィルヘルムとリライディナは近衛隊・ディナス家騎馬隊、クリスティア商団隊が北部クリスティア商団と名乗り早々に出立した。


オルファン帝国傭兵部一個団はクリスティア商団隊が南部クリスティア商団を名乗り、フェレイデン帝国傭兵隊部一個団はクリスティア商団隊が東部クリスティア商団を。


皇軍に要塞陥落の知らせが届いたのは翌日という為体な結果だった。

あまりに燃え盛る煙が絶えず、その異変に気づいたからだ。

要塞を陥落させたヴィルヘルム達に待ち受けるものは?


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