表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/117

外伝 【愛と革命に生きるヴィルヘルム大公物語】結婚二年目のニ人 越境攻撃前夜

遂にフェレ皇国皇位奪還の出立を迎えた。


「姫様の皇位奪還の出立であるのに!

我らが先頭にたたずしてディナス家の首領様にどのように顔向けできましょうか!!」


アズランが目くじらを立てて先頭をディナス騎馬隊が立つと言い放って譲らない。


「そんな事でお祖父様は怒りはしないぞ」


「我らの姫様をお守りするという強い意志を示すた

 めでございます。

 我らに姫様を命に代えてお守りするようになにか

 につけて仰せでございました。

 我らディナス家の騎馬隊は首領様に多分な御恩が

 ございます。

 姫様の身に万が一がございましたら皆責任を取り

 自決する所存!!」


リライディナのそんなどこ吹く風で知らぬ顔をしようとはしたら、アズランが激しい剣幕でまくし立てるのでヴィルヘルムもリライディナも説得するのを早々に諦めた。 


はっきり言って先頭など、「どこの隊でもいいじゃんか。私は簡単に死なないわ」


リライディナの本音だ。

隣のヴォルも「そんなに弱く姫様を鍛錬してないぞ」と言わんばかりに炎の瞳をディナス家の騎馬隊に向けている。


先頭はリライディナ直属騎馬隊が、次にヴィルヘルムの近衛隊、クリスティア商団隊、フェレイデン、オルファンの精鋭傭兵隊が後尾を歩んでいった。

軍備も備えての列になるがかなりの大商団隊の規模だ。


すでに太陽は頂点に眩しい光を発するのと同時にアレキサンドロヴィッチ城壁も前回と同じ現象が起こり始めていた。


瞼を閉じなければならないほどの黄色の光に全員が晒され、その中へと半ば吸い込まれていく。重い荷馬車すら重力を失ってしまったかのようだった。

自分達に何が起こっているのかも見当もつかない。


大集団などその奇跡に移動規模などなんの事はない。

瞬間移動はあっというまで、どう移動したのかなど、わかる者は誰一人いないのも当然だと思うほどの瞬間の出来事だった。


理由もわからず光を感じなくなり初めて瞼を開けた時見た光景は薄暗い湿った広い空間だった。


皆体験した事が信じられないといった表情をしては周りをキョロキョロ見渡している。 

どうやら洞窟のようだった。 

ゴツゴツした黒岩や艷やかな薄茶のツルツルした柱に見え、足元は水脈が通っているのか濡れている。


上層部の一箇所に裂け目があり、そこから外の光がまるで明かり取りのように洞窟内を柔らかく照らしていた。


「違ってなくて助かった」


状況判断が出来ず右往左往している中で、ヴィルヘルムだけは冷静で、年代物の鹿皮で表紙を飾られ綺麗に製本された大きな書物を手にしながらホッと安心したように吐息をついてつぶやいた。


実は空間移動の体験録を記述したという司教の日記を託されていたのだ。

但しその書籍の内容通りになるとは限らない事は承知のうえだったが。


「フランシスとリラ、アズラン、フレディ、フェレイデンとオルファンの隊長集まって。

 これから作戦会議だ」


ニッコリと微笑んではいるが瞳は笑っていない。


どちらかというと何か企んでいそうな不敵な印象のある微笑みだ。

五人は急いでヴィルヘルムの周りに集まった。

下級兵が手分けをして火を起こそうとして荷から薪を下ろそうとした時だった。


「発光体そしてシャハルバードの許可を得て浮遊石

 も持参している。

 団ごとに配布できる。

 火は敵に居場所を知らせてしまう。

 発光体を支給するから各々野営の準備を」


そう言って止めたのはフランシスだった。


フランシスは各隊に配布した後、五人のその輪の中に発光体を置くと辺りは明るく照らされてお互いの顔だけでなく、書物も読めるほどの光が放たれて全ての隊はようやく落ち着いてきた。



「まず各隊の責任者はこちらでしばらく過ごす準備

 を指示して。

 出発の準備ができ次第隊を東西南北に分かれて移

 動させる」 


ヴィルヘルムは集まった五人の前に司教から託された大判の日記録の中の地図を開けながら言った。


「ここを見て」


ヴィルヘルムの指した先にはフェレ皇国の地図が細部に渡り正確に描かれていた。

位置、距離まで全てが正確だった。


「この経路で入国した司教はどうやら司教という立場でフェレ各地方を巡礼と称して歩いて地図まで

 作成し、その旅の日記まで記述している。

 僕達が居るのはここガザルザング洞窟の北部。

 位置関係から言って皇首都に行くには南下する必

 要がある。

 そこで問題発生。 

 この洞窟は丁度国境地帯にあってガゼルパンク要

 塞があって警備隊に知られず、首都を目指すのは

 不可能だという事実があるんだ」


フランシスが腕を組みながら吐き出すように言う。


「クリスティア商団を名乗っても無理か?」


「国内ならまだしも。

 ここは国境沿いの、しかも北部の狩猟民族との小

 競り合いが大きくそうとう警戒されている。

 うちの偵察隊も過去全滅させられた事もあるん

 だ。

 商団を分けて分散させても必ず留められて。

 計画はおじゃん全滅って、最悪のシナリオが考え

 られる。

 動きを首都に伝令されたら終わりだ」

ヴィルヘルムは淡々と答えるが、どこか余裕がある。


「じゃあ皇位奪還どころではない。

 一気に叩いて全滅させないと援軍が呼ばれたらひとたまりもないじゃないか?」

リライディナの悲痛な声が洞窟に木霊する。


「いやない訳がないって事もない」

ヴィルヘルムは優しくリライディナの不安そうな瞳に微笑んだ。


「伝令も送れないほど、全滅させる?

 どうしたらそんな都合のいい策があるのか?」


「いい手があるんだ!」

ヴィルヘルムは見たことないくらい自信満々に言いのけた。

遂に最初の総攻撃は?

作戦は成功するのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ