表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/117

外伝【愛と革命に生きるヴィルヘルム大公物語】婚姻式を前に

お披露目晩餐会で知り合い侍女兼友人になったアフェルキア公国公家傍流の姫アンリエットがその後の二人のキーとなる。


無事にお披露目会を乗り切ったヴィルヘルムとリライディナは二人宮殿で毎日勉学する日々。

そんなある日皇后である母から呼び出されるヴィルヘルムは?


ヴィルヘルムとリライディナの婚約披露の華やかな祝賀の日程を終えた後、慌ただしい日常はあっという間に過ぎて日常が戻ってくる。


宮殿の奥にある皇子宮ではいつもと変わらない静寂が広がり、規則正しい日常が繰り広がれていった。


そう高名な知識者が入れ替わり立ち替わり、二人の学習の為の授業が続き勉学に励む以外は。


リライディナは何も疑問に思わずに楽しそうに勉学に向き合っているが、ヴィルヘルムはずっとある疑問が離れる事がない。

授業も上の空で下手をすると教授の顔は瞳に映るのに、声がまったく聞こえない事さえある日も度々だ。


何が疑問かというと……。

ただの皇族なのにその授業の内容があまりに君主が受ける帝王学に近いものだと感じたからだ。


本来帝王学とは君主を継ぐ者が受けるべき学問で、この内容を皇族が学ぶ事自体かなり危険な事だ。

君主になるはずがない者がその学問を受けるという事は皇太子に挑戦している?と疑いかねないからだ。つまり皇位略奪の危険性か、これが両陛下の意志に基づくならば皇太子交代の懸念を貴族に匂わせる事もある。帝国の根幹を揺るがすに十分だ。


ヴィルヘルムの場合は授業内容は予め皇帝夫妻は承知、いや意向に沿って行われているだろう。

両親はあえてこの授業を受けさせているのだ。

そう確信している。


でも何故?

そんな疑問を払拭出来ずにいる。

解せぬヴィルヘルムはその事が頭から離れず、学習に身が入らない。


勿論有識者の授業は興味深くしっかりと学びたいと思ってはいるが、ある種の次男であるのに?


その思いがどうしても学習の吸収を妨げていた。


しかしあまり中途半端な態度で勉学するのも、躊躇われた六ヶ月後のある日。


「そろそろ婚姻式の日程を打ち合わせたいと皇后陛下がおっしゃりこちらに来るように仰せでございます、」

と皇后宮の侍従が皇子宮に訪れた。


ヴィルヘルムは明後日皇后宮に行くと伝え、母にこの疑問を打ち明けるつもりでいた。



*********************************************



「婚姻式は来月の一日に決定しました。

 すでに全ての準備は出来ています。

 リラにも伝えたわ。

 リラが大変勉強熱心だと教授達から聞いています

 よ。

 貴方は心に戸惑いがあるようではかどっていない

 ようですが。

 貴方は私に聞きたい事があるはずですね」


ヴィルは大きく頷いた後、母のライトグリーンの瞳を覗き込んだ。


澄み切ったその色は若葉の色でありそこには一点の曇りもなかった。

それはまるでこれから自分が話す事柄を知っているかの様な静かな落ち着きだった。

ヴィルヘルムは唾をゴクリと飲み込んで、母のその清々しい瞳を前にたじろぐ事なく疑問をぶつける。


「あの母上。

 私とリライディナが受けている授業は…。

 いわゆる帝王学に等しいと思うのですが………。

 勿論そのことを父上母上の意向だとは存じており

 ますが。

 出来れば理由を知りたいのです。

 そうすれば更に勉学に臨めると思うのでが………」



母は瞼を閉じて何かを決意しているようにぱっと瞳をあけると、やっぱりといった様子でニコニコして機嫌がかなりよい。


「ヴィル。

 貴方が不審がるのはよくわかります。

 そうですね。

 まずはその事に気づいた事を嬉しく思います。

 そう帝王学に近い授業内容でしょう。

 そうねヴィルでも。

 貴方にそれは絶対必要なのよ。

 命にかかわるわ。

 ()()()()()()()()()には絶対いに

 ね」


「はあ~。

 でも兄上の手前…。

 それに朝廷の重責者には心良く思っていない者

 も…」


「ヴィル。

 兄上も承知です。

 勿論重鎮達もね。

 まあ若い貴族達や真意をわからない者はあらぬ噂

 が立つかもしてない。

 いやすでに立っているでしょうね」


「なら母上!」


「いいですかヴィル。

 これから貴方達の前途にはとてつもない使命が待

 っています。

 私の話はしっかり聞いてそしてこれからの自分の

 役割を果たすのです。

 貴方がオルファン帝国の皇子であり、フェレイデ

 ン帝国の外孫であり。

 その二つとリライディナの血統がこのエルディア

 大陸の今後を左右する重要な使命の為です。

 これから話す内容は重要です。

 絶対に心して聞きなさい。

 そして学びなさい」


「………母上」



皇后の告白はヴィルヘルムの想像を遥かに超えたものだった。

母の言葉はまるで激しい突風に嵐の中に、濁流に放りこむまれるような恐怖感さえ襲い始めて、身体が身震いしてみるみるうちに顔面蒼白になる。


「………全てはエルディア大陸の平安と安寧の為に」


母の話は壮大な叙事詩の様で、まるで夢物語を聞いているようだった。

そう自分に関係なければの話だが…………。


遂に二人の婚姻式の日程が決定しました。

母からの思いも寄らない運命を託されたヴィルヘルムは?

次回は式前夜にリライディナのこれからを暗示する皇后との密談?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ