第二章 皇帝に初めて出会う
皇帝に初めて出会う
意外にイケメンでした。
その日はすでに日暮れであった為に謁見は翌日に持ち越された。
入浴を済ませて衣装を着替え柔らかな寝間着に着替えて寝台に横たわる。
長い旅路で緊張の連続だった。
明日の会見を思うと更に眠れそうにない。
何度も寝返りを打ち方向を変えるもなかなか寝付けない。
一度起きてしまってから、外の空気を吸おうとショールを纏い部屋を出て階段を下りプレイベートエリアの特別な皇后用の庭園をめでる。
見た事もない花々が香りが庭園を彩り心が癒される。
ふと人影に気付く。
エリザベート悪い事はしていないのに思わず大木に隠れる。
誰もいるはずない深夜の庭園に人影がある。
ひそひそと声も聞こえてくる。
「……気付いたら?」
「その時は……」
「でも絶対にむりだよ」
「どうして?」
「もういやだ。
僕はこんな事したくない」
「どうして?だめだよ」
「君は僕で。僕は君だ。だって約束したろう」
「償いはしないとね。全てを。」
「………」
その声はそれっきり聞こえなくなった。
変に思ったが、出ていく勇気はなかったのでそっと静かに庭園を去る。
扉をゆっくり開けた後、さっと人が通り抜ける気配がした。
確かに向かいは皇帝陛下のプライベートエリアのはず。
奇妙な出来事の後、再びエリザベートは床についた。
さっきのは誰? 何をこんな所で? 何を?
不思議に感じた所で睡魔がやってきてそのまま眠ってしまった。
翌日は朝から入浴したっぷりの香油でマッサージを受ける。
心地よいその指使いにうっとりする。
髪にも香油が塗られ温められたタオルに包まれる。
綺麗に化粧と髪が整えられて謁見の準備に余念がない。
ドレスは予想通り身体のラインが比較的見えずらいゆったりしていて、所々に金糸で草花が刺繍し宝石を縫い付けた豪華なものだった。
肩から下に袖はなく金のブレスレット、腰に金のベルトをして胸元は少し開き気味で豊かな胸があわらになっている。足元は金のサンダルで両サイドのスカートはスリットが入っている。
これに頭に金の宝冠に金や銀の草花が装飾される。首には輸出品であるサファイヤのネックレスが散りばめられている豪華なものだ。
額に帝国の女性が付ける額に赤の・印、口紅は赤くそれ以外はナチュラルメイクだ。
異国の皇女ではあったがこの民族衣装は見事な着こなしだと侍女達は思った。
定刻になり、皇后は謁見の場に進む。
ここで皇后の謁見の儀が始まる。
扉が開かれた。
真っ直ぐに皇帝の玉座があり、そこに彼が座っている。
長身で細身白い透明な磁器なような艷やかな冷たい肌、プラチナブロンドの柔らかい髪は後ろで束ねていた。
瞳は灰色がかったブルーで憂いを満ちていた。
イメージとかけはなれた印象に面をくらっておもわずお辞儀をするのを忘れてしまう。
はっとして。
ゆっくりオルファン式の片手を右横に出して腰を落とす。
皇帝はにっこりとして微笑み話しかける。
「エリザベート皇后
遠路はるばるよく起こしくださった。
ここを故郷と思っておすごしください。」
美しい皇帝陛下
エリザベートは男性をそう思うのはおかしいと思ったけれど。
微笑みながらそう言って玉座を離れ、エリザベートの手を取って皇后の玉座に座らせた。
どう考えても残忍皇帝と言われているとは思えない。
頭が混乱してその日は疲れもあり寝台に横になってすぐに熟睡してしまった。
初夜に夫を待たず一人眠ってしまったのだ。
すうすう気持ちとさそうに寝ている姿を皇帝はじっと見てはクスクス笑いだし、侍女達に寝かしておくように言いつけて寝室をあとにした。
翌日やらかしてしまった事を侍女に告げられ頭を抱える。
これで間違いなく殺される!!!
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