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外伝【愛と革命に生きるヴィルヘルム大公物語】 婚約一年目の二人 ヴィルヘルム落ち込む

寝付けない夜の湖の傍で剣を交えるリライディナとヴォルを目撃してしまう。

そのショックで失神したヴィルヘルム皇子。



「えぇぇ……えええぇぇ……」


ヴィルヘルムは今、目にしている二人が剣を交えている姿に圧倒され呆然としている。


身体中から血の気が引いて頭の中の思考はまったく働かない。

リライディナが襲われているのに、相手がヴォルポルトだから?

この光景に思考回路が崩壊し、おっつけないでいるのだ。


それでもリライディナはヴォルポルトの剣を寸前のところですっとかわし、何故かヴォルポルトがいる逆側に走り出した。


タッタッタッ!

砂を蹴る音に悲壮感はない、どこか楽しそうですらある。


「まてぇ!」

ヴォルポルトの叫び声が耳に響く。


一つの大きな木に辿り着く頃には背後からヴォルポルトが迫っている。


大剣をふるいあげて襲いかってきた。


「ウリャ〜〜!」

ヴォルポルトの絶叫が空を木霊する



「ハッ!」

リライディナがかけ声を放つ。


トン!

足で大木を蹴り上げた。


小さな身体が放物線を描きながら、しなやかな弓のように宙を舞う。

くるりと回転したすぐ後に。


もうヴォルポルトの背後だ。


「はい!いただき」


ヴォルポルトの太い首にリライディナの鋭い剣が今にも血を吸いたそうにギラリと鈍い光を放った。


「リライディナ!

 リライディナ!

 リライディナ!」


僕はこの時初めて彼女の名前を連呼しながら駆け寄った。


肩で息をしながら息遣いが荒い僕の顔をぽかんとした表情で見ていた2人。


「どうしたのか?

 ヴィル?」


彼女は剣をヴォルポルトの首から離し、腰に巻いた革ベルトの鞘に剣を納めた。


そうここで僕は初めてこの交戦は訓練だったと認識したのだった。


ヴィルヘルムは張り詰めた神経と咄嗟に助けられなかったという罪悪感に苛まれ、もう自分が酷く情けなく惨めな人のように感じいたたまれない。


「ウア〜〜〜ン」


あとはもう感情に任せて理由もなく涙が止まらず泣き叫んでいた。


ああ幼い頃以来のガン泣きかも。

どこから溢れてくるのかわからない涙で滝の様に流れて顔中ビチャビチャ。 


全く止められないその涙は途切れる事がないかのようだった。


「ヴィル?」

そうリライディナが言ったような気がした。

なぜかって?



重ね重ね情けない男だ。

情けなさすぎて…………泣けてくる。

僕は意識を手放した。

つまり失神したのだ。



次に目にした光景は侍従の心配そうな顔だった。


ぼ~~~として瞳に焦点が合っていない。


「ウ~~~~ン」


ぼんやりする景色の中で自分の部屋にいる事が辛うじてわかった。 


「殿下!

 殿下大丈夫ですか?」

あぁ侍従長だ。


「う〜ん」


空を泳いでいた目線がベットの傍に置いているサイドテーブルに着したと白い封筒が置いていた。


置いてる手紙。手紙…。

なんだかすごく気になった。

というかどうしてこうしているのか?

そんな事などどうでもよかった。


ヴィルヘルムは気が付いたらは封を開けて、中に入っている手紙を取り出した。


「親愛なる夫となるヴィル


 びっくりしたろう

 驚かすつもりはなかったんだ

 すまなかった

 護衛のヴォルとは私が物心つく頃から護衛として

 仕えてくれてたんだ


 フェレを脱出する前から私の剣の師匠でもあっ

 た

 ここに来てからも剣の稽古はしていた

 貴方に言っていなかった私が悪い


 もし許してくれるなら一緒に剣を交えよう

 私は生きる為にそして皆を生かす為に

 日々鍛錬をしている

 剣は私の一部なんだ

 女だてらにと思ったろ

 でもわかってくれたら嬉しい

 一緒にしてくれたらとても嬉しいし

 こんな私を理解してくれ


 貴方の妻となるリライディナ




ヴィルヘルムはこの率直で気取らない文が嬉しくて、胸が張り裂けそうになりながらなんどもなんども目でおった。


なんだか胸に落ちてグッと来て嬉しくて勝手にラブレターな気持ちでヴィルヘルムはいた。


うん!剣を一緒に習う。

そして僕が守るんだ!



そう決意したヴィルヘルムは後日この意志を後悔した。

何せリライディナはめっぽう強くヴィルヘルムの身体中にあざと切り傷をつけられるはめになったからだ。


けれどそれも楽しかったし、そうこうしているうちに剣の腕も上がって強くなってきたから不思議なものだと思った。



気取らないリライディナの人柄に引かれ始めているヴィルヘルム皇子。

二人の共通の趣味?実益が更に二人を近づけるか?

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