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外伝【愛と革命に生きるヴィルヘルム大公物語】 婚約一年目の二人 剣士リライディナ

楽しい狩猟後に寝苦しい夜ヴィルヘルム皇子は?

オルファン帝国でも北部に位置し標高の高いイスファハンの夏は比較的涼しい。

建国から皇室の避暑地として、又貴族や裕福な商人などの別荘が建てられて夏になると、それなりの社交場に変身して大変な賑わいだ。


しかしエリーザベト皇后の時代になるとそれまでの避暑地での社交は一切禁止され、皇室の一族以外この離宮を訪問する臣下は緊急を知らせる伝令以外はほとんど訪問しなくなった。


「避暑とは家族で過ごし皇室内の家族の絆を深める為にある」というのが皇后の考え方からだ。

臣下の親睦は帝都の宮殿で皇族一家の親睦は夏の離宮でが徹底された。


これには皇帝ルードヴィヒの秘密の過去があった。

前皇后の理不尽な我が子への憎しみで深く傷を負っていた皇帝を、ここイスファハンで癒したのが皇后エリザベートだったからだ。


この離宮は二人の思いでの地であり、青春の輝かしい時代の象徴であり、家族の絆を深める事がいかに大切かを身を持って知らせてくれる場所だったからだ。


ルードヴィヒ三世皇帝家族は未婚の皇女達が結婚し帝国を離れた者以外必ず全員で夏はこの地で過ごした。


もう間もなくしたら帝都から両親そして兄夫婦家族がここにやってくる。

新しい家族となるリライディナを紹介する事になる。



その夜イスファハンの気温は珍しく高かった。

しかも風がなく寝苦しさを覚えてなかなか寝られない。

ヴィルヘルムはベットの上でゴロゴロと何度も寝返るを打つもまったく眠気がしない。

たまらず睡眠につく努力を放棄した。


「ちょっと庭園を歩いてみるか?」


そういってベッドから身体をお越し、軽い羽織り物を着てそのまま部屋を出てた。

長い廊下を渡り、エントランスの裏側の庭に出る。


宮殿の裏側はまず広い薔薇園があり、珍しい各国の薔薇が植えられている。

庭先にはすでに甘い香りに満ちている。

今盛りで華やかで可憐な赤、ピンク、黄、紫、白と今競うように薔薇が咲き誇っていたからだ。


天気のいい日にここでティータイムを二人でするものいいかな。

鼻をくすぐる甘い薔薇の香りを嗅ぎながら、更に奥にある森の中の湖を目指す。


森は整備され、大木の木々が手入れされて並んでいる。

苔の絨毯が引かれた茂みには若芽が沢山出ていて、月光に照らされている。


あっちこっちで夜行性の小動物が草花をざわつかれて、時折鳴き声も聞こえてくる。


その中を一人足を進めると、少しずつ水の匂いがし始める湖のある道を進んでいった。

今宵は満月でほのかに明かりが見えて夜の森の中でも安心感があった。


少し深呼吸して森の香りを吸い込むと、青い草の香りと湿気を含んだ木々の香りがヴィルヘルムの中に入っていく。

心の安らぎが得られたように感じる。


と突然。


キ~~~~ン!!


キ~~~~~~ン!!


ガシャ!ガシャガシャガシャ!!


キ~~~~ン!!

ガシャ!ガシャ!ガシャ!!



「ヤアアァ!!」


どう聞いても剣の擦れ合う音だった。


「こんな時間に?誰だ?」


しばらくすると湖の方に金属音が触れ合う甲高い音が耳をきっさく。


こんな所で護衛兵士が夜間訓練しているなど聞いた事がない。


大木の陰に隠れながらその音の正体を知る為に剣の音の先へと足を進める。

うちの兵士ならまだしも、間者だったらどうしたらいい?

いちまつの不安を感じながら、見つからないような距離を詰め、木陰を見つけ隠れながらその光景が眼に入る。



「えっ!!」 


ヴィルヘルムが見た光景は戦っているリライディナとヴォルポルトだ。


「姫様!

 脇が甘い!」


ヴォルポルトは力任せに大きな腕を振るい上げなんの躊躇もなく、リライディナの頭上めがけて大剣を振り下ろした。

突然のリライディナ皇女と護衛のヴォルポルトの交戦??

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