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第一章 輿入れの日から入宮まで

我儘いっぱいに育ったエリザベートが嫁入りします。

しかも相手は異文化の元敵国

皇后は慣例に反してエリザベートを宮殿の出入り口に待機させていた金の馬車に乗り込む所で見送る事にした。


「エリザベート

 もう二度と会う事はないでしょう。

 いつも貴方を思っているわ。

 私の大切な娘

 あなたの名は私のお世話になったある貴婦人の名前をいただいたのです。

 その方の様に聡明でいてください

 愛しい娘」


額に祝福のキスを送ると胸元に引き寄せて抱きしめた。

母に抱きしめられるなど10年ぶりだった。

常に年長者として厳しく育てられたが、持ち前の気の強さは筋金入で言うことは一切聞かない頑固な所があるので、オルファンではうまく順応できればと思っているが不安要素でもある。


よい方向にいけばよいのに。


皇后は考えるだけの娘の身の安全を確保出来る最大限の処置を施して輿入れの支度を整えた。



エリザベート頼みましたよ。

貴方の行動、言動全てがこの世界の未来にかかっているのです。


去っていく馬車に大きな期待を託して皇后は涙ながらに見送った。


馬車は皇女の気持ちをよそに港まで走らせる。

両側は帝国国民の見送りでごったがいしている。皇女の花嫁行列は久しぶりだったので、その数や帝国中の国民がいるのではと思うほどだった。

エリザベートは馬車の中で幾分緊張していた。

何せ外国への輿入れしかもオルファン帝国は遠い。

陸から海峡を経て更に大陸を跨いで山脈を超えての長旅だ。

このまま永遠に旅が続けばいいのに。


二度と帰れない故郷を瞳に焼き付けようと窓から美しい街並みを眺めてた。


港に馬車を止めて桟橋で帆船に乗り換える。

かなり大きな帆船は王室外遊用の物でこの婚礼の為に改造された船に乗り込んだ。


静かに帆船は静かに出航し、幼い日に夏の避暑地で過ごした灯台が見えるそれが少しずつ離れていく。

思い出が少しずつなくなっていくような寂しさが胸を締め付ける。

帝国を離れるのは生まれて初めてだ。

いいようのない恐怖心の波が異常なほどの勢いで心に打ち寄せ頭を支配して気付いた時には涙が流れていた。


帆船は三十日間航海を続け比較的天候にも恵まれ快適な船旅となった。


時間の出来たエリザベートにはオルフェン語と文化芸術、慣習、歴史、マナーを学ぶ時間に費やされ自由時間は少なかった。


エルディア大陸を廻りこみ遠隔地の統治地方の港に入港出来き馬車に乗り換え陸路を進む。


ガタガタと山道を動く馬車クッションが良いとはいえ長時間の旅は負担になる。


港から山脈を超えオルフェン帝国の帝都オルフへ向かう。

馬車で十日間ほどの旅路になるので当然村々で宿泊しながらの移動になる。

十日間されど十日間だ。


初日は一山超えて宿場町にあたる村で一夜を明かす。

宿泊施設はないので村長の家で皇女は一泊することになる。

ここはフェレイデン帝国の長年の敵対国フェレ皇国の同盟国油断は出来ない。


宿舎は兵士が護衛して万全の体制で望む。


エリザベートはさすがに疲れたのか、ぐっすり一夜を過ごし早朝に出立する。

これを十日繰り返した後に帝都に到着する。

帝都の付近から国民が歓迎し列をなす。

その一人一人に手を振り答えるさ姿はすがに皇女だ。

皆異国の衣装が珍しく皇女は目を見開いて見ていた。気温が高く、ゆったりとした柔らかな素材、通気性が良さそうだ。

肌も比較的露出しているのが少しはしたないが。

この気候ならしかたいと諦める。

概ね衣装は派手、地味の違いで同じような服装が一般的なのでエリザベートも同じ衣装を着るのだと覚悟した。


道いっぱいにむらがる群衆は熱狂して異国の皇女を迎えている。


エリザベートは深いため息をついた後、緊張の面持ちで帝都の中心旧市街地に入り宮殿を目指す。

宮殿は小高い高台にあり、その華やかな都を一望できる。少し登坂に馬車は進み宮殿の入り口に入った。


中庭に出ると出迎えの貴族や侍女達が待ち構えていた。


馬車は中庭に止まり、侍従がその扉を開けた。


エリザベートはすっと馬車を優雅に降りて、まっすぐ前を見て足を進める。


皆エリザベートの前に平伏し、敬意を現わす。

少し前まで敵であった異国の姫君に表向きにも敬意を現わすなどまずは一歩は成功だった。


そのまま宮殿の中への入っていく。


長い回廊を貫けて階段を上がり、ずんずん奥へと歩み進めると、再び重い扉が前に現れる。


静かに重い扉は開けられて、そこが自分のプライベートエリア内にある私室である事を知る。


第一章 第一話 完







オルファンでの生活は?次回お楽しみに

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