外伝 最終章最終回 皇位奪還 【愛と革命に生きるヴィルヘルム大公物語】フェレ皇国の未来へⅢ
上皇王の処刑は無事に施行された。
その後のヴィルヘルムとリライディナの物語 最終回後編です。
そしてその歓喜の叫びは離れた離宮にも届いていた。
「処刑が終わったようだ」
ヴィルヘルムがバルコニーに立って人民の歓喜の声を聞いてリラいディナに伝えた。
「ああ~。
ようやく次に進めるね」
「そうだ。
正式な即位式は一年後だ」
「うん。
その後に貴族達の爵位就任式、騎士の任命式大変~~」
そういうリライディナの顔はなんだかニコニコしている。
「でもなにより大切なのはフェレ=ディエンブルグ大公家の復権だ」
「そうあの子なら必ず出来る。
まずはブレーンに優秀な者をつけて。
アンリエットとルシファルを後見役に。
それとあの子に無償の愛を捧げる事が出来
る者もいる」
「そうだね」
「それと僕らの時代には無理だが。
議会を制定しよう。
そして選挙で選ばれた者を身分を問わず参
政出来る国にする。
手伝ってくれヴィル」
「もちろんだよ」
一年後即位式が大神殿で行われる日
フェレイデン帝国特使として皇太子夫妻、オルファン帝国からは皇帝夫妻。各国の同盟国の王侯や大使達が一堂に集まる。
「まあ~なんて綺麗でいらっしゃるのでしょう!」
キラキラした瞳で鏡越しに見ては大はしゃぎしているマーシャ。
「マーシャ…恥ずかしいよ。
こんなかっこうしたことないから変じゃない?」
「そんな事はありません。
姫様はお綺麗でとてもお似合いです」
「そうですとも私の姫様!」
乳母は得意げに皇位に就くリライディナにおどけて見せる。
緊張感をほぐすためにだ。
二人はニコニコ笑顔をかかさない。
大事にしていた姫が皇国の王として即位を内外にしめす重要な儀式に感無量で涙目になっている。
そんな時リライディナの控室に優雅な足音が響く。
後ろを向いた時だった。
「リライディナ皇王陛下。
ご即位式。
誠におめでとう。
こころからの祝福を。
女神ディアの祝福を」
オルファン帝国皇后エリーザベトは春の日の柔らかな日差しの様な微笑むを湛えて、丁寧な言葉使いとは裏腹に愛しい娘を腕に抱き額にキスを落した。
「ありがとうお母様」
リライディナはその柔らかで温かな本当の母の様な温もりを肌に感じて思わず涙を流す。
それは悲しみのではなくいままでの緊張の糸と多くの経験を思い出したせいだった。
「あらあら赤ちゃんみたいね」
エリーザベトはそうは言ったもののその声には無邪気で嬉しそうに笑っているようにも聞こえる。
「今だけです。
お母様」
「いつだって甘えていいのです。
私はオルフェン帝国の皇后の前に貴方の母ですから。
貴方達の母ですもの」
そう言って少し乱れたリライディナの髪をかき上げて頬を両手で包み込む。
「お母様」
「いってらっしゃい」
「はい」
振り向くことなく控室を去るリライディナ。
そう今日から正式にフェレ皇国の皇王となる戴冠式に向かうのだ。
正装をしたリライディナは侍女達に連れられて大神殿の正殿に入場して儀式へと望む。
目の前にはすでにヴィルヘルムが正装して嬉しそうにリライディナを迎えている。
緊張感のあまりさすがのリライディナも心臓が激しく高鳴る。
「綺麗だ」
緊張しているはずのヴィルヘルムはリライディアのあまりの美しさに目を細めて頬を染めながら思わず言葉が漏れる。
はにかんだリライディナが可愛らしいと思う。
金銀の刺繍で飾られた絹のレースのベールを被り顔は見えないが、僅かに震える様子にヴィルヘルムは被るであろう王冠の重さを知るのだった。
「大丈夫。
僕が支えるから」
小さな呟きにも似たしかし大きな決意をリライディナに伝えた。
小さく頷くリライディナの口元が緩む。
二人は手を取り合い静かにゆっくりと神殿の祭殿へと進む。
大神官の前に歩み祭壇の前に置かれたクッションに跪くと厳かな儀式の開始だ。
大神官が祈りを捧げ、二人にスノードロップの花弁と精油を垂らして祝福を行うと神殿の祭壇には香木が焚かれ芳醇な甘い香りが漂う。
「女神ディナの元フェレ皇国は新しい皇王陛下と王配殿下の即位を迎えた。
新皇王リライディナ・ディア・フェレはフェレ・グレフォラヴァン大公王配殿下ヴィルヘルム・ディア・オルファンと共にフェレ皇国の為に生涯をお捧げください。
共にフェレ皇国の繁栄を。
永遠に。
女神ディアは祝福された二人を。
フェレ皇国に幸あれ」
そう祝いの言葉を伝えた後一瞬の静寂。
祭壇の頭上のガラス窓から太陽の光が射しこんだ。
大神官は隣の神官から王冠を受け取り、跪いたリライディナの頭に掲げる。
その後ヴィルヘルムに王配用の冠を受け取り、跪いたヴィルヘルムの頭に掲げた。
二人の頭上に掲げられた王冠は天井からの太陽の光を更に受け神々しいまでに光輝いた。
二人は数多くの宝石で飾られた金銀の王冠のその重責を実感していた。
その重さに押しつぶされぬように二人はお互いを支え合う覚悟していた。
その為に今日の為に全てをかけて挑んだ皇位だった。
「大丈夫だよ。二人なら二人で」
ヴィルヘルムはリライディアの腕を組んでそう自分にも彼女にも言葉で安心させ、リライディナは安心したかのようにはにかむ様に微笑んだ。
神殿内に子供達の歌声が響き渡り、荘厳さは最高潮に達っしその興奮の波は外で待つ皇民達にも伝わる。
その儀式を最前列のアンジェリは感無量とばかりに涙目で祝福している。
お母様の望みを叶える為に私はフェレで生きていく。
この二人と共に。
二人は戴冠式を終え皇民の待つ街へと繰り出した。
歓声と拍手が沸き上がり、大神殿の周辺は熱気に満ち溢れていた。
大神殿の前に伝統的な儀式馬車が用意され乗り込むとすでに大神殿の周りに埋め尽くされた皇民に二人は手を振り答えた。
「新皇王陛下!万歳」
「リライディナ皇王陛下!万歳!!」
「新王配殿下!万歳!」
「フェレ皇国万歳!」
「フェレ皇国永遠なれ!」
「わぁ~~~~~~!!」
沸き立つ市民にリライディナは満面の笑みを浮かべ手を振る。
ヴィルヘルムはまだ旧クロフォード公爵派の残党が事件を起こさないとはいえないと警戒態勢でバレない様に様子を伺っているが手を振る事は忘れない。
その多くの皇民の中に見慣れた人達を見つける。
ヴォルとギャバン、そしてフランシス、エメラディーヌだ。
ヴィルヘルムがリライディナに耳元で囁くとその方向を見ては大きく手を振る。
「両陛下!
おめでとう」
「姫様!おめでとう!!」
「おめでとうございます!!」
「新フェレに幸あれ!」
四人はあらんかぎりの大きな声で祝福の言葉を贈った。
「ありがとう!」
「あり…とう……」
リライディナが瞼を擦り一つあくびをつく。
「ねえ~ヴィル。
なんだか最近眠いんだ。
今もすごく眠いん…。
変だよね~。
可笑しいかな?」
リライディナが隣のヴィルヘルムに耳打ちをする。
「えっ?
眠い??
この状況で?」
ヴィルヘルムは不思議そうに目を丸くする。
僕ですら緊張で今夜も眠れそうにないのに?
「うん。常に眠くて……。
気がつけば居眠りしてて……。
無意識なんだ。
しかも食欲はあるのに。
それにすごく疲れるんだ。
料理の匂いを嗅ぐと吐き気がしてね。
変なんだ」
ん??
あれ?あれ?あれ?
ヴィルヘルムの思考回路はグルグルと廻りどこかで聞いた事のある言動だ。
思い出そう……。
いつだ?
誰だ?
記憶の引き出しをかたっぱしらなら開ける。
「あっ!」
そう思い出したのだ。
母が妹を身ごもった時言っていた事言葉を。
「リラ!
これが終わったら宮廷医を呼ぼう!
リラ!!」
急にリライディアを抱きしめた。
ちょっと突然の行動にリライディナは途端に頬を真っ赤に染める。
「わぁ~~~~~」
「きゃ~~~~~」
それを目撃した皇民は仲睦まじい姿に歓声が沸き立つ。
この祝典の日の夜宮廷医がリライディナの寝室に呼び出された。
診察を終えた宮廷医長から予想もしなかった言葉を聞く事になる。
「陛下御懐妊でございます。
三カ月に入った頃だと存じます。
フェレ皇国に栄光あれ!
おめでとうございます」と。
二人が抱きしめあって笑ったのは語るまでもない。
その後長男である皇太子が誕生し、二男二女に恵まれました。
二人はフェレ皇国の栄華の基礎を作り歴史に名を刻む名君と名高く、生涯仲睦ましく暮らしたと伝記に伝えられています。
その三十年後長男の息子に譲位し、その息子の時代に立憲君主国へ政治移行を実現する。
そしてそれから二代後の時代にエルディア大陸で初となる正式普通選挙による議院内閣制共和国と生まれ変わった。
二人の子孫は善政を敷く多くの議員となり益々フェレ共和国は繁栄していった。
これで外伝は完結しました。
本篇よりも長い物語になりありがとうございました。
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宜しくお願い致します。
尚落ち着いたらアンジェリその後も描きたいかなと思っています。
ご愛読ありがとうございました。
長い間ご愛読ありがとうございました。
後一話はあとがきです!




