表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

114/117

外伝 最終章最終回 皇位奪還 【愛と革命に生きるヴィルヘルム大公物語】フェレ皇国の未来へ

上皇王との戦いに勝利した。

しかしフェビエンヌは上皇王により殺害され死去してしまう。

ヴィルヘルム達は元上皇王をどう制裁するのか?

「さてアンジェリ。

 君の望み通りにするよ。

 このくそ元上皇王いや`````いや````。

 その敬称すら反吐が出る!

 マリアンネをどうするか?

 この場で殺すのもいいし。

 なんなら即処刑にするか?

 勿論公開処刑だ。

 それよりか囚人として監獄に幽閉するか?

 それとも囚人労働者として惨めな人生をおくらせるか。

 決めていい。

 君の望むままに。

 アンジェリ」


母を亡くした悲しみに泣き疲れ果てて投げかけられた言葉にヴィルヘルムへと目線を移す。

柔らかな悲しみの中に僅かに口元だけをあげ労わる彼の優しさに魂が震えてまた涙が頬を伝う。


どんな時にも寄り添ってくれる。

どんな時でも。


「アンジェリの全てを背負うよ。

 全てを」


そうどんな決断をしても全てを背負う覚悟が出来ていた。

彼女の生涯につきまとう復讐という名の過去も評価も結果の全てを支え守りぬくと。


そんなヴィルヘルムの真剣なその表情に涙を手で拭い、目を擦って強い眼差しをヴィルヘルムに向けた。


「……ありがとう…」

でも何が一番得策なのか難しい問題を自分に託してくれるヴィルヘルムに少しは救われた思いがして心が軽くなった。

この決断がいかに重要なものかも幼いけれどわかっている。


芯のある言葉で一つの決断を決意しようとしていた。

やはりそうあるべきだと。


我に返り憮然とマリアンネに目線を合わせる。

その女は身体を拘束され項垂れているが、瞳の奥に憎悪を隠そうとはせずに睨みつけ敵意をむき出しにしている。


その瞬間に母を奪われた怒りと憎しみのマグマが沸々と湧き上がり今にも爆発してしまいそうになる。


母の死に胸は張り裂けそうで残虐な復讐をしたい!!

けれど最後の母の遺言は…。


まだ答えを決めかねるアンジェリにヴィルヘルムはずっと待つつもりでいた。

そして誰も催促しないアンジェリに後悔をしてほしくないからだ。

しかも皆悪であったとしても命を奪うかもしれない決断だからだ。



「ハッ!

 今ここで殺せ!

 お前の母をこの手にかけた私を。

 殺せ!」


そんなアンジェリの心を刃でえぐるようにマリアンネが殺さんばかりの殺気を投げつけ汚い言葉を吐く。



「ウザイな!!

 だまれお前に選択権はない!!」


今にも斬りつけんばかりにヴィルヘルムは怒りの言葉を投げつけた。



ああっ!

出来たらこの悪魔のような女をこの世から消してやりたい。


でもお母様は望んでる?

私が私の手が血に染まるのを。

私が手を下してこの憎しみは消える?

お母様が望んでいた?

そんな私を……望んでいた?


憎しみと復讐その反対側にある母の愛情と我が子への望の間に激しく心は揺れ動く。

頭の中はぐちゃぐちゃでどうしたらいいのか?

もうなんににも考えられない。

でも母親の自分の命に代えても私を助け愛情の全てをかけて逝った母。


私の手を優しく握りしめてくれたお母様。

私の幸せだけを願って逝ったお母様。


最後にお母様が言っていた言葉は?

私はどうしたらいいの?

なんども自分の心の鏡に問いかける。


どうしたらいいの……?


そうだ!

そう!

どうするのがいいの?


お母様なら。

どうしたかしら?

もし私があの悪魔に殺されて母ならどうしたかしら?


そうお父様……。

慈悲深くて温厚な方だったって、グランダリア公爵から聞いたとアレキサンドルさんは言っていたわ。

会った事のないお父様ならどうしたのかしら?


お父様なら?


長い沈黙の後、アンジェリは何か決心したか強烈な光を宿した瞳でヴィルヘルムをまっすぐに見つめて答えた。


「………殿下。

 もしお許しいただけるのでしたら。

 願わくば……私はあの者を裁判にかけ、その判決通りになる事を望みます」


「えっ?

 裁判?」


「アンジェリ!

 それでいいの?

 本当にそれで?」


「ええっ。

 父ならそうしたと思うので」


「…そう…君って…子は…」


「そりゃ今にも消したいですよ。

 でもそれだとあの者と変わらないから。

 お母様もお父様も私に前を向いて歩いて。

 生きてほしいと思っているだろうし。

 いえ。

 そう思っているに違いないですもの」


「偉いねアンジェリ!」


頭を撫でて優しく微笑むヴィルヘルムにアンジェリは少し救われた気がした。 


隣でぎゅっと抱きしめてくれるリライディナに寄り掛かる。


温かなその温もりに本当に癒された。

まるで姉妹の様に愛してくれてどれくらい助けられたかしれない。

夫の隠し子と名乗ったにも関わらず、私を大切に一番に思ってくれたリライディナは本当の姉妹のように接してくれた。


私には彼らがいる。

そして愛すべきフェレの皇民として生きてほしいという両親の遺言と思いに心は定まった。


しばらく沈黙の後、母の頬にキスをしてちいさな手で静かに母の瞼を閉じた。

両手を合わせて安らかにと祈った。


「愛しているわお母様。

 いつまでも。

 愛された。

 だからお母様お父様と見ていて。

 私も幸せに暮らす。

 この愛する国で」


「いいか!

 愚かなヤツ。

 愛とは何か?

 信念とは何か知らない奴!

 お前が壊した世界を私達が再建してみせる!

 絶対にな!!」


ヴィルヘルムが珍しく激しい声で怒りを顕にする。

自分にも言い聞かせるように。


次回ヴィルヘルムとリラいディナのフェレ再建とマリアンネのその後は?

最終回中編へ続きます。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ