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外伝 最終章 皇位奪還【愛と革命に生きるヴィルヘルム大公物語】 決着の時Ⅲ

絶対絶命の戦いの中、フランシスが奥の手を出して危機を乗り切る。

ヴィルヘルム達の戦いは?

戦場に突然の……

「これでも喰らえ〜〜」


フランシスは雄叫びに近い声と手にした球を空へと投げつけた。


それは空に上昇しながら強烈な光を放つ。


ピカッ!


何が起こったのかわからないまま一瞬その場にいた全員が瞼を閉じる。


それでも瞳を閉じていても熱いくらいの熱線を感じる。

時計の針がピタリと止まる様だ。


クリスティア商団の稼ぎ頭太陽オーブといたい名の発光体の炸裂だった。


殺傷力はないがその強烈な光線は視界を完全に奪う。

そうこの時も。


「今だ!突進!」

フランシスはそう言って兵士の懐に入る。


シュ!!シュ!

その音はリズミカルで止まる事をしらない。 


ガシャ!ガシャ!!ガシャガシャ

甲冑の擦れる金属音が耳を裂く。


敵兵達を次々となぎ倒す。


「よっしゃ」


ブンブンブン~~~ブン!!


ヴォルが巨大な棍棒をまるで細い棒のように回転させる。

その風の後にくる敵兵は激しい打撃に崩れ落ちる。

二度と動かない。


「いくぞ」


シュ!シュ!


カキッ~~ カシャカシャ! キ~ン~~~


ヴィルヘルムはまるで突風の如く兵士達の剣をいとも簡単に奪い跳ね飛ばす。


多くの兵士がまるで老木がなぎ倒される様に次々に倒れ砂上に崩れ落ちた。


「負けてらんない」

エメラディーヌも元海賊のキャプテンも剣を止めない。



カキ〜ン!


シュッシュッ!!


ガシャ〜ン


シュッ〜〜!


長身のその剣さばきは無駄な動きがない。

舞といっていい。

軽やかな動きは嬉しそうだ。



シュ!

カシャ!ガシャ!ガシャガシャ!


「いただき」

兵士は血吹雪をたて膝から崩れ落ちた。


その時だ。


ブワァァァブワァァァ〜〜〜ブワァ~~~~~~~~~~~~ンン~~~~~


突然響き渡る音。

雷鳴の様に空に響くのは巨大な打楽器音だ。


その瞬間全ての金属音はピタリととまり、時間も同時に止まったかのようだ。


そうその音は戦場を経験した者なら誰もが知る一時休戦の合図にほかならない。


ざわつく敵兵と唖然とするヴィルヘルム達。

上皇王に至っては狼狽を隠せないでいる。



そんな彼らを前に後方一つの影が逆光の太陽越しに男の影が現れた。

四十くらいの大柄な茶褐色の肌に軍服は将校のものだ。


その男は無機質な表情で懐から丸めた筒を手にし、それを上下に伸ばすと白い歯を見せた。


「グーリューク王国国境警備隊隊長ザーナハルト・ディア・バレストハンと申す。

 我がジェルラド三世国王陛下の伝令により参上。

 王命により伝令をここに代読いたす。

 

 グーリューク王国内にて謀反発生。

 即座に鎮圧国家反逆者の自白によりフェレ皇国上皇王との密約確認した。

 密約に関して我が国 私ジェルラド三世は同意していない。

 よって我が王国は今後フェレ王国の内政に干渉しないとここに宣言する。

 この越境は伝令の為と理解いただきたい。

 わが軍はフェレ皇国からの全軍撤退する。

 今後の交渉については外務大臣より外交交渉を行う事をここに宣言する」


将校は無表情にこの伝令書をリライディナに渡すと大声で叫んだ。


「全軍撤退!」

手綱を引いて踵で馬の腹を一蹴り。


砂を蹴りながら颯爽と退却していった。


黒い影達もドンドンとその場から消えたと思ったら、馬の鳴き声や鉄の擦れる音、蹄の音と砂埃を挙げて去って行く。


さっきまでの殺伐とした戦場は静まり切り、ただ風の音だけが吹いている。

その場にいた者は呆気にとられた。

さっきまで命をかけた戦場だった。


だがそれは唐突に破られる。


「嘘だ!!

 あんなに極秘に進めたのに。

 何故??ジェルラド三世も同意していた

 さ!」

上皇王はしゃがみ込んで頭を抱え悲痛な叫び声に空に放つ。



「甘ちゃんだね。

 誰も泥舟には乗らないさあ~

 というわけだ。

 残念だったな()()


ギャバンが呆れた様に笑うと上皇王の両手を後ろで拘束して跪かし、リライディナの傍へと進んできた。


久しぶりのギャバンは少し穏やかな顔つきでリライディナはほっとした。


「しばらくだねギャバン。

 会えてとても嬉しいぞ」

以前と変わらないニコニコした満面の笑顔でギャバンを見つめた。


ギャバンはリライディナに跪き、喉元を振るさせながらも絞り出すように話始めた。


「リライディナ陛下。

 私の行動で陛下のお命を危険に晒し、誠に申し訳ございませんでした。

 この罪は陛下のお望みのままに。

 どんな裁きでも受け入れます。

 いえ。

 受け入れるなどおこがましい。

 命をも投げ出す所存でございます」


リライディナは嬉しそうにギャバンを抱きしめた。


「何言ってんだ!

 家族と暮らしたらいい。

 幸せだろうか?」


ギャバンは頷いて涙交じりの声で答えた。


「陛下のおかげで幸せです」


「よかった」


リライディアとヴィルヘルムは顔を見合わせる。


「突然友好国からの裏切り?」


「おそらくフェレ皇国内の政治情勢とフェレイデンの祖父が動いたと思います。

 フェレ皇国は政変の為にフェレイデン連合が後見する。

 それでも上皇王派につくなら大戦も辞さないとかね。

 そこまで手を回してくれたんだと…」


リライディナもきっとそうだと思った。

何故ならあの義母の両親だもの。

そう見えない所で支えてくれる。

大切な家族。

さっきまでの生死を分けた戦いが嘘の様に清々しい心の風がリライディナの心を撫でた。


ヴィルヘルムははっと思い出したかのようにディアナの傍に駈け寄った。


「さあ母上を探そう。

 この近くにいるはずだ。」


遂に上皇王との戦いに勝利したヴィルヘルム達。

後はファビエンヌの行方を探すだけだった。親子は再会出来るのか?

ファビエンヌは無事なのか?


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