外伝 最終章 皇位奪還【愛と革命に生きるヴィルヘルム大公物語】ヴィルヘルムとリライディナの愛
クロフォード公爵が戦いから離脱し、ヴィルヘルム達は後を追う。
彼らは皇宮の内部に侵入していった。
「殿下!
姫様を責めるのは止めてもらいますからな!
大体姫様が皇位を得る為の戦い!
姫様が先頭に立ってこそ兵士の士気を高ま
るというもの。
姫様が敵にやられるような訓練はしておらんので。
殿下!
聞いてます??
殿下!」
ヴォルはクロフォード公爵の後を追うヴィルヘルムの背に向かって叫ぶ。
ヴィルヘルムは噴き出しそうに笑いながら、楽しそうに思いもよらない言葉を口にする。
「リラが来るのを待っていたんだ。
あのタイミングで来るとは思わなかったけ
どね。
後方に控えるように言ったは言った。
でも絶対に僕を追いかけると思ったよ。
行動するかどうかはリラしだい。
リラは想定通り皇宮に来た。
君を連れてね。
絶対リラはヴォルが守ってくれると信じて
いるよ。
前まではリラを守るだけが僕の役割だと思っていた。でもそれでは行けないと悟った。
リラは君主として幾多の苦難が待ち受けている。
守られてばかりじゃ。
この国を統治出来ない。
僕は王配として常に皇王の隣に。
苦難を共にしていくべきだと……ね」
初めは僕がリラを守らないとと彼女の気持ちを考えなかった。
リラは守りたかった。自分を必要とする者を命を賭けて。
それこそが彼女の自分の使命だと思っている事を。
どんなに危険でも隣で一緒にいて、苦難や不幸や絶望を共にする事が彼女の望だと遅かったけど知った。
だからこれからは彼女の意思を尊重しようと思ったんだ。
そうそれが僕が隣にいる意味だから。
いたずらっぽい笑いにヴォルは呆気にとられ身体は激しく動いているが、頭中はフリーズしてしまっていた。
まさに一本取られたのだ。
絶対にリラが責められると信じて疑っていないヴォルはなんだか腹がたって仕方ながなくなってくる。
「殿下!
俺を……。おちょくって……ますか!?」
ヴィルヘルムは口元をほころばせ、走りながらリライディナに微笑みかける。
リライディナは心の底から嬉しかった。
そう私はらだ守られるだけの存在ではいけないと思う。
何故なら君主とは臣下を国民を守りぬかないといけない者、そして道しるべというべき存在になる者。
幸せも不幸も、嬉しさも悲しみも、希望も絶望も、慈愛も非情さも全てを。
だから夫となる人には共にいてほしい。
隣で一緒にいてくれる。
ヴィルはそう考えてくれた。
私の夫!!
リライディナはヴィルヘルムの思いに胸がいっぱいになる。
まさにこうありたいと願う夫婦の絆だと。
嬉しそうなリライディナの顔にヴォルは何も言えない。
ヴォルは不敬だとは思いつつ、ある種の生意気な皇子に一発殴りたいと心の底から漲ってこみ上げてくる衝動を必死で無理やり押さえつける。
絶対姫様が好きじゃなかったら!!
絶対に決闘を申し込む。
なんなら暗殺する。
殿下!!
ヴォルは納得出来ないとリライディナへ目線をやるとにこやかに微笑んでヴェルヘルムを見ているのがわかった。何を言っても無駄と不服そうに黙り込む。
はいはい姫様。
殴っちゃだめなんですね……。
そんな複雑なヴォルの背中腰で突然ディアナが叫び始める。
「クロフォード公爵の行き先はわかる!!」
そう発煙筒を投げつけた後、姿を見失ったものの地下から上がる経路は一本だったので、皆後を追いかけているところだった。
「なんでわかるんです?ディアナ?」
フランシスは目を丸くして尋ねた。
皇宮を知らないディアナがなぜ知っているのか疑問に思ったのだ。
「実は私は上皇王に母を人質にされていたの。
皇宮からスパイとして送り込まれてた。
最後に殿下達を罠にかけて…妃殿下共に暗殺するようって……。
ご…めんなさい……」
ヴィルヘルムは驚きもせずに走る速度を抑えディアナの近くへ寄ってきた。
その顔には怒りや軽蔑、殺意は感じない。
感じないどころかそんな事かと言わんばかりの表情でにこやかに微笑んでいる。
「でも殺さなかったろう。
実はアンリエットの恋人を助けてた後、彼女から君を助けてほしいと頼まれて。
大体の事情は聴いていたんだよ。
まあ~聞いていなくても僕達を殺すなんて君に出来るはずない。
大丈夫。
必ず君の母上ファビエンヌは僕が!
僕達が救うよ」
柔らかなディアナの髪を撫でたかと思ったらすっと当然の様な表情をして頭へと走っていく。
あぁぁ~~。
嬉しさと後悔、そして優しさと温かさに身体はほっこりしていくのをディアナを包み込んだ。
母達と離れて初めて味わうその気恥ずかしいまでのポカポカと湧いてくる温かい風を冷えた身体を。
そして勝手に涙が流れてくる。
悲しみや孤独からではない。
安堵感と始終緊張を強いられたその開放のせいだった。
強くヴォルの首に肩をぎゅと握りしめた。
「……皇王はこの状況だと後宮の奥深く最地下の龍のゆりかごに行くはずだよ。
一気に勝負をかける気だ」
ディアナは皇宮に潜伏中に知りえた情報を伝える。
「龍のゆりかご?」
ヴィルヘルムは初めて聞くその名を不思議そうに口ずさむ。
「えぇ。
伝説の生き物と言われ、ディア神の地上に降りる際の乗り物だった。
ディア神が地上に二度と降りないと知った龍は悲しみのあまり現在のフェレ皇宮の地下に眠ってしまったとある昔話の?
でも詳しい場所はわからないはず。
皇宮の後宮の地下としか」
リライディナは昔乳母が話していた龍の伝説の話だと口にする。
「なら大丈夫だ。
クロフォード公爵に浮遊石の粉を少量投げつけてやった。
浮遊石には所在探知機能をもたせているから。
俺の受信機で位置を細かく算出出来るよ!」
フランシスは得意げに満面の笑顔で告げる。
「流石だな。フランシス」
ヴィルヘルムは感心しながら言った。
皆疲れも知らず一気に爆走する。
次に待つのは激しい戦いだとわかってはいても止める事など出来ない。
皆息が切れるのを忘れるくらい風の様に走り抜ける。
ヴィルヘルムとリライディナの夫婦の愛は共に苦難も危険も幸せも喜びも共にある事だった。
次話それぞれの愛を語る話。
知らされていない過去や想いを綴る物語Ⅲ話
そこからクライマックスに向けて突入します。




