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【書籍化・コミカライズ化】元稀代の悪役王女ですが、二度目の人生では私を殺した5人の夫とは関わらずに生き残りたいと思います  作者: 景華


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書籍配信記念SS『俺が何度でも Sideセイシス』

 その日、俺は朝からリザ王女の命で、城内の倉庫をいくつか回っていた。

 古い書類の束だの、何に使うのかわからない調度品だのを確認し、ようやく目的の品の目星をつけて執務室へ戻る。


「失礼します、リザ王──は?」

 扉を開けた瞬間、空気がおかしいとわかった。

「――セ、セイシス様っ!!」

 俺の代わりに護衛を任せていた侍女が、真っ青な顔で駆け寄ってくる。

「どうした」

「リ、リザ王女が……リザ王女がいなくなったんです!!」

 一瞬、音が消えたような気がした。

 いなくなった? ついさっきまでここで書類とにらめっこしてたあいつが?


「お茶を淹れに少し席を外して、戻ったら……もう、どこにも……っ!!」

 取り乱す侍女の声を聞きながら、胸の奥に、言葉にできない不安がふっと浮かぶ。


 ──もし、このままどこかへ消えてしまったら……。

 もし、あいつが《《この人生から》》いなくなってしまったら……。

 なぜそんな考えがよぎったのか、自分でもわからない。

 理由のない、漠然とした不安。

 だが、それは本当に一瞬だった。


「……大丈夫だ」

 俺はそう言って、静かに息を吐く。

「リザ王女の居場所なら、予想がつく」

「え……?」

 驚く侍女を残し、俺は執務室を後にした。



 寒い冬期。朝から雪。となれば、考えつくのはあそこしかない。


 たどり着いたのは城の裏手、普段はあまり人の寄りつかない庭。

 庭といっても、そこは他と違って花が植えられ綺麗にデザインされているような場所ではない。

 ただの城の裏の、小さなスペース。

 だけと昔からのリザのお気に入りの場所。

 そこには真っ白な雪が音もなく降り積もり、世界を静かに覆っている。

 その中央で──。


「……いた」


 コートも羽織らず、白い息を吐きながら、しゃがみ込んで雪を丸めている女性がいた。

 振り返ったリザは、俺を見るなり目を細める。

「あら。少し疲れたから逃げてきたのに、もう見つかっちゃった?」

 そのいたずらっぽい声に、胸の奥の緊張がほどける。

「何年一緒にいると思ってるんだ?」

 俺は肩をすくめて笑ってみせる。

「お前の行きそうな場所なんて、お見通しだ馬鹿。ていうか、昔と変わらないとか子どものまんまか」

「失礼ね!! 王配とはいえ処すわよ!!」

 そんなことを言いながらも、リザはどこか楽しそうだ。


「……はぁ、でもしかたないわね。帰ってまた執務に励みますか」

 小さくため息をついてから、苦笑いをしてリザが立ち上がる。

 最近はずっと執務室にこもりっきりで書類とにらめっこをしていたからな。

 顔には出さないが、相当溜まってたんだろう。

 そう考えてから、俺は彼女の手を掴んでいった。


「いや。……もう少しだけ、ここにいたらいい」

「へ?」

 足元の雪を軽く蹴りながら、俺は口角を上げる。


「雪だるま一体作ったら、休憩終了だ。でっかいやつ。昔みたいにな」

 俺がそう言うと、リザはきょとんとして阿保みたいな表情を浮かべて俺を見上げた。


「……覚えてたの?」

「忘れるかよ」

 あの頃も、こうして雪の中で時間を忘れて遊んだんだ。

 肩書きも、責任も、全部置き去りにして。


「……ふふ。じゃあ、とびっきり大きいの、作っちゃいましょ」

 嬉しそうにそう笑ってからまた雪を丸め始めるリザを見て、俺もしゃがみ込む。


 ──少しくらい、こんな時間があってもいい。

 また逃げ出したくなったら逃げたらいい。

 その度に俺が、すぐ見つけてやるから。


 白い庭に、二人分の足跡が増えていった。



END

本日、こちらの作品の書籍化版『真実の愛は、あなただけ ~元稀代の悪役王女ですが、二度目の人生は護衛騎士に一途な愛で迫られています~』が配信開始されました!!

イラストはあの刀剣乱舞のキャラデザをされている浅島ヨシユキ先生です!!


配信開始を記念して、SSを書かせていただきました!!


Web版とはかなり違って加筆もたくさんしております!!

特に書き下ろしたその後の話はもう本当、破天荒リザ王女ならではのシーンなので、とても気に入っておりますし、多幸感あふれる終わりになっております!!


皆様、ご購入よろしくお願いいたします!!

楽しんでいただけたら嬉しいです!!


そしてこちら、コミカライズも決定し、現在進行中です!!

えー……小説版とかなーり変えてます笑

なんなら黒幕も違う予定になってます笑

お楽しみに!!


景華


以下からご購入いただけます↓


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