炬燵
眠ってしまいます。
炬燵は檻だ
金網の奥に 赤く あたたかな光を閉じこめるが
我々がいくら脚をのばしても
その光に触れることはできない
それだけでは飽き足らず
金網に閉じこめた 赤く あたたかな光が
我々の目に触れないように
台のうえにのせて 晒すではなく
台のしたに籠のように吊るしさげて
さらに その台にも布を覆い 被せて隠す
だが 赤く あたたかい光を憐れむというのなら
そのまえに いまの我々のすがたを見るがいい
とどきもしない光に脚をのばして
いざ 席を発とうというときにさえ
そのあたたかさから 離れ難く
腰をあげるのを躊躇うなんて
これでは どちらが囚われの身かわかるまい
炬燵は 金網の内と外 両方に虜をもつ
珍しくも 奇っ怪な檻だ
出られないというより、起きられない。