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しらす転生  作者: くろごきぶり
1/1

しらすになってしまった。

初投稿です

どんどん体が冷たくなっているのが分かる。


自らの恒常性(ホメオスタシス)が崩れ、深い微睡みの中へと心が誘われていく。


まるで深い水底に沈むかのように意識が薄れていく。


これほどまでに死を意識したのは今日が始めてだ…。


死とはこれほどまでに苦しいものなのか。


意識が遠のいていく……


私の人生はここで27年間の幕を閉じた。




------------------------



んん…

あれ、何故か意識がある。…目も見えている?

しかし、見渡す限り青だ、真っ青だが何処か透明度のある…

…水の中?


脳の処理が追いつかない、私は確かにあの時通り魔に刺され、命を落とした筈だ。

死後の世界だろうか…?

妙にハッキリとした意識、そして体に妙な違和感がある。


…手がない?


足の感覚も無い、下半身は動くのだが2つに別れて動かず、ずっと同時に動いている。

ここが水の中だとして、手がなく足のような箇所は別れて動かない。

何となく分かってきた…つまり…これは…魚?


水の中で呼吸も出来ているし、何も無い青だと思っていたが所々半透明のゴミのようなものが浮かんでいる。


妙な実感が浮かぶ、そして昔からこの体だったかのように動きが追いついてくる。


魚になってしまったのか…。


取り敢えずなんの魚になったのかを知る必要がある。私は体をくねらせ、自身の尾部を見てみる。

とても平たい…それに半透明だ。

これ…所謂レプトケファルスという奴では無いだろうか…。


鰻等の稚魚の名前で、通称体長は3cm程度のものが多い。非常にか弱い存在だ。


不味いな、これは転生してすぐ死ぬかもしれない。しかしレプトケファルスにも様々な種類があり、全長1.8mもあるものもいる。

何か自身の状態と存在を確かめるものが欲しいな…。


……うぉっ!?

突然として半透明の板が目の前に現れた。何か文字が書いてある。


--------------------

名称:なし

種族:シラス(レプトケファルス)

Lv1

HP:1

MP:1

筋力:0.4

体力:0.3

速度:0.6

精神:23

知能:31

体長:4.8mm

技能(スキル):アシスト/鑑定

祝福(ギフト):海の導き

称号(タイトル):転生者(リインカーネート)

---------------------


えぇ…


まず体長4.8mmって何や。レプトケファルスにしても小さ過ぎるやろ。

種族もシラスって何、シラスって魚の幼体の名称なのになんでそれが種族になってるんだ。


---------------------

シラス:海の中で最もひ弱な存在。しかし海を支配する力を同時に持ち合わせる。

---------------------


…突然説明が目の前の半透明の板に現れた。

これ、もしかしたらスキルの説明とかも現れてくれるのだろうか?

とりあえず、『アシスト』の説明を念じてみる。


---------------------

アシスト:ステータスの表示、Lvアップの報告を行う。

---------------------


…ふむ。よく分からないが取り敢えずこの半透明の板…ステータスはこのスキルが表示させているようだ。鑑定というのはなんだろう?


---------------------

鑑定:使用した場合、対峙した魔物のステータス情報を脳内に投影させる。

---------------------


なるほど、例えば他のシラスが居たらそれの情報を移せるというわけか、

この調子で他のスキルも見ていこう…。




ざっとスキルとギフトのタイトルの見た感じの概要はこんな感じだ。

海の導き:海の中に居る時、ステータスを20%上昇させる。又、Lvアップがしやすくなる

転生者(リインカーネート):異世界から来たもの。運命力を上昇させる。


運命力というのはよく分からないが、あって困るものでも無さそうだし、海の導きもとても優秀だ。

これなら何とか生き残れる気がしてきた…。


流石に腹が減ったな…。

やはり食事を探さなければならないようだ。


数分の間海の中を泳いでいると…ふよふよと浮かぶ緑色の何かを発見した。…植物プランクトンかなにかだろうか?取り敢えず『鑑定』を使ってみる。


『名称:なし

種族:円盤珪藻(ソーサーディアトン)

Lv:1

HP:0.001

MP:0

筋力:0

体力:0

速度:0

精神:0

知能:0

体長:1.3mm

技能(スキル):なし

祝福(ギフト):なし

称号(タイトル):なし』


ステータスの板と違って脳内に情報が流れ込んでくる感じだな。

それにしても弱い…能力値の全てが0って本当に生きているのだろうか。

しかし植物だから当たり前といえば当たり前だ。なぜ植物にも鑑定が使えるのかは疑問だがとりあえずはよしとしよう。


あれ、食えるのかな…毒とかは無さそうだし、食べてみよう。

ぱくっ…あ、割と美味しいかもしれない。キャベツ見たいな味がする。あと自分にもちゃんと味覚があったようでそれも嬉しい。


『レベルが上昇しました。Lv1→2』


頭に声が響く。あれだけでレベルアップするのか…案外チョロいかもしれない。

しかし周囲は敵だらけ。幸いまだでかい魚とかには出会って無いが、いつ死ぬかはわからない。細心の注意を払わなければな…。



ふらふらと食事を探して数十分…明らかにやばいのが目の前にいる。

それの体は半透明で体はエビのようではあるが、頭に不釣り合いな程に大きい大顎がついている。

ひぇぇ…とりあえず鑑定してみよう。


『名称:なし

種族:大牙の(ビックファング)剣微塵子(コペポーダ)

Lv:2

HP:0.8

MP:0.5

筋力:0.7

体力:0.4

速度:0.3

精神:0.1

知能:0.0003

体長:3.2mm

技能(スキル):捕食I

祝福(ギフト):なし

称号(タイトル):なし』


強い…と言っても私と同じくらいか…。

戦ってみるか…?


…ここで引いたらこの先待ち構えるだろう強敵から逃げ続けるばかりだ、幸いあちらはこっちに気づいていない、チャンスだ。

もし死んでしまったら私の魚生はその程度だったということだ。


この体に慣れる意味でも、覚悟を決めなければならないようだ。




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