夜の公園
夜の公園。
大事なところを隠す小さな白い布をこの手ではがすと、ふんわりとした産毛と濡れたピンクの花弁があらわれた。
ああ、なんて……なんていやらしいのだろう。
彼女の秘部は、わずかに口を開けて僕をまっていたのだ。
産毛をなでる。
「毛、生えてる」
「いじわる。そんなに見ないで。剃ってないから…」
「かわいいよ」僕は、そっとキスをした。
先週、ファーストキスをすました僕たち。マスクを外した彼女を見て、彼女が石原さとみと似ても似つかぬことに気付いた僕は、この先うまくやっていけるのか、正直自信がなかった。僕は、そんな自分が嫌で、それまでと変わらぬ態度を貫いた。
「かわいいね」と心にもないことを、それまでと変わらずいい続けた。すると不思議なことに、だんだん彼女がかわいく見えてきたのだ。
口づけをかわしたことで、色っぽくなったのか。僕の前でマスクを外したことが自信につながったのか。
不格好に見えた彼女の分厚い唇は、見ようによっては石原さとみにも見える。彼女の唇の感触を思い出すたびに、またあのワクワクドキドキした体験をしたいと思った。そして、そのあとは、……。
佐藤健に似ていると噂されている僕は、マスクを外したら別人なのだが、まだ彼女にはその姿を見せていない。見せて、嫌われたらどうしようという思いが募っていた。そう思うこと自体、すでに彼女にぞっこんなのかもしれない。素顔をさらして嫌われる前に、彼女の処女を奪っておかなければいけないとさえ、思うようになった。
肉厚のピンクの花弁は、弾力があり、ぷっくりとし、つやつやしている。
僕のために、こんなに色っぽくなって、僕がくるを待っていたんだね。
唇で弄んだあと、鑑賞する。
恥ずかしそうに目をつぶっている彼女に「入れていい?」とぼくはささやく。
「うん」うなづく彼女。
僕の下半分が緊張する。
僕はマスクを外し、愛おしい彼女の上唇を美味しいものを食べるかのようにして口に入れ、その下に舌をすべりこませた。
やったー、入れたぞ。
ディープキス初体験だった。
僕はまだ、僕の顔の下半分を見せるわけにはいかない。
キスを終えると、すぐにマスクを付けた。
僕と会うためにピンクのリップを付けてきた彼女を思うと愛しいと思えた。
鼻の下の処理されてない産毛さえかわいい。
今日はこれで十分だ。