青の情
流行り病のニュースが
天気予報のようになり、
薄く広がる雲のことなど、
どうでもよくなってきた。
今日も朝から仕事に行った。
駅でおとなしくその雲を見て、
恐る恐る、風を吸い込んだ。
雲まで吸い込んだらしい。
雲間に、青の空を見つけた。
訴えかけるような青の空だった。
明るめのその青には、
気づかぬ感情があると思った。
目に見えているものだけが、
全てじゃないと、気づけても、
目に見えるものにある情には、
気づけないでいる。
空の情、青の情、光の情、
どれも、ある。きっとある。
それらが、人に気づいてくれと、
時々、流行病を起こすのか。
どこかの町の空が、
美しくなっているという。
皆が病んでゆくことは辛いが、
つまりは、そういうことだ。




