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二人の想い

逃げられた。

なんで俺から逃げるんだ。

おかしいじゃないか。

薫は俺の事を好きなはずなのに。逃げるわけがないのに。

確実にこのプロポーズは成功すると、そう確信していたのに。

俺の何がいけないっていうんだ。俺が何を間違えたって言うんだ。

「教えてくれよ。薫。」

押し入れを開けると微笑む薫がこんなにもたくさんいる。

そうだ。いつだってこの笑顔は俺だけのもの。

俺にしか向けられていないものなはずなんだ。

「きっと混乱して変なこと言っちゃったんだよな」

わかるよ薫。

俺はいつまでも待ってるから。

薫がちゃんと落ち着いたらきちんと答えを返してくれればいい。

それまで俺は待ち続ける。

そうだ。男は女を包み込むほど寛大じゃないといけないんだ。

じゃないと嫌われてしまう。

薫が俺を愛してくれるように、もっともっと好きになってくれるように。

俺は誰よりも優しくあるんだ。

その方が薫も嬉しいだろう。

「薫が俺の事もっともっと好きになってくれたら俺はうれしすぎて死んでしまうかもしれない」

想像しただけでも昇天しそうな気持ちだ。

「薫、愛してるよ。愛してる。俺だけのものなんだ。」

そうだろう??薫。




何事もなく家に辿り着くことが出来た。

それだけで私は幸せを感じてしまうほどになってしまっていた。

しかし一体いつ、どこから私の事を盗撮していたのか。

ただ恐怖だ。

そして一つの疑念が生まれる。

まさか、盗聴器は仕掛けていないよね…

嫌な汗が頬を伝った。

テレビでよく見るようなコンセントに刺さっている盗聴器を想像してゾッとする。

一応念のため。いやでもまさか…

そんなことを思いながら部屋中のコンセントを見て回った。

「嘘でしょ…」

嫌な予感ほどよく当たる。

全てのコンセントに盗聴器が仕掛けられていた。

これは証拠になる。警察に行くべきかもしれない。

これならさすがに取り合ってくれるかもしれない。

けれどそうしたら母が心配してしまう。

どうすればいいのか。どうするべきなのか。

私は一人でこんなにも思い問題を解決しなければいけないのか。

けれど元はと言えば私があの時脅しに屈しなければ…

まだ戦える。大丈夫。

まだ一人でもやっていける。

本当にダメになってしまったら警察に行こう。

それまでは今まで通り、母を困らせるわけにはいかないんだから。

盗聴器があることは分かった。

どうせ一人なんだから下手なことはしゃべらない。

帰ってきた時間とか出かける時間もバラバラにしなければ。

それからなるべくリビングに居たり。

生活習慣を変えるべきだ。

相手に読まれてしまっては終わりだ。

なんとしてでも彼に勝ってやるんだ。


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