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1話 辺境開拓をすることになりました

突発的な新連載第二弾です。

初日は3話投稿予定なので、おまちください。

 こんにちは。

 ナイン・イルメリアです。


 15歳。

 ロングヘアー。

 色はプラチナブロンド。


 自分でいうのもなんだけど、美少女です。

 えっへん。


 そんな私は貴族の家の娘。

 本来ならドレスを着てパーティーなどに出るのですが……

 どうも、私は両親に見放されてしまったみたいです。


 というのも、私は習い事や華やかなパーティーなどには興味がありません。

 まったくありません。

 小指の爪の欠片ほどもありません。


 私が興味を持つのはただ一つ。

 錬金術です。


 色々な素材を調合して、まったく新しいものを作り出す。

 とてもすばらしい技術だと思いませんか?

 子供の頃、錬金術師が魔法のように物を作り出すところを見た私は、一目で魅了されてしまいました。


 錬金術師に魅了されたわけじゃありませんよ?

 錬金術に、ですからね?

 そこのところ、勘違いしないでほしいです。

 よろしくおねがいします。


 で……


 以来、私は錬金術の勉強を続けてきました。

 寝る間も惜しんで勉強をして……

 今では一人前の錬金術師に!


 うれしいです。

 やったー!


 でもでも、両親はそれが気に入らなかったみたいです。

 まあ、当然ですよね。

 貴族の娘が錬金術にうつつを抜かしていたら、そりゃあ、頭を抱えたくなるっていうものです。

 ご愁傷さまです。


 あっ、私のせいでしたね。


 それはともかく。

 錬金術に没頭する私を見かねて、両親は一つの課題を突きつけてきました。


 辺境の開拓。


 貴族らしいことをさせることで、貴族としての自覚を促そうと思ったのでしょう。

 私は反対しませんでした。

 むしろ、内心では喜びました。


 だって、これで口うるさい両親から離れることができて、思う存分、錬金術の勉強ができるでしょう?

 ある程度の調合ができるようになり、一人前になったとはいえ、錬金術を極めたとはいえません。

 錬金術の道は長く険しく果てしないのです。

 もっともっと錬金術の勉強がしたいです。


 なので、辺境の開拓は望むところでした。

 望むところでしたが……


「これは、なんというか……ひどいですね」


 馬車に揺られること一週間。

 たどり着いた辺境は……廃村といってもいいような場所でした。


 朽ち果てた家屋が並んでいます。

 壁や天井に穴が空いているなんて当たり前。

 中には倒壊一歩手前という有様の家まで。


 雑草や蔓は伸び放題です。

 道が埋もれてしまい……

 どこからどこまでが村なのか区別がつきません。


 辺境というよりは廃村ですよね、ここ。

 本当にこんなところの開拓を?


 お父さんとお母さん、呆れたような顔をしていましたが……

 こんなところを娘に任せるなんて、内心では激怒していたんでしょうか?


「えっと……とりあえず、村長さんに挨拶をしないといけませんね。すみませーん」


 ……


「返事がありませんね」


 あれ?

 私、無視されているんでしょうか?

 外の人には厳しいところなんでしょうか?


「すいませーん!」


 もう一度、さっきよりも強めに呼びかけてみます。


「……なに?」


 女の人が出てきました。

 歳は……私より少し上?

 赤い髪が特徴的です。


 服はボロボロで、頬は痩けています。

 ちゃんと食べているんでしょうか?

 初対面なのにそんな心配をしてしまいます。


「あのー、ちょっとお尋ねしたいんですけど、この村の村長さんはどこに?」

「……いないわよ」

「え、いないんですか?」

「流行り病にかかって、とっくの昔に死んだわ」

「あー……それは」


 反応に困ります。


「では、村長代理の方はどこに?」

「いないわ。他の大人もみんな倒れて……あるいは村を捨てたわ」


 ものすごく反応に困ります。


「あんたは?」

「あっ、自己紹介が遅れました。私、ナイン・イルメリアといいます。この村の開拓を任されました」

「開拓……? ……はっ」


 鼻で笑われました!?


「こんなになるまでほったらかしにして……今更開拓って、なんの冗談かしら?」

「放っておかれたんですか?」

「観光地でもないし、特産品もない。作物は育たない不毛の地だし、近くには魔物がたくさん。おまけに、街まで馬車で一週間。そんな村なんて、上の人はどうでもいいんだろうね。管理者があちこちにたらい回しされた、って聞いているよ」

「それは……」


 この人が怒っている理由がわかる気がしました。

 私もそんな状況に置かれたら怒ります。


「で……あんたが次の管理者?」

「えっと……はい。そういうことになりますね」

「そう。まあ、好きにやってちょうだい。どうせ……もうすぐ、誰もいなくなるけどね」

「え? どういう意味ですか?」

「ここに残ってるのは、私と妹だけなのよ。大人たちは死ぬか逃げるかして、ゼロ。残されたあたしたちは死ぬしかないわ。あたしも……ごほっ、ごほっ。風邪を引いちゃったから、もうダメかもね……こんなところだから医者なんていないし、風邪でも悪化したら動けなくなって……そのままさようなら、っていうわけ」

「そういうことなら、私が薬を作りますね!」

「えっ?」

「ちょっと待っててください」


 私は背負っていたリュックを地面に下ろした。

 中に入っているのは、小型の錬金釜と錬金棒。


「なによ、それ?」

「私、錬金術師なんです!」

「錬金……?」

「見ていてくださいね。この中に滋養強壮のある薬草と水を入れて……」


 念のために薬草と水を持ち歩いていてよかったです。

 二つを錬金釜に入れて、最後に、色々な素材を一つにまとめる役割を果たす調合薬を。


 そして……


 錬金棒でぐーるぐーる。


「できました!」


 錬金釜が輝いて……

 小瓶に収められた薬ができあがる。


「え? え? なんで小瓶が……」


 突然のことに、女の人は目を白黒させて驚いていました。


「これが錬金術の力です! さあ、薬を飲んでください」

「……今の怪しい行為でできたコレを飲むの?」

「怪しい行為じゃありませんよ。錬金術です! 色々な材料を組み合わせて、まったく新しいものを作る……それが錬金術です!」

「はあ……まあいいわ。どうせ死ぬんだから、毒だろうとなんだろうと……」


 女の人は薬を飲みました。


 その効果はすぐに現れます。

 咳が止まり、土気色だった顔が輝いてきました。


「こ、これは……!? うそ、ホントに風邪が治った……? 風邪の特効薬なんて開発されていないのに……それどころか、一瞬で治るなんて……す、すごい!」

「ふふーんっ、これが錬金術の力ですよ!」


 また一人、錬金術のすばらしさを広めることができました。

 うれしくなり、ニヤニヤとしてしまいます。


「もしかして、あなたなら……お願いっ」


 女の人は私の手を掴み、必死な目を向けてきました。


「私の妹を助けて!」

「おもしろい」「続きが気になる」等、思っていただけたら、

感想、評価、ブックマークをしていただけるとうれしいです。

とても喜びます。

よろしくおねがいします。

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