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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

鬼になったんだがこれからどうしよう?

作者: oziisan
掲載日:2016/05/09

さらっと読んでさらっと忘れよう?

 目が覚めて気が付いた時には鬼になってた。

 いや、それは正確じゃねぇな…正確に言うならゴブリンになってた。


 ゴブリンだった時の記憶が一番古いんだが、その記憶が一番思い出しずらい。

 俺の意識はあるんだが…なんというか常に頭に靄が掛かっててまともに思考できなかったんだ。

 ゴブリンとして生まれてすぐは『俺』という意識すらなかった気がする。だからこそ記憶も曖昧なんだと思う。


 生まれてすぐ俺は俺を生んだであろうモノを食った。いや、モノなんて誤魔化しはやめよう。そう、人を食った。恐らくゴブリンに囚われて苗床になってしまったんだろう、人間の女から数匹のゴブリンと同じように俺は腹を裂いて生まれた。

 生まれてすぐはその女も生きていたが既に目に生気はなかったし、精神も壊れてたんだと思う。それが唯一の救いかもしれんな…


 元々人間だった記憶を有している俺が腹が膨れて少しでも正気を取り戻して人間だったモノを見て、精神を病んだりしなかったのは女が既に壊れていたからか、それとも俺が既に人間としての心を失っていたからなのかは分からない。

 ただ一つ気になるのは虚ろな目でどこも見ていなかった女が最期に俺に焦点を合わせ俺を見ていたことだろうか?その後すぐに女は死んだし、俺は女を食ったし、最期に俺を見たからなんだというのかと聞かれたら、何でもないと言わざるを得ないんだが…何となく気になったのだから仕方がない。


 とはいえ頭に靄が掛かり思考が定まらない状態ではそれ以上ものを考えることなどできなかったし、俺と同じ母体から生まれた兄弟や他の母体から生まれた奴らがすぐさま行動を開始し始めたのを見て俺もそいつらに付いて行った。


 確か数十匹はいたんじゃないかな?大人…といっていいのかわからんが、とにかく成体のゴブリンはいなかったな。

 生まれたばかりのゴブリン共が群れを成して歩いていく。よくファンタジー小説では村を作っていたり、洞窟で群れを作ってたりしたが、この世界のゴブリンは知能がとても低いようで孕ませた母体はその辺の巨木の洞とか浅い洞窟に放置して、成体はまたどこぞへと旅立つみたいだった。


 そんな成体のゴブリンに放置された俺たち幼生体は他の生き物達が争い食べ残した死肉やその辺のキノコや木の実を食べる。

 死肉が腐ってようがキノコや木の実に毒があろうが食べる。悪食なんてもんじゃない。それこそ多少栄養があれば何でも食べるんだ。

 毒に負けたり他の魔物にやられた同族(エサ)さえも貪り食った。俺も毒に何度も中ったし、毒でのたうち回ってる俺を見て涎を垂らしてる奴なんかもいたな。


 何かを食べるたびに俺たちゴブリンは力を付けるみたいで、生き残ったゴブリン達はそれなりに大きくなってた。

 成体のゴブリンを見たことなかったからその時はよく分かってなかったけど、後から考えたらゴブリンにしてはかなりでかくなってたな。


 どれだけ時間が経ったのか、何日経ったのか?何故眠ったりしないのか?そんなことは全く分からないが、徐々に数を減らしながらもどんどん強くなっていった。


 だが、所詮はゴブリン…どれだけ強くなろうが上位種族には勝てない。

 俺たちは森を歩いている時にオークに襲われた。相手の数はそれほど多くなかったが、奇襲を受ける形になってしまい苦戦させられた。

 俺の血のつながった兄弟にも死者がでたし、俺たち兄弟以外には生き残りはいなかった。

 生き残った俺たちはゴブリンの死体もオークの死体も分け隔てなく全てを食った。骨もその辺の木にぶつけて骨の髄までしゃぶり尽した。


 いつもならすぐさま歩き出すんだが、その時は俺を含めて誰も立ち上がらなかった。

 力がでないとかそういうことではなくてむしろ逆、あふれ出る力のせいで立ち上がれなかった。

 少しずつ体が作り変えられていくのが分かった、頭の靄が少し晴れるのも分かった。


 全てが終わった後、俺たち兄弟はオークになってた。

 今までの貧弱すぎるゴブリンではなくゴブリンよりも屈強な体のオークに…

 そん時の俺の心情?最悪だったね。確かに力は強くなってたし、背も高くなってた。今までできなかったことができるようにもなってた。でも、それとこれとは別さ!力が強くなった代わりに多少敏捷性に欠ける体になってた。

 そうだよ?ぶよぶよの腹が出た豚頭の化け物になったんだ、人間だった記憶の有る俺が喜ぶわけないじゃないか。頭に靄が掛かってまともな思考ができなかったとしても、醜い化け物になって喜べるほど、人間捨ててなかったんだよ。例え母体だった人間の女を食ってたり兄弟だったゴブリンの死体を食ったって、それは焦燥感に似た強迫観念のような生きたいという感情から来るものだったから…


 まぁ、そうは言ってもなってしまったものはしょうがないし、強くなったことは確かなのだから俺たちはまた歩き出したよ。

 ゴブリンだった時は襲ってくる獣に被害を出したりもしてたんだけど、オークになった俺たちは怪我をすることもなくその辺の木の棒をこん棒替わりにしてどんどん進んで、どんどん食べて、どんどん強くなっていった。


 それでもやっぱり上位種族は危険なんだよね…オーガを見つけた俺たちはそいつを狩ろうとしたんだけど、手痛い反撃を喰らったんだ。さすがはオークの上位…5匹いた兄弟達が2匹にまで減らされた。

 残った俺ともう2匹も傷が深かったんだけど、争うようにオーガと兄弟の亡骸を食った。

 食った後は案の定というか、やっぱり立ち上がることは無く、成長…と言うよりも進化、と言った方が適切なのかな?俺たちはオーガに進化した。


 オーガになったばかりの弱い個体の俺たちでさえ3mを超す巨体で尋常じゃないほどの再生能力があった。

 深い傷で治療しなければこのままじゃ死んでしまうところだった俺たち兄弟は、その再生能力のおかげで生き延びることができたんだ。


 傷が癒えた俺たちはすぐさま行動を開始した。だけど今までの様には行かなかった。

 オーガになったせいなのか、それとも別の要因があるのかその時にはわからなかったけど、残った兄弟の2匹が度々喧嘩するようになってしまった。

 2匹は俺が嗜めるとすぐに喧嘩をやめるんだ、でもどうしても喧嘩を無くすことはできなかったし、何故俺には喧嘩を吹っかけてこないのか?何故俺の仲裁で喧嘩をやめるのか?その時の俺は知る由もなかったし、できれば知りたくなかった。


 喧嘩をしつつも2匹は俺に自分の分の餌を分け与えてくるようになった以外は狩りや自身の強化は順調だった。

 辺りに俺たちに勝てる奴はいなかった。オーガは群れて行動しないのか、常に1匹だけだったので俺たちと同じオーガやオーク、ゴブリンに魔物ではない普通の狼、猪や鹿、他にもなんだか黒い靄を纏ってる6本脚の狼など、色々な奴らを狩っては全てを…骨も残さず食べ続けた。


 2匹よりも沢山食べた俺は兄弟よりも先に進化した。

 進化した後のことははっきり言って思い出したくない。そう、思い出したくないんだ。思い出せないんじゃなくてな?

 オーガの進化先は妖鬼(ようき)っていう、種族だった。なんで思い出したくないのかって?もう察しは付いてるんじゃないか?そうだよ、俺はメスだったんだ。自分でもびっくりだけどな?


 進化した俺は当然だけど進化前よりは強くなってた。だけど身長とかあとは体重もそうだし、腕の太さとかも細くなってたな。

 俺が進化したのを見届けた兄弟2匹はまた殴り合いを始めた。俺はいつも通り止めようとしたんだけど、止まらなかったね。たぶんこれまでのは予行演習みたいなもんで今回のはガチの殺し合いというか、メス(俺)を掛けた奪い合いだったんだと思うよ。


 実力は拮抗しててね、どれだけ殴りあってたのか分からないけど、随分長い間やりあってた気がするよ。

 その時の俺?やりあってる兄弟を止めたいのは山々だけど止まる気配ないし、俺はメスになってるしで、茫然としてたね。そりゃそうでしょ?自分がメスで、それを掛けてオスが殺しあってんだよ?兄弟で、しかも景品の俺も妹か姉だし。


 俺に取っては運がよかったのかな?もしくは悪かったのかも?分かんないけどたぶんよかったんじゃないかな?今の俺を考えるかぎりは…

 なにがって?襲ってきたんだよ。オーガよりも強い奴が。妖鬼じゃないよ?ドラゴン…かな?見たのはそれが初めてだったし、それ以降見てないから正確なところはわからないんだけど。たぶんドラゴンだね。


 この辺の最強のオーガが2匹ドッカンドッカンやりあってんだからそりゃでかい音がでるよね?それに釣られたんじゃないかな?俺は無傷だったんだけど2匹は疲労困憊だし、勝てたのはまさに奇跡だったね。


 ただ、やっぱり犠牲はでたよ。2匹ね。妖鬼になってからは随分靄も晴れて『俺』としての自我が大分強くなってたから、疲労してる兄弟を守るために率先してドラゴンの前に立ったんだけど、俺1匹だけじゃ叶うはずもなくてね…多少ダメージを与えるだけで終わったよ。


 うん?2匹の中に俺が入ってるのかって?入ってるわけないじゃん、そこで俺が死んでたら誰があんたにこれを聞かせてんだよって話だ。そうだよ、兄弟が死んだんだ。俺を守ってね…


 俺が矢面に立ったおかげか多少の時間稼ぎはできたんだと思うよ。その時にはもう目に見える傷はなかったしね。ただ、それでもドラゴンは強かったよ。殺しあってた兄弟が共闘して連携を取っても簡単にはダメージを与えられない。

 だからかな?兄弟がさ、最期に俺の方を見るわけだ。ボロボロになって倒れてる俺の方を…2匹同時にさ。

 なんか決意を秘めた目で…それからすぐだったね1匹が自ら噛みつかれに行ったんだ。こう…胴体をバクリッ!って感じで、両腕で確りとドラゴンの上下の顎を抑えて、それでも数秒もてばいい方だったね。そしてその間にもう1匹がドラゴンの目を抉ったんだ。


 ドラゴンはそれで怯んだんだけど噛みつかれてた1匹の兄弟はそれで動けなくなった。当然だね…2つに別れてたから…体がさ。

 残った方の兄弟も目を抉られたことで怒ったドラゴンの猛攻で瀕死になってるし、俺も動けるようになるまではもうちょい掛かる。

 残った兄弟が徐にドラゴンの目の前に立ちはだかってさ、何をしてるんだ?落ち着いている場合か!って声かけたかったんだけどね。妖鬼になっても言葉は喋れないし、もし喋ることができたとしても意味は通じないんだろうけど…

 で、まぁ兄弟が何をしたのかっていうと自分からドラゴンの口に飛び込んだんだよね。あれには驚いたね。なにしてんだ!?ってさ。

 ドラゴンも驚いたんだろうね、最初は吐き出そうと頑張ってたんだけど、すぐに何もしなくなったね。気づいたんだろうさ、餌が自分から腹んなかに入ってきてくれたんだから。

 でも、それは間違いだった。胃の中で兄弟が暴れ始めたんだ。ドラゴンもそりゃあびっくりだ。自分で入ってきた餌が中で暴れ始めるんだから。


 後に残ったのは傷が回復して立てるようになった俺とドラゴンと兄弟の死体だけ。

 ドラゴンを力任せに破いて中の兄弟を助けようとしたんだけど、出した時には既に死んでたよ。

 オークやゴブリンだったときは躊躇なく兄弟を食ったんだけど、今回はさすがに食えなかった。そりゃそうだよね?俺を守るために死んでしまったんだから、食えるわけがない。いや、普通の妖鬼だったら食ってたのかもしれないし、兄弟も食ってほしいと思ってたかもしれないね?

 ただ、少なくとも『俺』は食いたいとは思わなかった。だから俺は兄弟の死体は穴掘って埋めたんだよ。

 ドラゴンは食った。そりゃもう腹がはち切れそうになっても食った。詰め込んだよ。


 んで、進化して今に至るわけだ。うん?俺が何に進化したのかって?

 あぁ、言ってなかったな。幻妖鬼っていう妖鬼の一つ上っぽいやつだね。

 見た目?そうだなぁ妖鬼が4~5mあったオーガから縮んで2m程度になってさ、幻妖鬼はさらに縮んで普通の人間みたいな身長の160㎝程度になったんだわ。当然筋力は据え置きどころかむしろ強化されてな?


 見た目も鬼らしさっていうのかな?化け物っぽい雰囲気はなくなったよ。むしろ色気がやべぇのムンムンだよ?ムンムン。そうだよ?俺元男な?忘れんなよ?


 しかも今まで服を着るとかしてなかったからさ真っ裸な訳。でもそれについて特に思うことは無いんだよな…もう人間らしさっていうのがさ長い化け物生活の中でどんどん削れててもう小指の先ほどもなくなってんじゃないかな?


 で、なんの話だっけ?…あ、そうそう。取り敢えずさ、今の俺はここら辺ではもはや最強なわけじゃん?たぶんもうあの時と同じ程度のドラゴンもワンパンでやれる気がするよ。

 そんでさ、最強ってことは飯の心配とかいらないでしょ?だから衣食住の食は完璧じゃん?

 で、住に関しても家とかそんなの作れるわけないし?その辺の木の洞とかでいいでしょ?え?ゴブリンから進歩してないって?いやいや、あいつらは母体を放置するために木の洞使ってるだけでしょ?俺のは家として使うってことだから、十分進歩してるって!あーっと?あぁそうそう、木の洞で住も完璧ってことでさオッケーでしょ?。


 これからどうしよう?取り敢えず葉っぱで服でも作ってみる?

続き?ねぇよんなもん!

既に行き詰ってるので息抜きで書いたんです。さーせん(・3・)

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