勝負
今は授業中。
でも・・・集中できない。
昨日のことで悩んでいるからだ。
その時、
ガラッ
教室のドアが開いた。
みんなが一斉に見る。
そこには色黒で金髪の男がいた。
「雅渚はどこだぁ!」
男は私の名を呼ぶ。
「隊長。あそこに・・・」
実ちゃんが隊長に私の居場所を教える。
なんで教えんだよバカぁ!!
男はズカズカ近づいて来る。
「お前か・・・」
「何?」
私は教室ということもあり、少し落ち着きながら話す。
「ちょっと来い」
そう言って男は私の手を引っ張りながら中庭へ向かった。
ーーin中庭ーー
「ンで?何だよ」
「俺と勝負だ!!」
「はぁ?」
意味わかんない。
なんで初対面の奴と勝負しなきゃなんないんだよ。
私・・・何かしたかな??
「俺の名は、軽井沢修二。現役ヤン隊長だ」
「あんたが今の隊長?!」
コイツが・・・。
コイツ暴れるんだぁ。
「現役ヤン隊長か元ヤン隊長どっちがつえーか勝負しろ」
「アタイは・・・もう戦わないって決めたんだ!」
「うるせー!」
軽井沢は殴りかかってきた。
私は軽々と交わし、その拳を掴む。
「クソッ!なんで勝負しねーんだ」
「だからもう戦わないって言ってんだろ」
「勝負しろ!ボケェェエ!!!」
「ボ・・・ボケェ?」
「そうだ卑怯者だ!」
「元ヤンってことは先輩だぞ?!その先輩に向かってボケって・・・」
「そんなこたー知るか!」
コイツ・・・。
ちょっとこらしめるか!
「調子乗んなコノヤロォ!!!!!」
私は軽井沢の腹を殴った。
「グッ」
軽井沢はその場に座り込んだ。
そして座り込んだまま足を横に出し、そのまま蹴り回してきた。
「わっ!?」
私は足をとられた。
軽井沢は私の足を掴み、私の体を振り回して木にぶつけた。
「うっ」
私は立つ事が出来なかった。
「渚!!」
実ちゃんが現れた。
「み・・・のちゃん・・・」
「お前、戦うのかよ」
「これで・・・最後の戦いだよ」
そうこれで終わる。
もしかしたらココで死んでしまうかもしれない。
でも、いい。
やることはやるから。
後悔はきっとないと思うから。
「実ちゃん協力して」
「え?!」
「アイツを倒したいの。でも・・・今のアタイの力では無理なの。だからお願い」
実ちゃんは黙り込んだ。
「・・・分かった!」
実ちゃんはそう言って私の腕を引っ張り、体を起こしてくれた。
「よし!行くよ!!」
「ういっス!」
実ちゃんは軽井沢の背後に回り、背を押した。
その衝撃で軽井沢は私に近づいて来た。
そして私は軽井沢のアゴを上向きに殴った。
軽井沢の体は空中へと上がる。
体の軽い実ちゃんはジャンプし、跳び蹴りを決めた。
数秒後、
軽井沢はこうさんした。
「雅渚・・・」
「何だ?」
「・・・隊長に戻る気はねぇのか?」
「ねぇよ」
「そんなつえーのにか?」
「・・・つえーよえーの問題じゃねーよ」
「じゃな」
私は教室に戻った。
今の時間は休み時間だった。
「渚ちゃん!」
七海が小走りで近づいてきた。
「だ、大丈夫だった?」
「うん♪平気だよ!」
これでいい。
こんな平和でいいんだ。
・・・なのに、どうして胸がモヤモヤしてるの?