あのね、二人目に会いにいくの。
魔法、武器、拠点は手に入ったの。
後は、私の手足になる妹達を集めるよ。
一人目の妹、カジーナちゃんは、二つの魔剣をナイフに仕立て直してる真っ最中。頑張ってくれているけど、まだ時間はかかりそうだね。
この間に、別の妹をさらっ・・・・・・ここに招こうかな。
私はカジーナちゃんにあてがえた一室のドアをノックする。
返事がない。そっと開けるとカジーナちゃんが一心不乱に武器を加工していた。
「カジ~ナちゃんっ」
私は後ろから抱きつくと頬ずりしてみた。
「わわっ! ってお姉ちゃん」
かなり集中してたのだろう、ここでやっと気づいてくれた。
「頑張ってるね。本当ありがと」
「ううん、中々進まなくてごめんなさい。やっぱり神器クラスは中々難しいんだ。ちょっと時間かかっちゃうかも」
カジーナちゃんはそう言ったけど、私は全然急いでない。肉体強化するだけでも今は充分やっていけるし、この武器を使うまでの動きはまだ先だもの。
「いいんだよ、ゆっくりやってね。それと、私の武器達、悪さしない? 一応、言い聞かせてはいるんだけど・・・・・・」
「あ、うん。今の所なんともないよ。私も魔剣だから少し不安だったんだけど」
言い聞かせるなんて、無機物に用いる言葉ではないけど、この魔剣は神器だけあって得体がしれない。私になんの影響もないところを見ると持ち主と認めてくれてるとは思うんだけどね。
「そう、なら良かった。でね、ちょっと聞きたいんだけど、頭がいい種族ってなにかな?」
ある程度予測はできるけど、やはりこの世界の事はここの住人に聞くのが一番だ。
「頭が良い種族? それならノームかな。北西のユマニュロト大陸に多く住んでるよ。大きいノームの町なら学校もあるみたい」
「ほうほう、学校かぁ」
私も以前通ってたことがあったけど、あまりの低レベルさに行かなくなっちゃった。だから、その響きは懐かしくすらある。
「じゃあ、私、ちょっと出かけてくるね。すぐ帰ってくるからお留守番お願いね」
「あ、うん。気をつけてねっ!」
「は~い」
さてさて、ノームか。できるだけ頭が良い子がいいね。さすがにこの世界の事はわからない事が多い。その子に私のサポートをしてもらおう。
大陸間の移動だったけど、転移のおかげですぐ着いた。
大きい都市の近くだと、ゲートも規制されてる。今はまだ面倒を起こしたくないので、管理がフリーなゲートからこの大陸へと降りた。
移動は強化状態でいけば早いからそんなに問題じゃない。
北の大陸は、ちょっと寒いけどこの状態ならあんまり温度差は感じない。
私はカジーナちゃんが言ってた町へと向かった。
ノームが主体の都市。そこは私が最初に訪れた町に比べて数倍の規模だった。
「おお~、すっごい」
町に着いた私は、さっそく探索を開始する。
目に入るノームをいう種族。ドワーフのように少々小柄だったけど、私が感激したのは、全員綺麗な銀髪だった事。いいなぁ、銀の髪。私の髪は今は淡い紫だけど次は銀にしようかな。
「いけない、いけない。見とれてる場合じゃなかった。学校探さなきゃ」
初めてくる場所は一通り見て回って頭に地理をトレースしていく。ここは大きいから時間かかりそう。
頭に焼き付けたら、いよいよノームの学校に足を運んだ。中央にデカデカと建っていたから途中ですぐ見つかったけどね。
煉瓦造りのお屋敷みたいな建物。鉄柵で覆われ外観はとても素敵。
近づいていくと、門の前に守衛さんが一人いた。
「どうも、どうも~」
軽く挨拶しながら入ろうとしたんだけど。
「ちょい、ちょい、ちょいっ!」
やっぱり止められちゃった。
「君~、なに、人間? 駄目だよ~、なにナチュラルにさらっと入ろうとしてるの~、ちゃんとここでね、手続きをだね・・・・・・」
「えいっ!」
「ふがぁ」
私は高速で顎に手刀を繰り出した。さすがに殺すと騒ぎになるから気絶されたの。守衛さんは白目を剥いて倒れたよ。
「ごめんね、加減が適当だったけど首が飛ばなくて良かったね」
こうして私は堂々と中に入ることができた。
木々に囲まれ噴水も見える。私はキョロキョロしながら中庭を歩いて行く。そこには生徒らしきノームが結構いて、私を物珍しそうに視線を送っていた。制服があるみたいでみんなおそろいの格好だったの。私はその中の一人の女子生徒に話しかけた。
「どうも、どうも~。ちょっと聞きたいんだけど、この学校で一番頭がいい子って誰かな? できれば女の子がいいんだけど」
「・・・・・・えっと。貴方人間? ここになんの用?」
なんか不審がられてる。顔をしかめる女子生徒に私は声のトーンを落としてもう一度質問する。
「・・・・・・いいから。私のいうことに答えてね。ここで一番頭が良い子誰かな?」
一瞬だけスイッチを切り替えた。女子生徒の体に蜷局を巻き付けるように殺気を送る。
「あ、あ、あ、と、と、図書館にいつも、こ、籠もってる、天才児だけど・・・・・・変人で・・・・・・」
見る見る青ざめ顔を引き攣る女子生徒は今度はちゃんと教えてくれた。
「ありがと。行ってみるね」
にこりと笑顔でお礼をいうと、女子生徒は腰が砕け、地面にへたり込むとスカートから湯気が立ちこめた。ふふ、可愛いね。
校舎に入った私は、その後も聞き込みをしながら図書館へたどり着く。
入ろうとしたけど、鍵がかかっていた。私はナイフで無理矢理こじ開ける。
足を踏み入れると、たしかに感じる、人の気配。
息を潜めて本棚で出来た道を進むと、床に置かれた大量の本に囲まれた一人の少女が目に飛び込んだ。
私の存在に気づいてない。夢中でページを捲っている。
ノーム特有の銀髪、その上にはベレー帽をのせ、眼鏡の奥の瞳は文字を必死に追っている。薄い緑の瞳がとても綺麗。
「どうも、どうも~」
「・・・・・・・・・・・・」
声をかけたけど反応がない。すっごく集中してるね。
「お~い、そこの眼鏡っ子ちゃ~ん」
「・・・・・・・・・・・・」
駄目みたい。しょうが無いので後ろに回って抱きついた。ついでに胸を両手でわしづかみにしてみる。
「ひゃぁぁっぁぁぁぁ」
「お、やっと気づいてくれたね」
あんまり大きくないね。カジーナちゃんより少しある位。
「な、な、な、なになに? え、あんた、誰!? に、人間??」
「葵だよ。初めまして」
びっくりして飛び跳ねると、私から離れちゃった。胸を片手で隠しながら顔を真っ赤にしている。その反応いい感じだよ。
「なに、なんなのよ、私になんか用なの!?」
「うん、眼鏡っ子ちゃんがここで一番頭がいいって聞いたんだよ」
ノームの少女はズレた眼鏡を直しながら、息を吐いてなんとか冷静さを取り戻そうとしていた。
「い、いかにもっ私はここで一番、ていうかノームの中でも飛び抜けた頭脳の持ち主よ。でも、だからなんだっていうの、一体貴方、何者よ! ここになにしに来たの!?」
私が人間だからかな。なんとか優位に立とうと頑張ってるみたい。でも、聞いた通り、自分で知性が高いというくらいだもん、自信あるんだね。
「そうか、飛び抜けてるのかぁ。容姿も問題ないね。よし、合格だよ」
私がうんうん頷いてると、少女は眉を潜め訳が分からないといった感じだ。
「なによ、合格って?」
私はその問いにめいっぱい微笑んで答える。
「うんとね、私の妹になるための条件を突破したって事だよ!」
ノームの少女は私の言葉に、口を開けよりいっそう顔が皺ばんだ。