あのね、一人目の妹ができたの。
武器を手に入れた私は、次の目的のためにすぐに行動を起こした。
「拠点が欲しいね。とりあえずそこを軸に動いていこう」
ペペちゃんの死体も腐敗しないとはいえ、いつまでも森に隠しておくわけにもいかない。他にも利用する人材を迎えるにも必要だよね。
「どこがいいかなぁ~」
頭の地図を広げる。最初に私が来た場所がノスタルユーリ大陸。せっかくだからこの地から色々初めてみようと思うの。
「温かくて、海が見える場所がいいよね」
海岸沿いをなぞって見ていくと、ぽつんと小さな何かが記されている。
「なんだろ、これ。村や町ではないみたいだし・・・・・・」
でも、ここ、周りは閑散としているし町や村も遠い。これが建物なら中々いい物件だね。
「ちょっと見てこようかな」
百聞は一見にしかずだよ。
一番近いゲートから歩いていく。それでも目的地は遠い。大陸の端っこで辺境なんだろうけど、とにかく途中には何もない。
このままのんびりと、この時速なら後数時間はかかっちゃう。
私は、身体を強化して走ることにした。これで走ればすぐ着くよね。
疾走してると潮の香りが鼻についた。海が近い。そろそろだね。
私の脳内の地図と視覚情報が重なる。
瞳に広がるのは一面の海。そして崖を背中に一つの建物が見えた。
真っ白い壁が、空の青と海の蒼でより目立つ。その建造物は一目見た瞬間、なんだかわかった。
「・・・・・・ほうほう、修道院か」
そんなに大きくはないけど、造りはしっかりしている。
「うん、ここにしよう」
修道院てことは中にいるのは修道士だよね。何人いるかな。
「どうも、どうも~」
扉をノックすると修道服をきた女性が向かい入れてくれた。
「こんにちは、ここになにかご用でしょうか。祈りを捧げにでも? それとも入信でしょうか?」
私は修道士の言葉に頭を振って否定した。
「どっちも違うよ。私は神さまなんて信じてないもの」
「・・・・・・では、なに用でしょう。道に迷われたとか?」
これも私は首を振った。問いには答えずに、私は逆に質問を開始した。
「あのね、ここには何人くらい住んでるのかな?」
「・・・・・・私を含めて七人ほどですが・・・・・・」
「今、全員いる?」
「・・・・・・ええ、いますけど」
これで、心置きなく動けるね。
「そっかぁ・・・・・・じゃあ、ここもらうね」
「・・・・・・え?」
私の言動にいよいよ修道士が不審がり始めたときには、すでにナイフが彼女の心臓を貫いていた。
10分後、私は修道院の裏手に回ると、崖から海を見下げていた。
隣には女性の裸の死体が7体。それを私は海へ1つずつ投げ込んでいく。
「今日はご馳走だよぉー」
魚達に声をかける。強化しながらだから、軽く投げても数十メートル先に波が立つ。
私は最後に一人の体を足から持ち上げると、投げ込む前に一言残したの。
「ここ、ありがと、大事に使うね。あ、後ね、やっぱり神様なんていなかったでしょ?」
いくら祈ってもいないものにはどうやっても届かないよね。
これで丁度50人。もう少しであっちの時より多くなるね。
私は、早速ペペちゃんの死体をここに運び込むと地下の部屋に飾っておく。
「よし、拠点はできたね。じゃあ、向かえに行こう」
まずは、私の二つの剣をナイフに加工してもらうために、ドワーフの娘をさらってきます。
なんでも、国を離れて山の中で修行中だって言ってた。
場所は聞いたからすぐにでも連れてこなきゃ。
私は転移と強化移動を駆使して彼女の元へ向かった。
聞いた通りの山深く、小さな小屋にドワーフの女の子は住んでいた。
「どうも、どうも~」
ノックを省いて家に入る。
「え、え、え、だ、誰??」
そりゃ、びっくりするよね。ごめんね、でもいきなり入るのもノックして入るのも同じ事だから省略するよ。今回は一人だしね。
「ほほう、君、可愛いねぇ~」
ドワーフという種族だとしても体が小さい。見た目はかなり幼く見える。実際は何歳なのかはわからないけど、一目で私はすっかりその子の外見を気に入ったの。
赤毛を三つ編みにした可愛い女の子は、私の登場に体を震わせていた。
「まぁ、まぁ、詳しい話は後でするとして、私と一緒に来てもらうね」
私はそう言うと、ドワーフの女の子を片手でひょいっと担いだ。
「え、え、え、え、え」
「まぁまぁ」
女の子は訳も分からず混乱しているご様子。私は構わず拠点へ足を向けた。
「え、え、え、え、なに? なに? どこに連れてくの??」
「まぁまぁ」
来た道を引き返していく。
「え、え、お姉ちゃん、誰? 私をどうするの??」
「まぁまぁ」
そうこうしてる内に拠点に到着。
私はドワーフの娘を抱えたまま、ベットのある部屋に入った。
「え、え、え、え、え、ちょっと、え、え?」
「まぁまぁ」
私はそのまま、娘さんをベットに放り投げる。
「すぐ良くなるからね」
私は上着を脱ぐを少女に覆い被さった。
「え、え、え、え、え、え、え、え、あ、あ、あ、あ、あぁ」
「安心してね。途轍もないから、大丈夫だよ」
その後、途轍もない・・・・・・。
目が覚めたらもう、朝だった。海鳥の泣き声が窓の外から聞こえてくる。隣には頬を赤らませ静かな吐息を吐く少女。
「う~ん、可愛いね。そういや名前聞いてなかったよ」
赤い髪を指で優しく撫でていくと、少女が目を覚ました。
「・・・・・・あ」
女の子は私と目が合うと、耳まで真っ赤にさせ顔を伏せた。
「起こしちゃったね。今日から私の事は、葵お姉ちゃんと呼んでね、これから色々よろしくね」
少女はシーツで顔を半分隠しながら小さく頷いた。
「・・・・・・うん。アオイ・・・・・・お姉ちゃん」
「うんうん、良い子だね。それじゃまず、武器があるんだけど、それをナイフに・・・・・・」
こうしてここでの初めての妹ができました。
本当の名前は聞かなくていいの。だって妹には私が名前を与えるから。
この子は、そうだね。カジーナにしよう。
私の計画では、まだまだ人材がいる。
これからどんどん増やしていくよ、どうせなら可愛い子がいいよね。