あのね、魔法覚えたの。
魔女達について行くといくつかの家が見えた。町の建物に比べるとお粗末な住居がいくつか点在していた。皆一様に真っ黒のフードで素顔を隠している。
見知らぬ者が村に来たからだろう、中央広場にいた魔女達がざわめき出した。
「テリーヌっ、なんだその娘はっ!」
「余所者を招き入れたというのかっ!?」
騒ぎ出した魔女達、それを聞きつけ家の中にいた他の魔女も続々を外に出てきた。
「違うっ! この子は後天的な魔女だ。我らの仲間だ」
「・・・・・・そうなの。人間に虐められてみたい」
二人が私を庇ってくれているけど、私の思考は別に動いていた。まず今いる魔女の人数を確認する。嘘がばれた場合、最悪、ここにいる全員を相手にしなくてはならなくなる。どう動けばいいか、事前にある程度は考えておく必要があるの。
「いや・・・・・・そいつは魔女ではない」
深く重みのある声が私の耳に届いた。発言者と思われる魔女が奥から現れた。他の魔女が道を空けていく。
「大婆さまっ!」
体はさっきの小魔女よりもっと小さい。でも、威圧感がまるで違う。なるほど、これがここで一番偉い魔女さんだね。全部見透かされてる感じ。
「魔女ではないですと?」
「そんな・・・・・・だって普通の人間にあんな動きはできないよ? 別の種族だとでもいうの?」
私を招いてくれた最初の魔女が動揺している。ばれちゃったかな。
「その女、今は魔女ではないが・・・・・・素質はある、それも規格外のな」
大婆魔女さんが、私の顔をじっと見る。私はにっこり笑い返した。
「お主・・・・・・名は?」
「葵だよ」
このおばあちゃんにはなるべく嘘はつかない方がいいね。まだ殺されてない時点で思考を読む能力はないのだろうけど、何か得体の知れない。魔法の種類を把握してない今は下手に行動できない。
「ではアオイよ。選ぶが良い。選択は二つ。ここで死ぬか。魔女となってここで暮らすか」
「魔女になれるの?」
生まれつき魔力がうんぬんではないのかな。
「お主には、生まれつき魔女の素質があった。だが、なぜかそれに蓋がされて押さえ込まれておる。まるでこの世の理に拒否されているように」
「その蓋取れるの?」
なんとなくだけど、それは多分、元の世界に魔法をいう概念がなかったからじゃないかな。
「・・・・・・お主が魔女になるには、まずその力を解放させてやり、魔法を理解し、使いこなせばの話じゃ」
「うん、なら、やるよ」
魔法はなんとか会得できそう。今まで大抵の事はこなす事ができたらから、今回もうまくいくよね。
「なら、二年は覚悟するのじゃな。それまでは下働きでもしてもらおう」
「わかったよ」
うふふ、なんの物差しで計ったかわからないけど私がそんなにかかる訳がないの。
その日から村の書物を読みあさった。パラパラとページをめくりながら内容を頭にコピーしていく。大量の本を見ているうちに分かったことがある。魔法にも様々な種類がある。魔女とはいえ人間がベースなので、上位版の魔法は使えないみたい。高度な魔法は、それこそエルフなどの種族じゃないと駄目みたい。一つに魔法に入れられる魔力のキャパシティーも限られてくるの。つまり持ってる魔力をあらかじめ魔法発動のために篭めておかなくてはならない。会得できる魔法は普通の魔女で一つくらい。あの大婆魔女さんでも二個くらいかな。そうなると常備できる魔法を選ばなくてはならない。文献から便利そうなのいくつかピックアップしていく。移動系は外せないね。私の素質がどれだけの魔力を秘めてるか分からないけど数個選んでおこう。
この村の魔女達は私にすごく優しくしてくれた。
中でも最初に出会った小さい魔女はよく話しかけてくる。
「べ、勉強頑張ってね、邪魔してごめんね、飲み物ここに置いておくから良かったら飲んで」
「ペペちゃん、ありがと」
村の魔女は比較的年齢が高めだった。若い魔女は私が最初にあったあの二人くらい。それでも長身のテリーヌで二十歳半ばって所だね。ペペって名前の小さな魔女は私と一番歳が近そう。
それが理由なのだろう、ペペちゃんは気づくと私の近くによく来て微笑んでいた。
そして一週間ほど立った満月の夜。私の魔力を引き出す儀式が行われた。この時点で私は魔法理論を完全に理解していた。魔力さえ解放できればすぐにでも魔法を使えるようになるだろう。
「きえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
魔法円の中に入れられた私に大婆ちゃんが叫んだ。月の光を浴びて私の体が輝いていく。お腹の底からなにかが噴き出してくるのがわかる。膨らんだ風船がこれでもかと膨張を続ける。限界まで達するのを待つ。ひたすら大きくなったそれはついに爆発する。
私の体から光りが溢れた。昼を作り出すような明かりが集落を照らす。
すぐにまた周囲は闇に包まれると、大婆ちゃんが私に微笑んだ。
「これで、お主も我らの本当の仲間だ。魔法はまだ使えんだろうが、ゆっくり会得していけばよい」
漲ってるのがわかる、今までにない力が私に宿ってる。
「ありがと、でもここでは暮らせないんだ」
私はそういうと、大婆ちゃんの額にナイフを突き刺した。
「なっん・・・・・・」
大婆ちゃんは驚愕の顔を見せたまま背中から地に傾いていく。
「大婆さまぁっ!?」
周りの魔女達が喚いた。何が起こったかわからず立ち尽くしている者もいる。
さてさて、さっそく試させてもらうね。私が選んだのは強化魔法、それも最上級版。うまく発動できればいいけど。
「貴様ぁぁぁぁぁぁぁっ!」
近くにいた魔女の一人が炎の弾を私に撃ちこんだ。他の魔女も刃物のようになった風をまき散らす。魔女達は色んな魔法で攻撃をしてくるけど、噴煙が上がるだけで私には特になにも感じない。薄い膜が全身を覆っている。
「すごいね、直撃してるのにね」
踏み込んでみた、一瞬で後方の魔女をとらえられた。目につく魔女の首を順々に切り裂いていく。
「うふふっ!」
腕を振るたび、死体が出来上がる。面白いように血が撒き散らせ四肢が飛ぶ。
動きを止めずにナイフを振りかざし、突き刺す。
みるみるうちに立ってる魔女がいなくなる。
「あっ! えっとテリーヌちゃんだっけ、貴方にはお礼を言おうと思ってたんだ」
私が出会った最初の魔女、彼女達のお陰でこうして力を得た。
「・・・・・・あ、もう遅かったね」
彼女だと気づいたのは、もう心臓にナイフを突き刺した後だった。
残念。でも、仕方ないよね。せめてもう一人には言わなきゃ。私は殺しながらあの小さな魔女を探す。ペペちゃんどこかなぁ。
「いたいた、ペペちゃん、やっほい」
腰を抜かし、体をガクガクさせていたペペちゃんを確認。
「な、なんで・・・・・・せっかく友達に・・・・・・」
「うん? だってここには魔法を覚えに来たんだもの。友達を作りにきたんじゃないよ?」
魔女っていっても対して強くないね。これじゃ戦力として利用するまでもない。
「ペペちゃん、ありがと。お礼を言いたかったの。じゃあ殺すね」
「なんで・・・・・・なんでなの・・・・・・」
フードの上からまっすぐ脳天目掛けて刃を突き刺した。ペペちゃんは涙を流しながらその小さな体を崩していく。
「なんでかな。私にもよくわからないよ」
この集落には34人の魔女がいた。ペペちゃんで34人目だからこれで全員殺したね。
「ふむ・・・・・・」
私はペペちゃんの死体を見下ろす。足首を掴んで持ち上げた。
黒いフードを切り裂く。すると月明かりに照らされる真っ白な裸体が目に飛び込んでくる。
「わぁ・・・・・・染み一つない。綺麗だね」
この位の体型が理想だった。
「よし、人形のベースはペペちゃんにしよう」
どうやら三つくらいは魔法が使えそう。一つは強化、もう一つは転移、後一つは今決めた。時間操作系、さすがに時の停止はできないけど、対象物の時間の流れを限定的に早くしたり遅くしたり位はできそう。私は、ペペちゃんの体を包むように魔法をかけた。限りなくゆっくり時が進むように施す。時を止めたのに等しいくらいに。これで腐敗はしないはず。
「・・・・・・あぁ、いい・・・・・・いいね」
興奮する。殺した後はいつもそう。特に可愛い女の子だと格段に高ぶってくる。
私は我慢できずにその場に膝をついた。息を荒くしながらスカートの中に手を入れた。
「あ・・・あ・・・・・・は・・・・・・」
満月の下、数十体の死体に囲まれながら私は自慰行為に勤しんだ。
お楽しみが終わるとペペちゃんの遺体を抱え立ち上がる。
「次は武器だね・・・・・・」
なんでもドワーフ達がそういうの得意みたい。神器レベルのものを作るみたいだし、なにかナイフでも作ってくれないかな。
「ドワーフは南の大陸か。転移魔法届くかな」
転移魔法は私でも使いこなすのは難しいと思う。ちゃんと位置を計算しないと変な場所に出るから。体の半分が岩の中とか嫌だからね。何回も検証して正確に位置を割り出すまで練習しようと思います。
現在、殺害人数37人。いいペースだね。